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    アポリア

    januar00kate99

    PASTアポリア合流直後の生前滅四星の話。
    アーククレイドルにて、ピアノを見つけたアポリアは、演奏しようと試みるが……。

    ※アポリアが子どもの頃にピアノを習っていた設定です。
    ※他作品と設定を共有している部分があります(同じ世界線かもしれないし、違うかもしれません)。
    ※未来の世界に生きた一般の人びとが登場します。
    ※その他、あらゆる要素が作者による幻覚です。
    音階は消えず そこには、一台のピアノがあった。
     幻ではなかろうか、とアポリアはもう一度、よくよく部屋の中を覗き込んだ。明かりが落ちた室内に通路からの光が差し込んで、黒く滑らかな楽器の表面を浮かび上がらせている。
     それはほんとうにピアノだった。
     アポリアは我知らず、部屋の中に足を踏み入れていた。ピアノなんて、もう随分見ていなかったからだ。
     アポリアがこの部屋を見つけたのは偶然だった。ここに慣れてもらうためにも散策してきたらどうですか、Z-ONEにそう言われて、足の赴くままにアーククレイドル内を歩いていた。固く閉ざされた扉が延々と並ぶ通路を進むうち、アポリアはひとつだけぽっかりと口を開ける扉に気づいた。そうして覗き込んでみれば、幼い頃に慣れ親しんだ楽器がそこにあったというわけだった。
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