番犬?駄犬?「ドフンを見なかったか」
1チームの事務所にやってきたヨンがきょろきょろと辺りを見回しながら近くにいたドンジュに声をかける。
「誰です?」
「ドフンだ、イン・ドフン課長!」
明らか聞こえないふりをする男にヨンは眉を顰めながら溜息を吐いて、見慣れた課長室を覗き込む。
すっきり整理された部屋には誰もおらず、ヨンは後ろをついて回るドンジュを振り返った。
「どこだ」
そういえば朝挨拶をしたきり姿を見せていない、とヘヨンが言った。
「オ局長、なんであの人がうちの課長に?」
ヘヨンはいまだドフンの事が気に入らないらしい。何かと目の敵にしてヨンに泣きついてくるが、色々な思惑やしがらみに雁字搦めになっているドフンを見ると気が気でないのがヨンの心境だ。イン・テジュンの息子という事実は横において、一人の人間としてもっと自由に生かしてやりたいと思うこともあった。
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