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    🌸Sakura

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    ウツハン♀
    ※『想いは夢現に揺られて』、選択肢1つ目の続き。

    #ウツハン
    downyMildew
    #キャプション必読
    captionRequiredReading

    想いは夢現に揺られて<若葉色の栞>「教官がうさ団子を全部食べちゃったから…私は団子を食べられないまま狩りに出て、なんもかんも上手くいかなくてクエスト失敗する夢です。」
    本当はもっと続きがあるが、なんとなくその先は伏せておいた。言葉にするのも、少し苦しい。
    「えぇと…夢の中の俺がごめんね…?」
    全く悪くないはずの教官が困惑した様子で謝る。そんな教官の声を聞いていたら少し調子が出てきた。
    「嫌です、今度教官が作ったご飯食べさせてくれないと許さないです。」
    「それは全然構わないけど…。それであんなに震えていたの?」
    「狩りに行ったのが寒冷群島で、寒くて寒くて死ぬかと思いました。」
    現実さながらの身を切るような寒さと、悲しさと、全て覆い隠してしまう白い白い景色を思い出す。体の芯まで凍てつくような錯覚に囚われ、ぶるりと身震いする。教官が背を撫でていた腕を回し、抱き締めてくれる。
    「もう夜は冷えるのにこんな薄着1枚で。だからそんな夢を見るんだよ。」
    母親みたいなことを言うなぁと思ったのと、密着しながら「薄着」と言われるとなんだか恥ずかしさが湧いてきたのと。自宅にいる時は気にしなかったが、確かに、布1枚しか隔てていない分周りの温度や感触が直接的に伝わる。装備越しの抱擁では感じられない、教官の肌の感触も。
    「キミは実際に寒冷群島に行く時もお腹を出したりしているし…、教官は心配だよ。」
    お腹…?イソネミクニ素材を集めに寒冷群島に通っていた時、途中まで装備を作ってクルルヤック装備と組み合わせて異国の衣装風に着ていたことか。あの組み合わせ、大人っぽくて好きだったんだけどな。そんな、寝間着が捲れたまま寝ている子どもみたいに言われても。
    「確か、この間、ガウシカの毛皮で作ってもらった愛弟子用の腹巻きが…」
    「いいです、いらないです、何でそんなの用意してるんですか、布団から出ないで下さい。」
    「そう?」
    布団から出かかった教官をなんとか押し止める。掛け布団が持ち上げられた時にひやりとした空気が差し込んだが、布団が戻されるとまた2人だけの温かな空間が出来上がった。体の強張りが解けるのが感じられ、うっすら眠気が忍び寄ってくる。
    眠る前に、もう少し教官の声が聞きたい。
    ほとんど潜るように被されていた布団を掻き分け、教官の顔が見えるところまで体勢をずらす。
    「…あの装備、割と気に入ってたんですけど。教官は見ていて『お腹冷えそうだなぁ』以外に何も思いませんでした?」
    1人で出たはずのクエストの様子を知られているのはいつものことなので、もう追及しようとも思わない。
    「うーん…」
    教官は天井を仰ぎ、
    「引かない?」
    天井に目を向けたまま、ぽつりと言う。
    引く?何のことだろう。装備の着こなしの感想を教えてほしいだけなのだけれど。まあ、この流れからして可愛いとか似合ってるだとかの言葉は出てこないんだろうなぁ。何だろう。
    「よく分かりませんが、聞かせて下さい。」
    教官がごそごそと体を回し、向かい合う。
    「キミのお腹が白くてきれいで、噛みつきたくなった。」
    「引きました。」
    「ほらー…」
    がくん、と項垂れた教官の額が軽く当たる。
    そんなことを真っ直ぐこちらを見て言うものだから、顔に熱が上った。一瞬、教官の目が熱っぽく見えたのは気のせいだろうか。顔が熱い。そのまま項垂れていて、今顔を見ないでほしい。
    「…寝ます!」
    掛け布団を顔まで引き上げる。
    「うん、そうだね。ここにいるから、ゆっくりお休み。」
    辛うじて布団から出ている私の頭を撫でながら、先程のやり取りなど無かったかのように穏やかな声で教官が言う。
    教官が傍にいてくれる。何よりも安心する。悲しい夢の余韻はとうにどこかへ行き、教官に触れらていることをただただ心地良く感じる。ゆるゆると意識が解けていく。
    「また恐い夢を見たら、俺のところへ来るんだよ。他のところへ行っちゃいけないよ。」
    「なんでですか…?」
    眠い。もう口がろくに動かない。
    「キミが夢の中で迷ってるうちに、その辺の雪鬼に食べられちゃうからさ。」
    教官が何か言っているが、心地良い声が私の意識を沈めるだけで、言葉の意味はもう届いてこない。
    今度こそ夢も見ない深い深い眠りに落ちる途中、頬に熱く柔らかなものが押し当てられた気がした。
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