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    ふわふわ

    途綺*

    DONE🐑🔮//綺羅星の微睡み

    甘やかされてふわふわしてぼんやり眠くなる話。※実際にある睡眠導入法を軽くアレンジしています。
    「ふーふーちゃんのばか」

    足を抱えて小さく丸まった浮奇の声は、深く潜り込んだベッドの中でくぐもって響いた。ファルガーがドッゴの夜の散歩から帰ってきた直後という、浮奇にとっては有り得ないほど早い時間にベッドへ入っているのは低気圧に負けて痛みを訴える頭のせいだった。

    外の雨が強くなるにつれて突き刺すような痛みが徐々に強くなってきたこめかみをさすりながら眉根を寄せていた浮奇は、見兼ねたファルガーに鎮痛薬を飲むよう促された。当然の対応だとは分かっていたが昼前から痛んでいた頭は疲れ切って正常な思考を保てず、浮奇は鎮痛薬を差し出すファルガーの手を拒否した。ふーふーちゃんが抱きしめてくれれば治るだとか、脳みそを取り出して壁に投げたいだとか、キスして甘やかしてよだとか。とにかく悪態をついた覚えはあるが何を口走ったのか記憶にない。ただ、話を受け流しつつ浮奇の手を引いてキッチンへと向かったファルガーが唐突に顎を掴んできて、優しく重なる唇に安心したのと同時にぬるい水と薬が口内へ流れ込んできたことで浮奇はようやく正気を取り戻した。
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    こいけ

    DONEふわふわ人外婚姻譚K富
    前回の続き これにておしまい
    どうやら空気を読みすぎたのかもしれない Kが突然の神様宣言をしてから一週間、診療所は平和な日々が続いていた。あんなに忙しすぎてなにがなんやらわからなくなった三日間もどこか懐かしく感じる。二度と経験したくはないけど。
    「富永、俺は明日の往診の準備をしてくる」
    「はーい、了解です」
     平和だ。医者が暇なのはいいことだ。なんとなくカルテを整理しながら、Kの神様宣言について考えていた。Kにしては珍しい冗談だったので印象が強かったのだ。神様によるとここは祠らしくて、それにしてはずいぶん生活感のある祠だなあ。しかもでかいし。中に家電が置いてある祠なんて日本中探してもここにしかないんじゃないか。あってたまるか。
     Kが神様なら麻上さんは巫女だろうか。村井さんは狛犬とか?犬耳と尻尾のついた村井さんを想像して思わず笑いが漏れた。需要が無さすぎる。村井さんは神主だな。神様に仕える人だし。巫女服姿の麻上さんも似合うだろうけど、彼女にはやっぱりナース服が似合う。これは口に出したら例えその気がなくともセクハラになりそうなので決して言わないでおくが。一也くんこそ狛犬が似合いそうだ。でも一族的な考え方をすると彼もまた神様側なんだろうなとも思う。そこまで考えて、じゃあ俺はなんだろうと考えた。いや俺は人間なんだけど。なんなら全員人間なんだけど。
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    SkydiveR_ay

    DONEふわふわしたせそです
    約束する話
    0.12% 深夜の三時半過ぎに目がさめてしまって、うまく眠れなくて、布団でごろごろ転がっていたところを、彼に見つかった。眠れないなら、起きていればいい。ただ何もしないのも退屈だから、ドライブにでも行こうか。じゃあ、海に行こう。そんなおかしな理由で、彼はさっさと車の鍵を掴んで、気づけば玄関で待っていたのだった。自分は何も準備もしていなかったのに、白いシャツに薄手のカーディガンを羽織って、充電がいっぱいの携帯と中身のすくない財布だけを持つと、準備ができたことになってしまった。肯定とみなした彼は扉を開けて、夜の世界に足を踏みいれる。滲んで濁った空、低い月がかすんで見える空は、息がしやすいように思えた。
     赤いオープンカーは、夜の中では色がよくわからない。車のライトに照らされればわかるけれど、街灯の隙間に一瞬だけ映る影の中では、その色をとらえることができない。駐車場のライトから抜け出したその一瞬の暗闇で、昼にすればよかった、なんてすこし後悔した。でも彼が行こうと言うのだから、それに従うほかなかった。このまま朝まで眠らずに待っていたって、彼の言うとおり退屈なのだ。どうせ明日の予定もないから、布団の上でごろごろ転がるだけの時間をくりかえすだろう。
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