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    ブラッド

    hanamio3

    PROGRESS2023.6.25発行予定新刊サンプル。出したい〜!
    何でも屋のブラッドリーと飯屋のネロがトラブル解決したり巻き込まれて痛い目見たりする系現パロブラネロ「リケ、5000万円拾ったってよ編」
    ヒューマニティ[ブラネロ] 気温が一気に上昇した五月の連休明け、街にはどこかまだ締まりきらない緩んだ空気が滞留している。本調子に戻り切らない雰囲気。ネロの店の客足も似たようなもので、連休前に比べて穏やかな入りが続いているし、客単価もやや落ち込んでいる。とはいえ食い詰めるほどでもなし、なんなら一人一人の好みを汲んで料理ができる分充実度は高い。元来精力的に店を切り盛りしたいわけでもないネロは、比較的穏やかな今の状況を楽しんでいる。
     試作品を作ったり。ドルチェの種類を増やしてみたり。店の前に生えていた雑草を抜いたり。バジルやローズマリー、ミントなんかのハーブを育ててみたり。昨夏から調子の悪いエアコンを掃除してみたり。デザイナーやイラストレーターといった若い知人が開催する、新しい個展のフライヤーをトイレに貼ったり。テーブルコーディネーターが新たに届けてくれた花瓶を飾ったり、その礼にコーディネーター夫妻を揃って食事に招いたり。友人みたいな先生にランチをデリバリーして、配達料としてワインをご馳走になったり。
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    すすき

    DONEブラカイWebオンリー連動企画参加作品。
    連動お題「先輩」「後輩」
    通常お題「手紙」

    大学生ブラッドリーと社会人(ぽくないけどそのつもりで書いた)カインの話です
    あれはどこだと聞かれて、そういえば今日ブラッドリーが来た目的はそれだったなと思い出した。来年の必修で使う教科書代わりの本。必ず購入するようにと言われるものの大学生にとってはかなり痛い出費だ。担当教授の著書なので買わないで済ますという選択肢も取れず、それ故、先輩から後輩へと資料が引き継がれるのが慣例だった。
    カインが在籍していたころから変わらぬ習慣にうれしくなって、ブラッドリーに譲る約束をした。家に取りに来ると言うから、それなら連休を取るから二人で過ごそうとも言った。まさかベッドから起き上がれなくなるとは思わなかったけど。
    ぐずぐずに蕩けたままの頭と体では本を取り出すことさえ難しくてクローゼットを指さすことしかできなかった。いつも通りの足取りでベッドから降りる背中に何か言いたいのに、当たり前みたいに差し出されたペットボトルに言葉が詰まって黙り込むしかできなかった。冷蔵庫から取り出されたばかりの水が汗だくの体に染み込んでいく。シャワーを浴びたいなと思ったが、さすがにまだ無理そうだとため息を吐いた。
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