新衣装でのお戯れ(ハス占)墨を流した様な闇が部屋の中に満ちていた。
人成らざるモノ、人を辞めたモノどもの集うハンター達の居館においても、旧き神が棲家とするこの部屋はいっとう深く鈍い昏闇が澱み集っている様な気がした。
かつて窓であった場所は、今は丁寧に板が打ちつけられていた。
「……いつまで拗ねておる」
明かり取りとしての機能を奪われた窓辺で、紅茶をちびちびと啜っていた客人は部屋の主に呼びかけられて顔をあげる。
サイドだけ編まれた真珠色の髪に、手触りの良い上等な薄絹の目隠し布。
身に纏う長衣も同様に柔らかな絹織物で作られており、豊かなドレープがテーブルに置かれたランプの灯りに照らされて膝元に影を落としていた。
ただし。
黄衣の王の言葉通り、折角それらの優美な純白の装束を着せられたイライ・クラークは唇をツンと尖らせて……拗ねていた。
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