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    コロナ

    のくたの諸々倉庫

    MOURNINGその手を取るために必要なこと/類司
    前に書いてたものその1です。支部に上げる予定は今のところないのでここに。
     好きだ、と。
     震える声で告げた瞬間、類は大きく目を見開いた。
    「……君が、僕のことを?」
     小さく頷く。屋上は夕暮れの色に染まり、風も冷たくなり始めている。きっと今大声で歌ったら、遠くまで響くのだろうな──と。玉砕覚悟の告白故か、オレの思考はいつも以上に平静なもので。
     けれど見つめた類の表情は、案の定明るいものではない。まあそうだよな、というか告白なんかした時点で冷静じゃなかったか、などと頭を抱えかけたとき。
    「やり直し」
    「……は?」
     心の底から、意味が分からなかった。
     こいつの思考回路を理解できないのはいつものことだが、まさか告白の返事より先にダメ出しをくらうとは。けれどそんなオレをよそに、口元に手を当てて考え込んだ類はただ、「もう一度、言ってみせてよ」と。
    「なん、でだ」
    「そうだね、うまく伝わらなかった……というのが主な理由かな。思わずその対象を、僕かと訊いてしまうほどには」
    「ばっ……今ここにいるのは、オレとお前だけだろうが……!」
    「分からないよ、僕の頭上をカラスが飛んでいたくらいだ。それにこう見えて僕は臆病でね、君の『好き』と僕の『好き』が食い違っていたらと思う 2116

    11_mgmgmsymsy

    MOURNINGユキモモの「風が美しかったから」でボツにしたやつ見つけて、けっこう好きだったところなので上げました。
    最初は千さんの一人称で書こうとして、上手くいかずに千さんと百くんで視点替えつつ進めたら、これ書いてたのすっかり忘れてました
     都会の鳩が、ばらまいたパンくずをつっついていた。頭と尻尾はだいたい黒くて、背中と腹は白っぽいやつだ。公園の白砂の上を、ちょんちょんと歩きながら、ほのかに輝く翠の首筋を小刻みに揺らしている。
     罪なき瞳をしている。

    「ミザリーって映画、知ってる?」
    「……いいえ」

     平日の、朝にしては遅く、昼には早い時間だった。水曜日だ。いや、木曜日か。今となっては土日も平日も代わり映えせず、僕は前後不覚のまま、火曜日だったらいいのにな、と思っている。朝起きて一日戻っていたら、もしかしたらあの日に戻れるかもしれないでしょう。
     ひとつまみ、また、パンをちぎって転がす。紫色のあんが少しついたそれには、だれも食いつかない。
     ベンチに座った、隣の気配がみじろぐ。僕は続きを口にする。

    「狂ったファンに監禁される小説家の話。新作の結末が納得いかないから、自分のために別の結末を書けって脅迫されるんだ。作家は雪山で、車の事故をして重症を負って、ベットで寝たきり。自分を助けてくれた、ファンで看護師の女に介護してもらわないとご飯も食べられないし、その女にさんざん痛めつけられても抵抗できないから、結局書くことにな 4469