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    raixxx_3am

    @raixxx_3am

    一次/二次ごっちゃ混ぜ。ひとまず書いたら置いておく保管庫

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    POIPOI 29

    raixxx_3am

    DOODLEこれ(https://poipiku.com/5919829/9722395.html)の後日談だけど読んでなくても別に大丈夫。「無理に話さなくっていい」はやさしさなのと裏腹に言葉を封じてしまっている側面もあるよなぁとぐるぐる思ったので書きました。
    ふたりともちゃんと話し合ったり、弱さや迷いを打ち明けあえるいい子なんだと思うきっとおそらくたぶんという夢を見ています
    (2024/2/11)
    repose「遠野くんあのね、ちょっと……いい?」
     夕食の片づけを終えたタイミングを見計らうように、背中越しにつつ、と袖を引っ張られる。ふたりで過ごす時間にしばしば為される、すこし子どもじみて他愛もないスキンシップのひとつ――それでもその声色には、いつもとは異なったいびつな色が宿されている。
    「うん、どうかした?」
     努めて穏やかに。そう言い聞かせながら振り返れば、おおかた予想したとおりのどこかくぐもったくすんだ色を宿したまなざしがじいっとこちらを捉えてくれている。
    「あのね、ちょっと遠野くんに話したいことがあって……落ち着いてからのほうがいいよなって思ってたから。それで」
     もの言いたげに揺れるまなざしの奥で、こちらを映し出した影があわく滲む。いつもよりもほんの少し幼くて頼りなげで、それでいてひどく優しい――こうしてふたりだけで過ごす時間が増えてから初めて知ることになったその色に、もう何度目なのかわからないほどのやわらかにくすんだ感情をかき立てられる。
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    raixxx_3am

    DOODLE貴澄くんにスペアキーを預けるお話。(付き合ってるきすひよ)
    Beehive ポケットの中ではもうずうっと、ことり、と固くて冷たい金属製の〝それ〟が出番を待ち構えたままでいる。
     まぁまぁ、そう焦らないでよ――なだめるような心地になりながらポケットづたいになぞりあげ、ぬるい息を吐く――何度目かのルーティーンを終えたところで、あらかじめ用意しておいたせりふを頭の中で思い起こすようにする。
     物事にはしかるべきタイミングだなんてものが何よりも重要――いや、時には勢いに任せることだって求められることだけれど。
     迎え入れてすぐ、はなんだか違う。いっそのこと帰り際にでも、とも思ったけれど、なんだかそれもよくない気がする。有無を言わさず、みたいな感じがするし。
     昼食の片づけを終えて、録画していたドキュメンタリー番組(絵画修復士と俳優が海外の美術館のバックヤードに潜入する、だなんて特集番組で、予想以上に見応えのあるものだった)を並んで見た後――ぬるくなったコーヒーを淹れなおしてすこし一息ついて、おそらくは近況報告だとか、次の休みにはまたどこかにいこうか、なんだかんだでこうして家でふたりきりで過ごすのも悪くないのだけれど、なんて話になって――うん、やっぱり〝いま〟がいい。
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    raixxx_3am

    DONERWのゲーセン事変(?)のちょっとあと、バスケの合間に貴澄くんと日和くんがおしゃべりしてるお話。恋愛要素はこの時点では特にないです。
    旭くんと郁弥くんもちょっとだけ出てくる。
    SCENE リズミカルにボールが跳ねる音に重なり合うように、キュッキュッ、と小気味よくソールが擦れる音が響き渡る。この音にも、もう随分耳慣れたものだな、だなんて感慨をいまさらのように受け止めている自分に気づいた時、ふっと笑みがこぼれる。
     屋外のコートでのプレーの開放感ももちろん気持ちいいけれど、風や陽射しの影響を受けない屋内の方が、その分だけプレーには集中できる。陽の光を直接浴びる事のない屋内プールで一年の大半を練習に明け暮れている身としては、風と光に晒されながら陸の上で思い切り身体を動かすのだって、なかなか新鮮な楽しみがあるのだけれど。

    「旭いけ、その調子!」
     激しい攻防戦の末にどうにかボールを手にした椎名くんの周りをぴったりと張り付くように、対戦相手がガードをかける。体格差はほぼ互角だが、だからこそ経験値の違いは如実に現れる。的確なタイミングで繰り出されるフェイクやテクニカルな低いドリブルを前に、水の中で鍛えたのであろう瞬発力溢れる動きや、諦めの悪さとあふれる熱意でカバーしながら一歩も怯む事なく奮闘するあたり、素人目に見ても中々見応えのある戦いになっているのが興味深い。
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    raixxx_3am

