鏡映しの桃と鬼 鬼のお話私は……あの桃を許すなんて事はできない。
あいつを可愛がるあなたの姿は、私の心を激しく揺さぶるの。
どうして……あんな奴を……。
私には、あなたという人が理解できない。
どうして?
なんで……あいつを可愛がるの?
あいつと笑い合えるの?
あいつは私の大切な人を奪った元凶。
私はあいつのせいで孤独になった。
悪い鬼と誤解されて、誰かと一緒にいる事すら許されなかった。
私は彼らに何も危害を加えていない。
それなのに……私の大切な人は……。
ついこの間だって、私の新しい友達や私を受け入れてくれた村の人を操って……。
……今でも思い出す。
初めて出会った時、あの人に抱きしめられた時の温もりを。
その温かさがとても嬉しくて、幸せで……この温もりは絶対に失いたくないって思った。
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