足が攣った茨の話三人目軸
ぎくり、
視界の向こう側で、身体がこわばっているのが見える。
(茨……?)
夕飯も終え、息子を寝かしつけ、娘にもおやすみと言ったところである。
茨は今日一日お腹が張って仕事どころじゃなかった、と言いながらダイニングテーブルでパソコン作業をしていて、わたくしは相変わらずの仕事人間っぷりに苦言を呈しながら食器を洗っていた。
(仕事が好きなのはいいことですけれど、部下を扱うのも大切な仕事だと言ったところですのに。無茶をするから)
茨は周りを頼りたがらない。そういうところ、ぶっちゃければ経営者に向いてないとさえ思う。坊っちゃま相手だったらキツくお説教を差し上げるところだが、茨相手だとそうも行かない。人生のパートナーではあれど、仕事のパートナーではないのだ。
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