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    不思議

    しんした

    DOODLE原作から数年後の10/31の夜に渋谷を見回っていた悠仁が不思議な二人組を目撃するお話。
    七灰のつもりで書いていますが、2/3は成人した悠仁が学生と任務についている場面で、七灰は最後の方ちょっと出てくるだけなのでカプ感はめちゃくちゃ薄いです(でも七灰です)。
    本文後に補足という名の言い訳があるので暇つぶしにでもしていただけると幸いです。
    ※あんまり読み返していないので諸々すみません。
    かつて子どもだったあなたたちへ.





    雑居ビルの屋上の縁に立っていた虎杖は、人でごった返すスクランブル交差点を見下ろながらポケットの中で微かに震えた携帯端末を手探りで取り出した。
    「はいはーい。どした?」
    着信相手は今年呪術高専に入ったばかりの学生だった。一年生三人で比較的人通りがマシな南口周辺を回っているはずだが、定期連絡には少々早い。
    「うん、うん……あー、それはお前らだけじゃ厳しそうな感じだな」
    どうやら低級呪霊の気配を追っていったところ、思っていたよりも多くの呪霊が巣食っている場所へ入ってしまったらしい。
    「おしっ、今からそっち向かうわ!位置情報送ったらとりあえずいけそうな範囲だけ祓っといて。あっ、無理はしなくていいからな!マジで!」
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    蜂須賀

    DOODLEちょっと不思議話、1篇。
    弐之助さん主催のアンソロジー『幻想奇譚蒐集録』より再掲
     二次元、映す面、その輪郭 三綴りその朝は頭痛と上がってくる胃酸の不快感で不機嫌に髭をあたっていた。電動は好かないから毎朝カミソリを使っている。
    目覚めたのは居間の床だった。カーテンを閉める習慣を忘れて久しい窓から射す朝日が、目の前のアルミ缶から零れた液体と、緑の瓶に当たり煌めいていた。まるで他人事のようにそれをぼんやり眺めるが、数時間前の自分と今の自分が繋がっていないわけはない。浴びるように飲むアルコールはやがて循環代謝され頻繁に通うトイレで体外に排出されるものが、飲酒したという自己嫌悪だけはそうはいかず、体内に溜まり続けた。肉体を管として、なにもかもがただ通り過ぎればよいものを。
     うつろな顔と荒れた肌を見たくなくてカミソリを当てる部分だけに視線を集中する。それから目を閉じて指先の感覚で顎のラインと三日分の伸び丈を探る。ふと、かすかなカビの匂いがした。のろのろと手を動かしながらぼんやりと思う。雨? いや、ついさっき陽の眩しさで目が覚めたのだ、そんな予報だったか。天気などに関心を向ける生活でもないが、けれど時折見上げる空の色を無意識に読む癖程度は残っていた。
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    らんじゅ

    DOODLE息抜きのポーパロ小話
    薔薇に囲まれる🍅🌲はきっと耽美
    🍅💊もガッツリ
    ⚠️🌲🌸前提

    ざっくりとしたポーの一族
    簡単に言うと吸血鬼、血そのものを吸うのではなく生気を糧とする
    何処かに薔薇の咲き誇る不思議な村があり、そこには「キング・ポー」と呼ばれる始まりのポーと一族が薔薇を摘みながら穏やかに暮らしている。時々人間が迷い込む。
    人間の中に紛れて暮らすポーもいる。
    薔薇の香りのする街2 この街には強きものが掲げた看板がある。

    『これより先
    人を傷つけるもの
    物を壊すもの
    悪意を持ち込むもの
    何人も例外なく
    ボウフウリンが粛清する』

     それは頂点に座す龍が敷いた、たったひとつの掟。懐に囲うものたちを害する者に宛てた修羅からの最後の警告。

    『梅宮一』それが龍の名前である。

     龍の元には、実に多くの少年たちが集う。その全てを龍は快活に笑い、慈愛でもって固く握る拳を解き、優しく触れる。龍にとってこの街で息づく全てが加護対象であり、集う少年たちは須く弟妹であるのだ。
     この街にはもうひとつだけ掟がある。

    『この街に漂う薔薇の芳香の理由を口にしてはならない』

     この街はいつも微かに薔薇の香りがする。花屋には常に新鮮な薔薇が置いてあるし、薔薇の香料は何処ででも手に入る。そして、梅宮一からは薔薇の香りがする。白い髪が揺れるたび、翠緑色が瞬くたび、彼の象徴たる学ランの裾が靡くたび、甘くその芳香が花開くのだ。
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