「アンリミ・"エフリータ"・チェスカの名に誓いまして、この者を処刑いたしますわ!」
礼拝堂、のような場所に高らかに響く女性の声。くっきりと聞き取りやすく、自信に満ちて驕慢な響きはむしろ小気味が良いと感じられた。
私はぼうっと声の主の方を見た。目を惹くのは赤みが強く光沢のあるブロンドヘア。耳の上半分を綺麗に結い上げて銀色の髪飾りを挿しているが、残りの下半分は輪郭に沿ってくるくると綺麗に巻いて胸元や背中に垂れている。白い顔の中で自信たっぷりに微笑する目の色は光の加減か深い葡萄酒色に見えた。
エフリータ、といったら"炎の悪魔"の女性形——であったか。なるほど、確かにずいぶん猛々しく気焔を吐く彼女は華奢な身体を包んでいる紅いドレスも相まって炎の悪魔と呼んで差し支えなさそうな美女である。ステンドグラスから差し込む明かりと壁に据え付けられた照明が照らす空間の中央に拘束された私を柵越しの二階席向かって右手から見下ろす視線には確信された勝利と侮蔑の色が燃えている。
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