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    ゆうじ

    うーん

    11111111ってなんだろう 不思議であんまり明るくないゆうじゃ
    病めるは昼の月・午前二時の青い薔薇



       病めるは昼の月

     理不尽な交通事故に遭い、脚の骨を粉々に潰され、ジャックに用意された輝かしい王者の道は突然の幕切りを迎えた。もう二度とDホイールには乗れないだろうと医者が言った晩、ジャックは病室で首を吊ろうとし、それから現在に至るまでの五年間、精神病棟に閉じ込められ外出もままならなかった。
     回復の兆しはない。彼は何度も何度も同じ本を読んで一日を静かに過ごし、たまに切欠もなく暴れだして、その度に看護師たちが彼の痩せた身体をベッドに拘束した。
     遊星は、毎日欠かさず病室に通って彼と話をした。
     なじみの野良猫の毛並、季節の植物、しつこくて頑固なねぐせ、海の目がかわくような青さ……。
     とりとめのない話にジャックは相槌を打ってくれる。入院したころは彼から提供される話題もいくらかあったが、大量に処方されるSSRIの副作用でだんだん意識が混濁してきているようで、ここ最近は現状を憂う言葉も聞かなくなった。ただ相槌を打つだけだ。色けざやかな花や甘い菓子はジャックのすみれ色の瞳を明るくしたが、それだけだった。
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    屍(大荒れペンギン

    TRAINING楓さんと釛おじとユウジジと暁おじ
    (魔術師前提のただのドンパチ)
    轟音が響いた場所は、廃倉庫の中だった。それはまるで映画の世界のように、コンテナの一つを足場にして飛んだ。
    「さっさと死んじまいなクソ野郎!」
    「相変わらず、横暴な奴だな。乾楓」
     乾楓と呼ばれた赤髪の男は、憎悪にまみれた顔で冷え切った目をして対峙している絵羽嶋暁を見据えた。アイツだけはこの手で殺さなければいけない。何があってもだ。
    「あぁ、そうだ。お前の嫁と子供、もうこさえてくれないのか?あぁ、殺し甲斐があって楽しかったよ。一瞬で肉片になったんだから」
    「テメェ……それ以上無駄口叩くんじゃねぇよ、虫唾が走るぜ」
    思い出したくもない、自身の嫁子供を奪われ一瞬で気が狂ったあの日を。
    それから続いてきたあの苦痛と絶望と後悔と憎悪と険悪と自己嫌悪の全てが乾楓の中で煮え滾って怒りへと変わる。そうすればあとは簡単で、その完成された激情はあっさりと理性を飲み込んだ。
     自身だけならまだよかったかもしれないが、相棒の嫁子供まで奪ったその男を放置しておくわけにいかない。
    「オラァッ死ね」
    「全く手負いの獣って感じで怖いんだから」
     悠々と楓の重い一撃を躱したあげく、自分の手を汚さず、 1766