あんだんて
もぐり
MOURNING西師弟アンソロ原稿にしたかったけど、ひだまり感もアンダンテ感もないので没にしました。暗い幼体クロエの初めての野宿の話です。ラスティカと……一緒なのに……暗いです
待てば海路「ごめんねクロエ。野宿になってしまって」
「えっと大丈夫。初めてだけど、ラスティカと一緒だし……」
到着した街の宿泊施設がほぼ満室で、唯一空いていたのが地下牢モチーフの部屋だった。
暗くて、寒くて、不気味で。海辺の街だったこともあり、じめっとしている。どうしても「ここに泊まりたくない」と思ってしまった。ラスティカはそれをわかってくれて、だけど他に泊まるところも見つからなくて。結局野宿になった。
野宿は野宿で怖かったけど。ラスティカがぎゅっと手を握って「寒くないようにするからね」と言ってくれた。
そして今、二人で場所を決めてラスティカが準備をしてくれている。
「星が綺麗だよ、クロエ。この様子なら明日も晴れそうだ」
5633「えっと大丈夫。初めてだけど、ラスティカと一緒だし……」
到着した街の宿泊施設がほぼ満室で、唯一空いていたのが地下牢モチーフの部屋だった。
暗くて、寒くて、不気味で。海辺の街だったこともあり、じめっとしている。どうしても「ここに泊まりたくない」と思ってしまった。ラスティカはそれをわかってくれて、だけど他に泊まるところも見つからなくて。結局野宿になった。
野宿は野宿で怖かったけど。ラスティカがぎゅっと手を握って「寒くないようにするからね」と言ってくれた。
そして今、二人で場所を決めてラスティカが準備をしてくれている。
「星が綺麗だよ、クロエ。この様子なら明日も晴れそうだ」
seki_shinya2ji
DONE絶対音感スナくん、完結アラベスク、アップライト・ピアノ、アルペジオ、そしてアンダンテ。
[A]楽器を、一生の買い物とする。
治は初めて楽器屋に行き、誓った。
人生の中で、「一生モノの買い物」は何回行うことになるだろう。
治は、アルバイトをして必死に貯めた金で安い空き店舗を購入した時にそう思った。
治は侑とは少し違って「一生のお願い」をあまりしてこなかった。そりゃ、和牛のサーロインステーキと新鮮な海鮮丼、どちらがいいか、と聞かれた時は父親に「オトン、一生のお願いや。そのてんぷら定食辞めて和牛のサーロインステーキ頼んでや。俺はこの海鮮丼が食いたいねん。半分でええから和牛食いたい……」と幼いながら涙を滲ませて頼んだことはある。未だに両親からも兄弟からもネタにされる。
一方で侑はかなりの頻度で「一生のお願い」をしていた。課題を忘れた時、腹が減った時、日直に遅れそうになった時、そして北に告白をする時。その現場を覗いていたことがあるのだが、あの日以来侑の「一生のお願い」はあまり聞かれなくなった。
14725治は初めて楽器屋に行き、誓った。
人生の中で、「一生モノの買い物」は何回行うことになるだろう。
治は、アルバイトをして必死に貯めた金で安い空き店舗を購入した時にそう思った。
治は侑とは少し違って「一生のお願い」をあまりしてこなかった。そりゃ、和牛のサーロインステーキと新鮮な海鮮丼、どちらがいいか、と聞かれた時は父親に「オトン、一生のお願いや。そのてんぷら定食辞めて和牛のサーロインステーキ頼んでや。俺はこの海鮮丼が食いたいねん。半分でええから和牛食いたい……」と幼いながら涙を滲ませて頼んだことはある。未だに両親からも兄弟からもネタにされる。
一方で侑はかなりの頻度で「一生のお願い」をしていた。課題を忘れた時、腹が減った時、日直に遅れそうになった時、そして北に告白をする時。その現場を覗いていたことがあるのだが、あの日以来侑の「一生のお願い」はあまり聞かれなくなった。
かのん
DONEAndante spianato付き合って間もないヒュンマのデート話。
ショパンの同名のピアノ曲をモチーフに書きました(正確には、「アンダンテ・スピアナートと華麗なる大ポロネーズ」という曲の前半部分)。
前回のフェスの時からずっとこの曲をモチーフにした作品が書きたいと思ってたので、出来はともかく、実現出来て良かったです! 8
CIDKUN2
SPOILERマダミス「真夜中のアンダンテ」および前作「夜明けの鳥が鳴くまでに」(←通過済み前提のため)ネタバレ絵の過去まとめ。!随時増えます。
