アポリア
januar00kate99
PAST歴史介入前夜。寝付けずにいたルチアーノは、深夜のアーククレイドルで偶然パラドックスと出会う。
※ルチアーノにとってアポリアの「記憶」とは?という話です。
※ルチアーノがやや弱気。
※ルチ→パラ、パラ→ルチの口調を捏造しています。
※他作品と設定を共有している部分があります(同じ世界線かもしれないし、違うかもしれません)。
※その他、あらゆる要素が作者による幻覚です。
闇夜と唄 ルチアーノの心の最奥には、いつも熱風が吹いている。父と母を消し去った熱風が。
「何か」が焼け焦げていく臭いと、巨大な建物が積み木のように簡単に、しかし轟音を伴ってくず折れてゆく光景を、はっきりと覚えている。
いない、どこにもいない、手を握ってくれていた人たちはどこにも。
指と指が離れていく感覚は、意識の奥深く、あの風が吹いているのと同じところにこびりついていた。
あれは、ルチアーノ自身の記憶ではないのに。ルチアーノがルチアーノであるために、機械の身体に埋め込まれた最も重要なパーツ、それがアポリアの記憶だった。それなのに、風はたまにルチアーノの心を削るように吹くから、機械の胸は血を流すように痛むのだ。
2898「何か」が焼け焦げていく臭いと、巨大な建物が積み木のように簡単に、しかし轟音を伴ってくず折れてゆく光景を、はっきりと覚えている。
いない、どこにもいない、手を握ってくれていた人たちはどこにも。
指と指が離れていく感覚は、意識の奥深く、あの風が吹いているのと同じところにこびりついていた。
あれは、ルチアーノ自身の記憶ではないのに。ルチアーノがルチアーノであるために、機械の身体に埋め込まれた最も重要なパーツ、それがアポリアの記憶だった。それなのに、風はたまにルチアーノの心を削るように吹くから、機械の胸は血を流すように痛むのだ。
januar00kate99
PASTアポリア合流直後の生前滅四星の話。アーククレイドルにて、ピアノを見つけたアポリアは、演奏しようと試みるが……。
※アポリアが子どもの頃にピアノを習っていた設定です。
※他作品と設定を共有している部分があります(同じ世界線かもしれないし、違うかもしれません)。
※未来の世界に生きた一般の人びとが登場します。
※その他、あらゆる要素が作者による幻覚です。
音階は消えず そこには、一台のピアノがあった。
幻ではなかろうか、とアポリアはもう一度、よくよく部屋の中を覗き込んだ。明かりが落ちた室内に通路からの光が差し込んで、黒く滑らかな楽器の表面を浮かび上がらせている。
それはほんとうにピアノだった。
アポリアは我知らず、部屋の中に足を踏み入れていた。ピアノなんて、もう随分見ていなかったからだ。
アポリアがこの部屋を見つけたのは偶然だった。ここに慣れてもらうためにも散策してきたらどうですか、Z-ONEにそう言われて、足の赴くままにアーククレイドル内を歩いていた。固く閉ざされた扉が延々と並ぶ通路を進むうち、アポリアはひとつだけぽっかりと口を開ける扉に気づいた。そうして覗き込んでみれば、幼い頃に慣れ親しんだ楽器がそこにあったというわけだった。
4398幻ではなかろうか、とアポリアはもう一度、よくよく部屋の中を覗き込んだ。明かりが落ちた室内に通路からの光が差し込んで、黒く滑らかな楽器の表面を浮かび上がらせている。
それはほんとうにピアノだった。
アポリアは我知らず、部屋の中に足を踏み入れていた。ピアノなんて、もう随分見ていなかったからだ。
アポリアがこの部屋を見つけたのは偶然だった。ここに慣れてもらうためにも散策してきたらどうですか、Z-ONEにそう言われて、足の赴くままにアーククレイドル内を歩いていた。固く閉ざされた扉が延々と並ぶ通路を進むうち、アポリアはひとつだけぽっかりと口を開ける扉に気づいた。そうして覗き込んでみれば、幼い頃に慣れ親しんだ楽器がそこにあったというわけだった。
流菜🍇🐥
DOODLETF主ルチ。ルチがアポリアの記憶の影響でクラシックに詳しかったら、という幻覚テキストです。クラシック 食事を終えると、使い終わった食器を流しに運んだ。蛇口を捻り、流れ出したお湯で表面をすすぐ。こびりついていた油やソースが、水圧に押されて流しへと消えていく。スポンジに洗剤をつけると、残った汚れやぬめりをこそぎ落とした。
手を動かしていると、どこからか音楽が聞こえてきた。フルオーケストラで演奏されている、クラシックのCDか何かのようだ。どこかで聞き覚えがある気がするけど、どこで聞いたか分からないメロディーだった。
リビングに視線を向けて、音の発生源に気がついた。つけっぱなしになっていたテレビの中で、音楽系のクイズ番組が放送されているのだ。季節の変わり目になると、テレビ放送は単発の特番が増えていく。今放送されている番組も、そのうちのひとつらしい。
3121手を動かしていると、どこからか音楽が聞こえてきた。フルオーケストラで演奏されている、クラシックのCDか何かのようだ。どこかで聞き覚えがある気がするけど、どこで聞いたか分からないメロディーだった。
リビングに視線を向けて、音の発生源に気がついた。つけっぱなしになっていたテレビの中で、音楽系のクイズ番組が放送されているのだ。季節の変わり目になると、テレビ放送は単発の特番が増えていく。今放送されている番組も、そのうちのひとつらしい。
