のちのこころにくらぶれば 食堂は混みあっていた。
なかには召喚されて三日のうちに見知ったものもちらほらとある。そのうちのひとり、槍を携えた武人に三成は清少納言のいどころを聞いた。
和漢典籍に通じる才女であれば、おそらくは友誼を結ぶ手立ても知っていよう。
先ほどクコチヒコに友の作法について学んでくると大見得を切った手前、断じて手ぶらでは帰れない。
よし、と三成はおのれを鼓舞するべくこっそり握り拳をかためた。
こちらは終生を戦に明け暮れた身、そもそも文華の道には暗い。平安貴族の風流を学べたならおそらくは今後の役にも立つ。なるほどカルデアも捨てたものではないなと、そんなことを考えつつ三成は教えられた方角へと足をすすめた。
食堂のなかほど、とりわけ賑やかなところがある。
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