バレンタイン今日の部屋はいつもより華やかだ。
そこにはつい先程までバレンタインという名のイベントを楽しもうと集まっていた人たちから貰った、チョコレートやクッキー、花束が綺麗にラッピングされて溢れていた。
それらを眺めて、シュウは思いを寄せていた。
普段は恥ずかしくてあまり言葉にできないことも、プレゼントを渡すことで感謝や愛を表現することができた。
皆はどんな気持ちでプレゼントを用意したのだろうか?
扉を叩く音に、思考が途切れる。
「シュウ、約束していたアイスケーキを持ってきたぞ」
「ヴォックス!」
溶けてしまうから直接届けに来てくれると約束していたプレゼントを片手に、ヴォックスは
シュウの隣に座った。
美しい赤いバラの形を繊細に象ったそれは、うっすらと冷気を零し幻想的に皿の上に乗っている。
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