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    がみ

    すだま

    PAST⚠️『ノイマンの航海日誌』ネタバレ有
    ⚠️オリジナルキャラ有

    ポイピク50番目の投稿です。
    昨年6月、Xに垢を作った当初、ディの独り言でできた話なのでテキストで出そうとしていました。
    絵を描き始めた為に放置していたのをドラマCDを反映し形にした次第です。ただただディがミリを好きだと唸っています。
    タイトルも曲名ですが、ディアミリを想いながら聴いていたのは伊藤由奈の『trust you』でした。
    ア・ソング・フォー・ユー 高台から海へと向かう冷たい風が吹き抜け、思わずジャケットの前を合わせていた。
     日中は強い日差しで焼けつくような暑さだったが、あたりが徐々に暗くなると急激に冷え込む。予測できない天候は、地上に降りたことを実感させた。プラントにはない生臭さの混じる潮の香りと高い空。流れゆく雲の隙間からは、半分に欠けた白い月が覗いている。
     
     オーブの首都、オロファトから郊外へ車で三十分程にある海沿いの居住区。夜間も騒々しい繁華街の脇道に逸れると、そこは人気のない暗がりで、しんと静まり返っている。
     ディアッカは小さな駐車場に車を止めると薄暗い細道を歩き、突き当りの雑居ビルの前で足を止めた。狭くて煤けた急な階段を降りると、左手に色褪せたポスターやステッカーが幾重にも貼られた黒い扉がある。ぐっと力を入れて扉を押し開ければ、途端に煙草の匂いが全身にまとわり付き、思わず顔をしかめていた。
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    tokiwa0625

    DONEさがみさんのお誕生日お祝い第二弾として捧げたものの再録。
    廃太子パロ。
    渡りの果てが待ち合わせ まず、一人目の証言。「そう言やよ。妃殿下、最近迷わなくなったよな!」

     戦煙の狼の異名を持ち、あちらこちらで考え無しに戦端を開いてくれた祖父から、父の治世となって早二十年。
     その間、この離宮は空き家同然に放置されていたが、仮にも王家の逗留を前提に設計された建造物だ。有事の際は城下町の人間全員の避難場として開放される広大な敷地。一年を通して決して枯れることのない最新鋭の水利システムが導入された庭園の噴水。屋敷の柱や壁を覆い尽くすのは、手間を惜しまぬ贅を凝らしたモザイクにレリーフ。どれ一つ取っても、地方の下級貴族の本邸が質素な犬小屋に見える規模と品質を誇る。
     幼少期、人族に飼われていた過去があるにせよ、いざ屋敷の女主人として住み始めると、見えてくる視点が変わるらしい。「何で厨房があんな奥に押し込められてるの。囲炉裏は家の中心にあるべきでしょ」やら「寝具を出しっぱなしって、人族は物臭やね」やら「衣装を保管しておくためだけの部屋があるっていうのが既におかしい!服は長持ちにしまうもんだって!」やら、伝統ある帝国の建築様式についてピーチクパーチク喚いていたのを思い出す。
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