!解釈違いが気になる方は閲覧をお控えください。
×未通過閲覧×
「真夜中のアンダンテ」「夜明けの鳥が鳴くまでに」両方通過済みで閲覧希望ですか?→yes 6
maru_chikaita
DONEpixivにアップした【アンダンテ・スピアナート】のつづきのつづき。これでとりあえず終わりです。
7/23 指摘をいただき公演名の誤記載を修正しました
【アンダンテ・スピアナート 3】春組第六回公演『春ケ丘Quartet』は盛況のうちに千秋楽を迎えた。
満員御礼の客席、土砂降りの雨のような拍手。かつて夢にすら描けなかった光景が、確かに至の眼前に広がっていた。
そんな夢よりも現実離れした時間は過ぎ去り、おじいさんは山へ芝刈りへ、お父さんは川へ洗濯へ――ではなく、卯木千景は海の向こうに出張へ、そして、茅ヶ崎至は社畜として残業の日々を送る。
ぴんぽんぱんぽーん。
天井の高い建物に響く音色。間もなく搭乗手続きを締め切ります、と続いた女性のアナウンスに、至は何となく頭上を見上げた。その間にも旅行客や出張客が至の両脇を忙しなく行き交う。
空港の出発ロビーにひとりで突っ立っていた至は、視線を保安検査場へと向けた。窓の向こうの、飛行機の出発時間を待つ旅行客のさらに向こう側。窓の外を、ごおお、と音を立てて飛行機が飛び立つ。この間はあれを海から見たな、と至の頭の片隅を在りし日の景色が過った。
4632満員御礼の客席、土砂降りの雨のような拍手。かつて夢にすら描けなかった光景が、確かに至の眼前に広がっていた。
そんな夢よりも現実離れした時間は過ぎ去り、おじいさんは山へ芝刈りへ、お父さんは川へ洗濯へ――ではなく、卯木千景は海の向こうに出張へ、そして、茅ヶ崎至は社畜として残業の日々を送る。
ぴんぽんぱんぽーん。
天井の高い建物に響く音色。間もなく搭乗手続きを締め切ります、と続いた女性のアナウンスに、至は何となく頭上を見上げた。その間にも旅行客や出張客が至の両脇を忙しなく行き交う。
空港の出発ロビーにひとりで突っ立っていた至は、視線を保安検査場へと向けた。窓の向こうの、飛行機の出発時間を待つ旅行客のさらに向こう側。窓の外を、ごおお、と音を立てて飛行機が飛び立つ。この間はあれを海から見たな、と至の頭の片隅を在りし日の景色が過った。
maru_chikaita
DONEpixivにアップした【アンダンテ・スピアナート】のつづきです。山に行ったあとは海に行く千至。
3まで書く予定です。
【アンダンテ・スピアナート 2】よく晴れた、ある土曜日。
茅ヶ崎至は仕事が休みにも関わらず珍しく早起きし、ガレージキットの即売会の為に臨海地区の展示会場に向かった。
目当ての品は、来年発売予定の新作フィギュア。即売会開催期間中、試作品が展示されるとの案内が至の元に届いた。何としても、通販予約開始前に実物を確認しておかなければならない。千景がいればきっと「無駄すぎる使命感」と一蹴しただろうが。
電車を乗り継ぎ、臨海地区の会場最寄駅へ向かう。至と同じく即売会へ向かう猛者。確実に目的地が違うであろう、家族連れ。付合いたてらしき、微妙な距離感のカップル。朝早いのに、電車は割と混み合っている。
今回、至の目的は買い物ではない。なので、電車内の同胞たちよりも幾分余裕ある心持ちで会場に向かった。最寄り駅に到着し、会場で目的の試作品の出来映えを確かめ、適当に会場内をひやかしてから帰途につく。
6227茅ヶ崎至は仕事が休みにも関わらず珍しく早起きし、ガレージキットの即売会の為に臨海地区の展示会場に向かった。
目当ての品は、来年発売予定の新作フィギュア。即売会開催期間中、試作品が展示されるとの案内が至の元に届いた。何としても、通販予約開始前に実物を確認しておかなければならない。千景がいればきっと「無駄すぎる使命感」と一蹴しただろうが。
電車を乗り継ぎ、臨海地区の会場最寄駅へ向かう。至と同じく即売会へ向かう猛者。確実に目的地が違うであろう、家族連れ。付合いたてらしき、微妙な距離感のカップル。朝早いのに、電車は割と混み合っている。
今回、至の目的は買い物ではない。なので、電車内の同胞たちよりも幾分余裕ある心持ちで会場に向かった。最寄り駅に到着し、会場で目的の試作品の出来映えを確かめ、適当に会場内をひやかしてから帰途につく。