「兄さん、将軍の様子が変なの」
朝早くデスンの支度に向かったソランが血相を変えて兄のオチョクの元へ駆け寄って来た。
「何だって?」
朝の修練中だったオチョクは妹の囁きにぴたりと動きを止める。
「変って、どういうことだ?」
そばにいたキム校尉が訝しげに尋ねるが、ソランの言い様は的を得ず、良く分からない。
「とにかく変なのよ、将軍なのだけど、将軍では無いみたい」
まるで、子供のようだ、とソランは言う。
「子供だって?馬鹿言うな」
オチョクが笑った。
それでもあまりに彼女が青褪めているので、ただ事ではないのは確かなようだ。
ソランとキム校尉、オチョクの3人が確認の為にデスンの私室に向かう。
「将軍」
ソランが声をかけると、寝台に腰掛けたままのデスンがオチョク達を見て、ぱちぱちと大きな目を瞬かせた。
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