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    アカデミー

    れんこん

    DONE第6回ベスティワンドロ用
    お題「手料理」
    アカデミー捏造のフェイビリです。
    窓からカーテン越しに差し込む光が、もう夜が明けてしまったのだと伝えてくる。
    朝といっても、もうきっと世の中の一般の人達は遅いと言う時間だろう。ほんの少しだけ重い瞼を持ち上げて、日差しの差し込み加減から勝手に時間を判断すると、ゆっくりと伸びをした。
    ……あぁ、お腹空いた。

    ほんの少しだけ腰に軋むような痛みがあるけれど、きっと普通に過ごしていたら忘れてしまう。
    ゆっくりとベッドから降りて、ベッドサイドにきちんと畳んでおいた下着を身につけて。
    今日はホリデー。制服に着替える必要も無いから、適当な服で良いかな。
    緩めのパーカを選んで袖を通し、あくびをしながら部屋にひとつだけ付いている洗面台へ。
    いつもみたいに顔を洗ってから歯磨きをして。
    それからベッドサイドに置かれていたゴーグルを取っていつものように隙間なくきっちりとつける。ゴムで締め付けられて変な形になった髪の毛を、鏡を見ながら整えて。最後に馴染みの黒い手袋……これは洗濯したての新しいやつを出してきて身につける。
    これでいつものオイラの完成。

    ベッドのゴミ箱に捨てられている様々な痕跡は、同室の子が帰ってくる前に、忘れる前に処分しなくちゃ 4276

    epep3579

    DONE例えば君が恋をして(アキウィル)
    アキ(→)←ウィルな両片想い
    アカデミー時代の捏造と、モブがめっちゃ喋る。
    子どもの行動は唐突だ。本人を突き動かした原因なんて、本人以外には分かりやしない。

    その日は雨が降っていた。レンは家族の用事ができて、アキラの家で二人で遊んだ。家の中でできる遊びはとうに尽き、子ども向けの番組もない中帰るには早く二人でぼうっとテレビを眺めていた。
    箱の中の男女は想いを通わせ口付けをする。その表情は幸せに満ちており、輝かしいものに見えた。

    「ぼくもこんな感じになれるのかな」

    ぽつりと溢れた言葉は本心だった。強い大人になって、好きな女性を守れる逞しい男性。今のぼくには程遠い存在。

    「ウィル」

    名前を呼ばれて隣のアキラを見る。「なに?」そう言おうとした口は塞がれてしまい、それ以上音を零すことはなかった。
    小さな水音をたてて離れた唇からは、何も言われない。炎の様に燃える瞳に吸い込まれるように見つめれば、何事も無かったように視線はテレビへと戻る。
    「どうしてキスしたの?」なんて、居心地が悪くて聞けなかった。

    『ヒーロー』を目指すアカデミーに入学する歳になった今でも、その疑問を口にすることはできないでいた。


    ーーー
    「アキラ、ちゃんと宿題やったの?前も提出して無かった 4567

    れんこん

    DONEアカデミー時代ベスティ
    出会い捏造のお話です。
    『こんなことも出来ないのか?お兄さんのブラッドはー…』

    『フェイスくん、カッコいい、全部好き!』

    『…ー兄弟なら、お前も優秀なはずじゃねーの?』

    『ねぇ、私と付き合ってよ、』



    頭の中に交互に響くのは自分への否定と肯定の言葉。いろんなものがごちゃ混ぜになった地面のない世界のど真ん中に放り出されたみたいな心地がして、びくりと体を震わせて目が覚める。
    ……うたた寝ってろくな夢を見ない。
    なんとなく蒸し暑くなってきたから、校舎の隅の木陰で横になっていたけれど、失敗した。
    陰で水分を含んだ芝が制服を湿っぽくして、まるで今の俺の状態を仲間と認めて誘ってくるような。……やだな。
    でもそれでもサボっていた授業に戻ろうなんて気も起きなくて。かといって自分と違ってやる気のあるヒーロー志望の子と同室の寮に戻る気だって起きない。
    好きと嫌いの感情のマーブルチョコは今は受け付けられなくて、女の子に会って気晴らしをしようという気にもならない。
    この無駄にただイライラと……いや、しゅんと落ち込んでいくような気持ちを抱いている時間が無駄だというのはわかっている。

    ……こういう時には音楽を聴くのが良い。
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