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    koryuhi

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    バームクーヘンエンドの映画見ながらバームクーヘン食べてる現パロレオダイちゃん

    #ダイの大冒険
    daiNoDaiboken
    #女体化
    feminization
    #男体化
    masculinization
    #現パロ
    parodyingTheReality

    バームクーヘン「……バームクーヘンとは、こんなにあまじょっぱいものだったのだな……」
    画面の中の男は、そう震える声で呟きながらもう一口、バームクーヘンを齧る。すぅっと。目元の泣きぼくろが印象的な右目から、静かに一筋の泪がこぼれ落ちて……。そして主題歌と共に、エンドロールが流れていく。
    映画の内容に合った切なげなメロディーの主題歌を聴きながら、ぼくも同じようにバームクーヘンを一口齧った。
    同じようにとは言いつつも、映画の主人公が食べているのは結婚式の引き出物。ぼくが食べているのは近くのコンビニの新作スイーツ。その値段や質にはきっと雲泥の差があるだろう。
    バームクーヘンを齧りながら、視線を画面から自身の隣へと移す。そこには真剣に画面をじっと見つめている一人の少女が居る。その人は、ぼくの恋人であったりする。
    彼女ーダイくんは、何を思って画面を見つめているのだろうか。もうエンドロールであるのだから、その視線が釘付けになっているのも、もうあと少しのはずだ。しかしそれだと言うのに、彼女がぼく以外に夢中になっていると言うのは少し面白くない。
    「ねえ、ダイくん。この映画どうだった?」
    流れる主題歌ももう、ラストのサビに入っている。本当に、あともうちょっとでお終いだ。それでも彼女の感心をこちらに取り戻したくて、その身体に軽く体重をかけながらそう問いかける。
    「んー……」
    ダイくんは手にしていたカップを一口分、傾けながら映画の感想について考え込む。
    ちなみにこの映画の内容は、ラストシーンだけで分かるように主人公の悲恋に終わる。
    想いを寄せている女性と様々な交流を重ね、少しいい感じの仲にはなるが結局それ以上には発展できず、良いお友達止まりである。しかしそれでも、主人公はその関係を手放せずにいた。そんな日々が何年も続いていたが、ついに彼女は自分では無い別の男と結婚をする事になった。友人として式へと招待され、内心の辛さを隠しながらも何とか笑顔で二人を祝福するが、その夜。家に帰りついた主人公は、引き出物のバームクーヘンを食べながら自身の恋の終わりに涙を流すのだった……。と、そういった感じのストーリーだ。
    今人気のアイドルグループのメンバーが主演ということもあって、公開当時にはずいぶんと話題になった作品ではある。ストーリーに関しては、人の好みは色々とあるのでなんとも言えないが、世間の評価はあまり高くは無い。しかし主演の演技は業界からも世間からもかなりの高評価で、公開から数年たった今でも彼は舞台にドラマに映画にと引っ張りだこで活躍している。
    そんな数年前の、それも悲恋に終わる映画をなぜ今こうして観ているのかと言われると、彼女が観たがったからとしか言いようがない。話題にはなったけど、まだ観た事がないからとダイくんは言っていたが……。
    この映画の主演は、先ほども言った通り人気のアイドルグループのメンバーである。美しい顔立ちの、しかし女性的ではなくしっかりとした男性としての美しさと色気を持った人物で、礼儀正しく生真面目な性格もあってかその人気は老若男女を問わない。
    「ストーリーは、聞いていた評判通りで少し退屈だったかな……?」
    ぼくの先ほどの問いかけの答えがようやく出たのか、手元のカップをもう一口分傾けながらそう語る。なるほど。ストーリーについての評判は知っていた、と。
    話題作ではあったとはいえ、そんな前評判のものを観たいと思うものなのだろうか。
    繰り返すようだが、この映画で主演を務めているのは人気アイドルグループのメンバーの一人である。確か彼女も、CDを何枚か持っているはずだ。
    「……なに、どうしたの?」
    ダイくんの視線が、ぼくに向けられる。それはとても喜ばしいことなのだけど、しかしその表情は何だかとても不思議そうだ。首を傾げながら、その両手のひらでぼくの頬を優しく包み込む。
    「そんなにむうっとした顔をしちゃって」
    彼女からみたぼくは、よほど変な顔をしているらしい。まるであやすように、その手で包み込んだ頬をむにむにと軽く弄られる。
    「……ダイくんは、このアイドルが好きなの?」
    彼女の関心がこちらに戻ってきたからか、ぼくの頬を弄るその手の温もりがとても心地いい。それが離れてしまわないように、そして彼女がこの質問から逃れられないように。小さな手に、自分の手を重ねて握る。
    「へ?」
    ぼくの質問の意味が分かりかねて、と言った感じだろうか。ダイくんは、大きな瞳を更に丸く、大きく見開きながらも間の抜けた声を上げた。そしてそれから幾らの間も空けず、笑い声を上げる。
    「あ、はははは!もう、突然何を言いだすの!」
    ぼくとしてはこれ以上ないほど真剣な問いだったのだけど……。こんなに笑われてしまうのは少々心外である。
    「も、もう!何でそんなに笑うのさ」
    重ねた手を、ほんの少しだけ力をこめて握り込む。だけど、彼女はそれ以上に力をこめてこちらの顔を自分の方へと引き寄せた。……顔がとても近くて、その丸い瞳に自分の姿が写っているのを確認できるほどだ。何だか、とても安心する。
    「アイドルに寄せる好きと、今目の前に居て触れられる人に寄せる好きとは、全然別のものだよ?」
    こちらの瞳を覗きこみながら言うその言葉はとても優しいのだが、しかしまるで小さな子供に言い聞かせているようでもある。……そんな言い方をされてしまうと、まるでぼくがアイドルに嫉妬する小さい男のようではないか。……まあ、実際そうなのだけども。
    「むぅ……そんなこと、わかってるよ」
    少し頬を膨らませながらそう言うと、ダイくんはもう一度微笑みを浮かべて。その唇を、ぼくのそれに重ねてくる。
    重なっていた時間は、ほんの少しだけ。しかし、その柔らかな感触が。そのとろけるような甘さが。とても心地よくて、身体中がふわふわと浮き上がってしまいそうだ。
    「こんなことをするのは、あなたにだけよ」
    そう言って。まだキスの感触に酔ったままのぼくを、彼女はその胸の中へと抱きとめる。変な意味ではなく、柔らかくて温かくて、とても気持ちがいい。
    「うん……」
    抱きとめられた。その体勢のままで、視線を画面の方へと向ける。もうエンディングも終わって、ディスクのトップメニューが表示されているだけだ。
    「映画、終わっちゃったね」
    「うん。そうだね」
    言いながらも、ぼく達はまだ抱き合ったまま動かない。映画は悲恋に終わったけれど、ぼく達はそうはならない。
    「今度はもっと明るい内容の物を観ようよ」
    言いながら彼女の腕の中から離れて、ディスクを取り出して元のケースへとしまう。近所のレンタルショップで借りた物だ。返すついでに、また別の物を借りてこよう。
    「今度は……アクション物とかどうかな?」
    言いながらダイくんは、まだ一欠残っていたバームクーヘンを手に取り。そしてそれを半分に割って、ぼくの口元へと運んだ。
    ふんわりとした生地に、バターの香り。表面にかけられた砂糖の甘さ。何よりも、目の前で笑っている彼女の存在。そのどれをとっても、絶品だとしか言いようがない。

    バームクーヘンとは、こんなにも甘い物だったなんて!
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