Recent Search
    Create an account to secretly follow the author.
    Sign Up, Sign In

    エレメント

    hanato1078

    DONE不思議な夢の中で、二年前の零(英)くんに会う零英の話。
    ※キャラがキャラの首を絞める/流血表現/微グロ表現があります。終始シリアスですが最後はハッピーエンドです。
    ※エレメント前提。カプ未満くらいの零英です。
    ※時系列はあいらくんが来る前。テンペストあたりです。

    新イベントが始まる前にどうしても上げたくてガーッと書いたので後々修正入れてpixivに上げます。零英両面イベおめでとう🌸
    【零英】拝啓:境界線の向こうへ 一切の電気が消え、真っ暗になった部屋の中は、また重たい空気が漂っている。肺を親指の付け根で押し潰されているような心地だった。
     ──あぁ、嫌な空気じゃな。
     零は眠れない瞳をゆっくりと開けると、寝返りを打った。右を向くと、無機質な冷たい白い壁が目に入る。暗闇に目が慣れたのだろうか、それは普段見ているそれよりも、酷く味気なく見えた。

    「っは……っ、……」
     直後。壁を向いた零の背後から、再び誰かの息遣いがする。それがたった一人の同室相手の英智であることは、もはや確認するまでもなかった。
     英智と同じ部屋で過ごす中で零が気づいたのは、英智はたまに寝ている時に「こうなる」ということだった。

     この頃の英智は、かねてからの夢が叶った、とでも言いたげに、春らしい薄いピンク色と明るいオレンジ色がほんのりとのった頬に綺麗な笑みを浮かべていた。ピンクの花びらが散り、期待と希望に満ちた春が姿を変えつつあるこの季節にふさわしいその笑みは、生気に満ち溢れていて見目麗しかった。
    11643

    pie_no_m

    DONEエレメントから好きですが初めて書きました。
    不自然な点がありましたら申し訳ございません。
    Romancing Cruise、なにごと……?
    熱の余剰 微かな揺れと波の音に、ふと目を覚ます。
     目蓋を開いてすぐ目に入ったのは、ぼんやりした常夜灯だけが灯る照明器具だった。首を回しても見渡し切れない広すぎる部屋を眺め、一瞬の混乱ののちに記憶が蘇り、夏目はひとり納得するように再び目を閉じた。
     遭難、宗にいさん、豪華客船。
     南の島の慣れない暑さに、不覚にも体調を崩してしまったこと、客船に同乗させてもらい、水分を補給しつつの転寝をしていたことまでは思い出せる。いつの間にか本格的に眠り込んでしまっていたのか。現在の時刻が知りたいと、夏目はサイドテーブルに置いたはずの携帯端末を手を伸ばして探った。が、見つからない。ミネラルウォーターのボトルを掻き分けても同じことだった。どうせあの、余計なことばかりするお節介で暑苦しい眼鏡の仕業だろう。仕事の連絡がひっきりなしに入っては夏目の睡眠の妨げになるので遠ざけたとか、バッテリーの残量を気にして電源に繋いであるとか、つむぎの思考と行動に大方の予想を付けつつ、夏目はまだ重い身体を起こした。こめかみに走る鈍痛は、深く眠ったぶん昼間よりも酷くなっている気さえする。身体の火照りも落ち着いたようには思えない。夏目はほとんど無意識に自らの頬に触れた。
    2042