まずは角を狙おうか音もなく、欠片がするすると落ちていく。
茶色い草むらのような堆積にひとつ、またひとつが重なる。
そのひと欠片を摘まみ、口に運ぶ。甘い。
「そっちでお腹いっぱいにならないでよ?愛弟子。」
先程から欠片を次々口に入れている私に、苦笑とともに言葉が投げて寄越される。
答える前に私は今一度、味覚に意識を向けて堪能する。ごく薄く削られた欠片から殊更に甘さが広がってくる。うさ団子の優しい甘さとまた違う、異国の植物の実から作られたという不思議に惹きつけられる甘さだ。
「大丈夫です。この“ちょこれーと”なら、私いくらでも食べられます!」
「そんなに気に入ったの?」
話しながらも、教官の手の中では茶色の塊がだんだんと息づくように形作られていく。
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