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    三郎

    🐼ぱつ🐼

    DOODLE月寿 ※大学三年生×大学一年生
    秋の始め、月光さんに会いに行く寿三郎くんの話
    月寿の日おめでとうございます!(遅刻)
    満月が近づいてくる 「お、紅葉や」

     秋とは、知らん間に近づいてきよるもの。
     小学生の頃は、遠足やら運動会やら学校行事の準備が始まると、子どもながらに秋を実感したもんやなぁ。中学ん時は、部活をサボってフラフラしよると金木犀の香りがして、もう秋やなぁってぼんやり空を見上げてみたり。高校はテニスに打ちこんどったせいか記憶が薄い。夏の大会と夏休みが終わって、気がつけば秋、みたいな。でもまさか、大学生になって初めて発見した秋が、ラーメン屋でもろたスタンプラリー用紙の絵柄になるとは思いもよらんかったけどな。
     まだまだ暑くて、ちょっと歩いただけでも汗が滲むっちゅうのに、街はもう、秋を演出するのに躍起になっとる。服屋のマネキン、百円均一のハロウィンコーナー。行楽弁当のチラシに、『秋限定!紫いもパフェ』のポスター。他にもいろいろ。駅に隣接した商業施設を、てっぺんのレストラン街から地下の食品フロアまで下る間にも、そこかしこに秋が溢れとる。ついこの間まで真夏やった気ぃするのに、九月に入った途端にコレやもんな。急に「もう秋です」と言われてもピンと来んのに、こうも秋ムードを押し付けられると、なんや自分が身に付けとるオレンジ色のTシャツとスポーツサンダルが浮いとるような気ぃさえしてくるわ。
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    maybe_MARRON

    MOURNING左馬一
    左馬刻+二郎三郎、犬猿を経て良き理解者になると思っています
    一郎+合歓は恋バナ友達
    ここにアップするのをすっかり忘れていましたが、インテのサマイチプチに気持ちだけでも参加したくて書いたものでした
    はいはい、どうぞお幸せに   元TDD 碧棺左馬刻 山田一郎 結婚

     新聞の一面からネットニュース、テレビにSNSまで。その日は一日中、同じタイトルが世間を賑わせた。彼らが恋仲であることは、誰もこの日まで知らなかったからである。
     H歴崩壊から二年。共闘の末、犬猿の仲だった彼らが和解したことは、民間人含めおおよその人間が知っていた。しかし、それ以降彼らが表舞台に立つ機会は減り、特に左馬刻は本来の裏仕事に徹することが多く、メディア露出がほとんどなくなっていた。ステージの上で共演することも一切なかった二人である。交際中であったことを知るどころか、一緒にいる姿を見かけることすらなかった。
     そんな二人の、突然の結婚。報道関係者向けに送られたメッセージは至ってシンプルなものだった。当然記者会見なんてものもなく、ニュースは専ら二年以上前の彼らの映像と、イケブクロやヨコハマの住人、それから元チームメイトへのインタビューなどで構成されていた。そうして全員、口を揃えて言うのだ。「知りませんでした」「驚きました」と。今日までどれだけの交際期間があったのかも知らない、そんな電撃結婚。
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    s a t o u

    DONEピアノとモブと三郎
    鋼鉄の箱庭にて それは別れの曲だった。
     僕が初めてその旋律を耳にしたのは放課後。来年の春には取り壊される予定の、旧校舎二階の音楽室に「彼」はいた。もうずっと調律もされていないであろうグランドピアノの鍵盤を、まるで数学の問題を解くような正確さで彼は奏でていた。
     無感情に、あたりまえに。
     ちらちらと踊る埃が夕陽に照らされる音楽室の真ん中に彼は座っていた。フレデリック・ショパンによる練習曲作品十第三番。その日、その瞬間、彼はそれを弾いていた。僕と同じく天才と呼ばれる山田三郎が、あの日、あの瞬間、あの音楽室にいたのだ。






     水曜日だった。
     連れ立って運動場や体育館へ向かう放課後の生徒の波に逆らって、僕は旧校舎へと向かっていた。数年前に耐震工事が施された新校舎が完成してからは、古びた長机や錆びついたキャビネットなんかが積まれるだけの、ほとんど物置同然と化している場所。その校舎の二階、いちばん奥にあるのが音楽室だった。名だたる音楽家たちの肖像画も、所々破れて中身が見えている椅子も、がたついた譜面立ても全て新校舎の音楽室へと運ばれたが、グランドピアノだけが取り残されたらしい。僕はいつしか、誰もいない校舎の誰もいない教室にひっそりと佇むピアノに会いに行くのが習慣になっていた。そして、その日もそうしていた。
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