ザッハトルテ
yyy
DONE転♀→フィ先※フィ先不在。転の名前にちなんだお話です。
自機転♀が先生に贈るザッハトルテを作る話。
アプリコットの花言葉 型にチョコレートの生地を流し込む。砂糖とバター、真心も込めて。授業で惚れ薬のことを習ったけど、愛の妙薬を加えるなんてもってのほか。あぁ…でもさっきアプリコットを煮詰めていたときに不安な気持ちが混ざってしまったかも。
(先生ならきっと喜んでくれるよね)
不安な気持ちを払拭するように首を振る。ここからの作業はとくに集中しないといけないのだから。魔法で生地を無事焼き上げる、でも出来上がった生地をスライスする手は、震えてしまった。なんとか半分に分けた生地の片方に、作っておいたアプリコットジャムを塗ってもう一枚を重ね合わせる。甘酸っぱいジャムが挟まれた生地の上からほろ苦いチョコレートをたっぷりとかけていくさまは、淡い恋心に蓋をする臆病な自分を見ているようだった。
566(先生ならきっと喜んでくれるよね)
不安な気持ちを払拭するように首を振る。ここからの作業はとくに集中しないといけないのだから。魔法で生地を無事焼き上げる、でも出来上がった生地をスライスする手は、震えてしまった。なんとか半分に分けた生地の片方に、作っておいたアプリコットジャムを塗ってもう一枚を重ね合わせる。甘酸っぱいジャムが挟まれた生地の上からほろ苦いチョコレートをたっぷりとかけていくさまは、淡い恋心に蓋をする臆病な自分を見ているようだった。
R_E_D_oct
DONE「ルイくんハッピーバレンタイン♥」「え、俺に!?」
「キャップ型のザッハトルテ!?どこのお店の1?初めて見た…」
「僕が作った♥」
(めっちゃうま!!!でも友チョコにしてはガチだな…?そもそも男から男に友チョコってやるもんだっけ?あれ?)
(喜んでくれて嬉しいなあ) 2
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DONEワードパレット9.ザッハトルテ
(苦しい、舌の上で、真夜中)
だれにも会いたくないとき、いちばん会いたくないひとに会ってしまうのはなぜだろう。
走り出しそうな足をどうにか捻じ伏せ、にこやかに挨拶し、通り過ぎようとしたが。
「血のにおいがする」
物騒な呼びかけに、僕は首を傾げ、間を置き、頷いてみせた。動揺に気取られぬよう、ゆったりと。
「さっき、サボテンの棘を触ってしまったので、それかも」
見せてみろ、と抵抗する間もなく手を取られた。針のような傷を、学者のように見分したかと思えば、指先が口に含まれる。驚きのあまり声も出ない。ただ、頭に血が上る。
廊下の反対から、ひとの話し声が聞こえ、離れようとしたが、手を掴む力が増した。
「先生、誰か、来ます」
泣きそうな気持ちで、訴える。胸が苦しい。
1337走り出しそうな足をどうにか捻じ伏せ、にこやかに挨拶し、通り過ぎようとしたが。
「血のにおいがする」
物騒な呼びかけに、僕は首を傾げ、間を置き、頷いてみせた。動揺に気取られぬよう、ゆったりと。
「さっき、サボテンの棘を触ってしまったので、それかも」
見せてみろ、と抵抗する間もなく手を取られた。針のような傷を、学者のように見分したかと思えば、指先が口に含まれる。驚きのあまり声も出ない。ただ、頭に血が上る。
廊下の反対から、ひとの話し声が聞こえ、離れようとしたが、手を掴む力が増した。
「先生、誰か、来ます」
泣きそうな気持ちで、訴える。胸が苦しい。
koharu_Hanasaki
DOODLEハピネスケープマントとザッハトルテのお礼イラスト。あーんしてる構図も上目遣いもむずかし~~~!!右手を際立たせるのもめちゃ難しくてすっごい試行錯誤した。らくがきのわりに苦労したなあ。
でもピンクと茶色いっぱいのバレンタイン!って感じの絵が描けて楽しかった(遅刻)
EIGOnon
DOODLE「ロマンスなんて知らない」の二人が過ごすバレンタインの話です。今度は間に合ったぞ!!ターナーくんが作っていたのはザッハトルテです。
蛇足
海外では贈られる側(女性)は赤い下着で相手を迎えるそうなんですけど、ボスの趣味じゃなさそうなので省きました(ネロくんはやりそうですが)
これ以上ない程の愛を込めて〈月曜日、空いてるか?〉
穏やかな昼下がり、使い慣れない携帯端末に表示されたのは、そんな短い単語だった。
ネロは「月曜日」と単語を繰り返し、アプリコットを焚く手を止めてカレンダーを見やる。
二月十四日。はて、と首を傾げる。ええと、何かあったよなぁ、この日。何だっけ。
安物のカレンダーをじっと見つめるも、最低限の祭事しか書かれておらず、答えはない。
兎角、月曜日は麦穂も休みである。
土曜の夜から日曜にかけてはブラッドリーの家で過ごしてはいるものの、月曜はネロにとっては空いた休暇に過ぎない。
掃除か苦手な帳簿付けくらいしかやることもなかった。あまり深く考えずに返答を寄越すことにする。
〈空いてるよ〉と、爺かよと揶揄されるレベルで遅い打ち込みを以て送ったメッセージには、〈じゃあ夜に行くから、そのまま予定空けとけ〉と即座に返って来た。
3202穏やかな昼下がり、使い慣れない携帯端末に表示されたのは、そんな短い単語だった。
ネロは「月曜日」と単語を繰り返し、アプリコットを焚く手を止めてカレンダーを見やる。
二月十四日。はて、と首を傾げる。ええと、何かあったよなぁ、この日。何だっけ。
安物のカレンダーをじっと見つめるも、最低限の祭事しか書かれておらず、答えはない。
兎角、月曜日は麦穂も休みである。
土曜の夜から日曜にかけてはブラッドリーの家で過ごしてはいるものの、月曜はネロにとっては空いた休暇に過ぎない。
掃除か苦手な帳簿付けくらいしかやることもなかった。あまり深く考えずに返答を寄越すことにする。
〈空いてるよ〉と、爺かよと揶揄されるレベルで遅い打ち込みを以て送ったメッセージには、〈じゃあ夜に行くから、そのまま予定空けとけ〉と即座に返って来た。