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    やわらかい

    SkydiveR_ay

    PROGRESS進捗です
    昔に書いたこういうやわらかい雰囲気のものが書きたくて、ちまちまやっています
     深夜の三時半過ぎに目がさめてしまって、うまく眠れなくて、布団でごろごろ転がっていたところを、彼に見つかった。眠れないなら、起きていればいい。ただ何もしないのも退屈だから、ドライブにでも行こうか。じゃあ、海に行こう。そんなおかしな理由で、彼はさっさと車の鍵を掴んで、気づけば玄関で待っていたのだった。自分は何も準備もしていなかったのに、白いシャツに薄手のカーディガンを羽織って、充電がいっぱいの携帯と中身のすくない財布だけを持つと、準備ができたことになってしまった。肯定とみなした彼は扉を開けて、夜の世界に足を踏みいれる。滲んで濁った空、低い月がかすんで見える空は、息がしやすいように思えた。
     赤いオープンカーは、夜の中では色がよくわからない。車のライトに照らされればわかるけれど、街灯の隙間に一瞬だけ映る影の中では、その色をとらえることができない。駐車場のライトから抜け出したその一瞬の暗闇で、昼にすればよかった、なんてすこし後悔した。でも彼が行こうと言うのだから、それに従うほかなかった。このまま朝まで眠らずに待っていたって、彼の言うとおり退屈なのだ。どうせ明日の予定もないから、布団の上でごろごろ転がるだけの時間をくりかえすだろう。
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    maymfdear5

    DONE渉友です。
    前に上げた「優しくて、やわらかい夜」と同じ時空の秋の話です。
    くっだらないネタだなーと思いながらも、「ありふれた日常」がテーマなのでこんなことして遊んでて欲しいです。渉友、幸せであれ。
    前回と今回の2作に夏と冬の話を追加していつかpixivにあげます。
    こどものままでシガレット ガチャリと開けたドアの中が暖かくて、惚けたようにはぁと息を吐く。日中はまだ汗ばむのに、夜はさすがに半袖じゃもう寒い。日が落ちるのも随分早くなった。つい最近まで歩けば途端に汗が吹きでるような暑さだったのに、今では吹く風が頬をひんやりと冷やす。
    今年もきっと短い、秋。

    靴を脱ぎながらはたと気付く。今日は出迎えがなかった。あの人は一日オフだったはず。玄関に靴はあったし、出かけてるわけではなさそうだけれど。
    あ、そういえば俺もただいまを言うの忘れてた。まぁ彼は仕事部屋で何かしているか、俺を驚かせようとして隠れているかだろうな。後で言えばいっか。なんてぼんやり考えながらまっすぐ寝室に向かって部屋着に着替える。前にRa*bitsでコラボしたブランドのルームウェア。ふわふわで柔らかい生地が気に入って買い取ったら彼も欲しいと言うので結局お揃いにしたものだ。
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