流菜🍇🐥
DOODLEシリアスのようなほのぼののような本編軸。アポリアと神様の魂の器についての話。アポリアの合体機構が本人の希望だったらいいなっていう願望を持っています。憧れ 私には、子供頃の思い出と言うものが無い。
頭の中に浮かぶのは、廃墟のようになった町の風景と、逃げ惑う人々の姿ばかりだ。空には巨大な機械が浮かんでいて、眩い光が放たれるごとに、建物が壊れ人の命が失われた。
それ以降の記憶は、全て戦場の出来事で埋め尽くされている。後に機皇帝という名を与えられる巨大な機械と、それに立ち向かう人々の光景だ。銃火器の発砲音と、命を落とした大人たちの悲鳴だけが、私たちの耳に届く『外』の全てだった。
それが当たり前だったのだ。私の人生は。
目が覚めたとき、一番に手を伸ばすのは、決まってこの杖だった。衰えて重くなった身体は、支えが無くては立ち上がることすらできない。重い腰を上げて身体を起こすと、ゆっくりとした動きで寝台から立ち上がる。身体を引きずるようにして向かうのは、この廃墟の中央だった。
2547頭の中に浮かぶのは、廃墟のようになった町の風景と、逃げ惑う人々の姿ばかりだ。空には巨大な機械が浮かんでいて、眩い光が放たれるごとに、建物が壊れ人の命が失われた。
それ以降の記憶は、全て戦場の出来事で埋め尽くされている。後に機皇帝という名を与えられる巨大な機械と、それに立ち向かう人々の光景だ。銃火器の発砲音と、命を落とした大人たちの悲鳴だけが、私たちの耳に届く『外』の全てだった。
それが当たり前だったのだ。私の人生は。
目が覚めたとき、一番に手を伸ばすのは、決まってこの杖だった。衰えて重くなった身体は、支えが無くては立ち上がることすらできない。重い腰を上げて身体を起こすと、ゆっくりとした動きで寝台から立ち上がる。身体を引きずるようにして向かうのは、この廃墟の中央だった。
流菜🍇🐥
DOODLEルチ&ゾーン。少年アポリアの幻覚に苦しめられるルチの話です。幻 神の代行者というのは、楽な仕事ではない。愚かな人々を操るために、多大な工夫を凝らさねばならないし、時には命を奪わなくてはならない。人の命を奪うのだから、当然、自らも命を狙われることになる。人間に武器を向けられるために、彼らは武力で反撃した。
それは、彼らに取っては仕方のないことであり、気に止める必要もないことだった。神の意志を人々に伝え、使命を全うするには、相応の犠牲が必要だ。奪われていく命の数など、これから救われる命の数を考えれば些細なものなのだ。
玉座に帰ると、ルチアーノは大きく息をついた。今日も、彼らに逆らう人間を葬ってきたところだったのだ。WRGPを計画したことで、彼らの計画は一歩先に進んだ。しかし、それは敵を増やしたことも意味している。彼らが暗躍すればするほど、割りを食った権力者たちは彼らを憎み、敵意を剥き出しにした。
3989それは、彼らに取っては仕方のないことであり、気に止める必要もないことだった。神の意志を人々に伝え、使命を全うするには、相応の犠牲が必要だ。奪われていく命の数など、これから救われる命の数を考えれば些細なものなのだ。
玉座に帰ると、ルチアーノは大きく息をついた。今日も、彼らに逆らう人間を葬ってきたところだったのだ。WRGPを計画したことで、彼らの計画は一歩先に進んだ。しかし、それは敵を増やしたことも意味している。彼らが暗躍すればするほど、割りを食った権力者たちは彼らを憎み、敵意を剥き出しにした。
流菜🍇🐥
DOODLE本編軸っぽいようなそうじゃないようなお話です。ルチアーノ視点。アポエウの過去捏造、ルチアーノがアポリアの記憶を持っている(思い出している)、プラシドの時代の記憶を共有しているなどの要素があります。勢いだけで書きました。大人になんてなりたくない 自分の前髪が嫌いだった。どれだけ綺麗に直しても、一房だけ変な方向に跳ねてしまうのだ。髪が伸びて左右に分けると、その部分だけが浮いてしまって、触覚みたいだとクラスメイトにからかわれる。どれだけパパとママに褒められても、この前髪だけは好きになれなかった。
悪夢のような出来事は、何の前触れもなく起こった。幸せだった日常を破壊するように、大きな機械たちが、ネオドミノシティを破壊したのだ。僕たちの居たショッピングモールは一瞬で倒壊し、パパとママは機械の出したビームに当たって消滅した。
僕は、その場に座り込んだ。何が起きてるのか分からなかったのだ。変な機械が町を壊して、パパとママが居なくなるなんて、悪い夢としか思えない。頬をつねっても、夢からは覚めなかった。涙が溢れて止まらなくて、このまま、ビームに当たって死んでしまおうと思った。
3365悪夢のような出来事は、何の前触れもなく起こった。幸せだった日常を破壊するように、大きな機械たちが、ネオドミノシティを破壊したのだ。僕たちの居たショッピングモールは一瞬で倒壊し、パパとママは機械の出したビームに当たって消滅した。
僕は、その場に座り込んだ。何が起きてるのか分からなかったのだ。変な機械が町を壊して、パパとママが居なくなるなんて、悪い夢としか思えない。頬をつねっても、夢からは覚めなかった。涙が溢れて止まらなくて、このまま、ビームに当たって死んでしまおうと思った。