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    フェリ

    Fuzu

    DOODLEハロウィンとあまり関係ないかもしれなくなったハロウィンフェリルー(大遅刻)です!!!!!
    「よく来たな」
    玄関の扉のを開くと、そこにはジャコランタンのバスケットを片手に携え子供のように目を輝かせる狼が立っていた。
    「がおー!!狼だぞー!!甘くておいしいのをたらふく食べに参上しましたであります!!おかしをくれないといたずらしちゃうぞ〜!!
    「相変わらず食欲旺盛で結構なことだ。上げっていけ」
    わーいと歓声を上げると同時に俺の脇をすり抜けてダイニングへ吸い込まれるように駆けていった。全く、普段からこれだけてきぱき動いてくれれば困らないのだが。眉間が寄るのを感じながらイタリアの後を追った。
     壁掛け鏡の前でちまちまと髪の具合を直しているイタリアを、ダイニングテーブルを拭きながら鏡越しに盗み見る。いつもより赤い唇が気になった。俺は知識がないからよく分からないが、今日は化粧もしているのだろうか。子供の好みそうなかわいらしい狼の衣装も年の割にはよく似合っている。あられもない姿でシエスタに勤しんでいたり下着一枚で俺の家をうろついたりしているイタリアばかり見ているせいか、こなれた様子で様々な服と道具で全身を固めているイタリアを見るとどうにも忙しない気持ちになる。白い開襟シャツから覗く細い首は夏の間に地中海の太陽に灼かれた様子を留めていて、北方に位置するこの国では殊に眩しく映った。
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