ヴァニタスの林檎 排煙と火山灰で薄く烟る、ハルカンドラの夜空の下。不時着したローアの整備作業をしていると、今日のエナジースフィア探索を終えたカービィ達が戻ってきた。
「ミンナ、オカエリ! 今日もおつかれサマ!」
ボクは労いの言葉と共に、人数分の夕食と宿泊室を供した。食いしんぼうが二人もいるせいで全員お腹いっぱいとはいかないものの、それなりには満足してくれたようだ。ポップスターを発つ前に各自好きな間食を持ち込んでよいと伝えておいているし、足りない分はそれで補ってもらおう。
――今度はあのドラゴンをやっつけちゃっテヨ――そんなボクの嘘八百を、心優しき彼らはあっさり信じて、引き受けて。カービィ達は明日もまた、寂れた廃工場地帯へ向かう。
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