    DONEすごくいまさらな日和くんのお誕生日ネタ。ふたりで公園に寄り道して一緒に帰るお話。恋愛未満、×ではなく+の距離感。貴澄くんのバスケ部での戦績などいろいろ捏造があります。(2023/05/05)
    帰り道の途中 不慣れでいたはずのものを、いつの間にか当たり前のように穏やかに受け止められるようになっていたことに気づく瞬間がいくつもある。
     いつだってごく自然にこちらへと飛び込んで来るまぶしいほどにまばゆく光輝くまなざしだとか、名前を呼んでくれる時の、すこし鼻にかかった穏やかでやわらかい響きをたたえた声だとか。
    「ねえ、遠野くん。もうすぐだよね、遠野くんの誕生日って」
     いつものように、くるくるとよく動くあざやかな光を宿した瞳でじいっとこちらを捉えるように見つめながら、やわらかに耳朶をくすぐるようなささやき声が落とされる。
     身長のほぼ変わらない鴫野くんとはこうして隣を歩いていても歩幅を合わせる必要がないだなんてことや、ごく自然に目の高さが合うからこそ、いつもまっすぐにあたたかなまなざしが届いて、その度にどこか照れくさいような気持ちになるだなんてことも、ふたりで過ごす時間ができてからすぐに気づいた、いままでにはなかった小さな変化のひとつだ。
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    raixxx_3am

    DONEこのお話(https://poipiku.com/5919829/8597397.html)のおまけ。仲良く一緒に帰っていくきすひよ(※付き合ってるけどみんなにはまだ言ってない)を見送った後のまこ+はるがおしゃべりしてるだけ。
    ※この世界線のまこはるはまだ何も始まっていません。
    きすとひよが一言しか喋らないけど一応きすひよ…ってことにさせて(まこはるタグは勇気がなくてつけられないから笑)
    ニアリーイコール「じゃあ僕たちこっちだから、ハルも真琴もまったね〜! 」
    「橘くん、今日は色々とありがとう。七瀬くんもまたね」
     いつも通りの控えめでやわらかな笑顔の横で、満面の笑顔と一際明るくはずんだ声が届けられる。すぐさまくるりと身を翻して歩き出す二対の背中をぼんやりと眺めていれば、話す内容こそ聞こえてこなくとも、穏やかな親密さは自然とこちらへと伝わる。
     いやはや、なんと言えば良いのかは、まだうまく言葉が見つかりそうにはないのだけれど。

    「どうした、真琴」
     ぼんやりとその場に立ち尽くして居れば、隣を歩く幼馴染からは当然ながら疑問の声が上がる。
    「――いや、なんかさ。随分仲良くなったんだなあって思って、あのふたり」
     取り繕うような笑顔と共に答えれば、「ふうん」だなんていかにもな気のない生返事が返される。まあ――わかりきった話ではあるのだけれど。
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    raixxx_3am

    DONE付き合ってるきすひよ。帰り道。
    (2023/03/06)
    モメント かくん。
     大きな身震いを起こしたのにつれて、ぴったりと重ね合わされていた瞼がふるふると震える。
    「ごめん――寝てたみたいで。重くなかった? 平気?」
     眼鏡のフレームにそっと手をかけ、ごしごし、と無造作な手つきでらんぼうに瞼をこすりながらひどく恐縮したようすで声をかけられる。
    「ううん、ぜんぜん。それより、遠野くんは大丈夫なの?」
     間近に見つめあう眼差しに浮かぶ憂いを、すこしでも打ち消せるように――やわらかに笑いかけるようにしながら答える。
    「疲れてたんでしょ、無理もないよね」
    「でも……」
     心底申し訳なさそうに髪をかきあげなら吐息まじりにこぼされる声に、心をしずかになぞられるような心地を味わう。

     いつものように駅で落ち合ってから部屋まで招いてもらって、夕食をご馳走になって(きょうだってもちろんすごく美味しかった)、手分けして食事の片付けを終えて、前から評判だった配信のドラマを隣あって座りながら一緒に観て――主人公たちの元へと、まさに脅威が迫り来るその瞬間だった。無防備にこちらへとしなだれかかる心地よい重みと温もりに気づいたのは。
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