ミイラ尾(5)ミイラ尾5
インタープリテーションとは、双方向「コミュニケーション」によって文化財のもつ「メッセージを伝える」ことだ。教えを授けるのではなく、文化財と利用者とのあいだの、いわば通訳をすることで、利用者自身のふかい理解と発見をうながすこと、と説明されることもある。よくわからない。だがその担当者は「布教だ」と気合いをいれていた。それならなんとなくわかる。
以前、古代エジプトのインタープリテーションを担当するエデュケータに、踊り子のミイラのCT画像を見せてもらった。例のチン影の件である。ふたたび彼を訪問し、かくかくしかじか、とロマンスグレーが代弁してくれた。
「ヴァシリは勉強不足だから、遠慮なく試練をあたえてやってくれ」
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