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    マスオさん

    なまたまご

    TRAININGラノベ作家大倶利伽羅先生と家事代行にょたんばちゃの話2ndシーズンドキドキ温泉旅行編
    序です。

    ※この話はますおさんによる設定をもとにした三次創作です。
    山姥切と初めて会った日、鶴丸は山姥切を俺に舞い降りた天使だと形容した。今となって考えると、それもあながち間違いではなかったかもしれない。

        ◇

     山姥切と出会ってから気づけば2年ほど経っていた。俺の初めてのヒット作、『俺ん家のエロすぎる無表情エルフメイドをどうにかしてくれないか』通称えるどうはアニメ化が決まった。毎度頭を悩ませられるお色気や、恋愛要素を増やしたことが功を奏したのだ。巻数は8巻に届き、発行部数も伸びて毎月の貯金額が少しだけ増えた。全ては順調、なのだろう。そう全く思えないのは2年もこの女と居るというのに、いつまでも振り回されているままであるからだ。それは恐らく…俺がこの女に好意を抱いているらしいと自覚したからという原因も関係しているだろう。誠に遺憾である。しかし、だから何だというのだ。俺はそれをあいつに告げる気はなかった。言ってどうなる?あの女が作る飯は嫌いじゃない。あの女がただこの部屋にいる時間がもはや当たり前だ。無闇にそれを壊すくらいなら、何もしないほうがいい。
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    なまたまご

    TRAININGラノベ作家大倶利伽羅さんと家事代行にょたんばちゃん⑤恐怖の看病編前半です!
    注:大倶利伽羅さんがダサい
    この話はますおさん考案の設定を元にした三次創作です。
    大切なものは失ってからその大切さがわかる。俺は今までに彼女を二人失ったが、二度目ともその実感はわかなかった。だが今の俺はこの陳腐な言葉を理解できる。悪寒のない背中はどんなに快適で、頭痛のない頭はどんなに晴れやかだったろう。俺は布団の中で蓑虫のようになって、関節の痛みとシベリアにいるかのような悪寒に顔を顰めた。
     異変が起きたのは突然だった。蟹汁の蟹を山姥切に多めに食わせ、定時より前に帰らせた後、まずやってきたのは頭痛だ。俺はそれについては不思議に思わなかった。普段の不摂生に加えて、運動不足の身体での全力疾走、雨で冷えた身体。不調を来さないはずがない。しかしいつもより早く就寝すれば支障はないと思っていた。翌朝には快適に目覚め、朝日を浴びて鳥の囀りを耳にしながら珈琲を入れる。しかし俺のその予想は大きく外れた。それはまるで、夏の台風の進路図のようにだ。なぜなら俺は蟹汁を食った日に床に伏せ、それから今日まで、つまり丸二日も寝込んでいるのである。
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    なまたまご

    TRAININGラノベ作家大倶利伽羅さんと家事代行にょたんばちゃん③小さな絆芽生え編前半です!
    注:大倶利伽羅さんがダサい
    この話はますおさん考案の設定を元にした三次創作です。エピソードの案は小ゆずさんより頂きました。
     心頭滅却すれば火もまた涼し、よく聞く言葉だがあれは嘘だ。人は火に触れれば焼け死ぬ、涼しい訳がないだろう。あれは単なるものの例えで、そんな馬鹿な指摘をする方が馬鹿だ。それは分かっている。俺は湯船の中で茹だる身体に、溜息を吐いた。それでもまだ足りず、湯船の中へと頭を沈める。ちょうど地獄の釜のようにぶくぶくと泡を立たせる。堪らなくなって顔を上げたが、状況は以前として変わらない。俺の脳裏からミニスカメイドの白桃如き尻が離れなかった。どこからどうはみ出しているのか、むちむちと音を立ててパンツのクロッチから恥じらいもなくはみ出している肉。それらはまるで競い合うようにむちむちと自分の居場所を取り合っていた。俺は馬鹿げたことに、その肉と下着の間に指を入れてみたい、と一瞬でも思ってしまった。その柔らかさや温度に興味を持ってしまった。その時のそれが性欲であると、その時はすぐに気づかなかったが、恐らく、いや…当然これは性欲に当るだろう。叶うことなら、それはただ単に純粋に気になっただけで、決して性欲ではないと主張したい。
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    なまたまご

    TRAININGラノベ作家大倶利伽羅さんと家事代行にょたんばちゃん②メイド襲来編です。
    注:大倶利伽羅さんがダサい、結構喋る。
    この話の元ネタはますおさんによるものです!
    山姥切国広という女は、大食らいだった。金がない、と言っていたからよほど切り詰めた生活でもしているんだろう。コンビニでおにぎりを買ってやって、それを食べた後にも関わらず、あまりに食いっぷりがいいから、俺は無意識に何度も追加注文をした。焼売、八宝菜、フカヒレのスープ、エビチリ、小龍包。色取り取りの料理が白米と共に山姥切へ吸い込まれていく様は鮮やかで、翌日の朝でも鮮明に思い出される。
     俺は目をまだ寝ぼけている目を細めながら、フライパンの上の卵を裏返した。朝食には卵焼き、と決めている。実際にはもう11時をすぎているから、昼飯と言った方が正しいだろう。洒落た言葉で言うなら、ブランチと言う奴か。表層だけ撫でたような気取った物事は性に合わない。砂糖と醤油が合わさった柔らかな匂いを胸いっぱいに吸い込み、俺は微睡むような心地に浸った。幸せにもし匂いがあるなら、多分こんな匂いだろうなと幼い頃に思ったことがある。それこそ山姥切は、料理を一口ごとにさぞ美味そうに、幸せそうに食うから、思わずつられて笑みが浮かんでしまった。しかし最後にデザートの杏仁豆腐を注文した頃には、手元に500円玉が二つ残るだけで、俺はそれを少し不憫に思った。山姥切の手元に少しでも多く金が残るようにしてやるつもりだったのだ。けれど会計の時に残金を見た山姥切は特に悲しそうな素振りは見せなかった。俺は安アパートに住んでいるが、金に余程困っている、という訳ではない。だから、俺の金で鶴丸の手当ての補填をしようと思ったのだが山姥切はそれに首を横に振るばかりだった。本人がいいと言うのだから、俺が押し切るのもおかしな話だ。それ故に俺は金のことはそれで終わりにして、あいつをあいつのアパート先まで送った。しかしそれで本当によかったのか、未だにはっきりとしない。
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