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    不思議

    mizutarou22

    DONE今日という日が『不思議』という花言葉だったので。不思議をテーマにした短編です。
    不思議な人「不思議だ……」

    「……? ディオン様、どうかなさいました?」

     私は、まだ敬語を使うテランスの口元を指でそっと押さえる。

    「テランス、私はもうザンブレクの皇子ではない。ただの流浪の旅人だ。お前も私の従者ではない。私と共に新しい世界を見ていく者だ」

    「しかし、ディオン様……」

    「慣れないのはわかっている。しかし、私たちはもう……、何物にも縛られなくなった、パートナー同士、だろう?」

     そう、世界はオリジンの崩壊で新たな世界に生まれ変わった。先ほども焚火をつけるのにも時間がかかった。もう魔法もクリスタルも、何もない。全て自分たちでやらなくてはいけないのだ。

     しかしそれが、どこか楽しく感じている私がいる。以前イフリートたちがいる隠れ家で世話になったときも、皆が新たな世界で奮闘していた。皆がそれぞれやるべきことを自分で見つけ、世界に混乱が起きないように努力をしていた。私もそれに倣い、隠れ家を出て、新たな世界となった今、私に出来ることがないか、テランスと共に旅をしようと決心したのだ。そして今、私は……こうして、恋人と一緒に焚火の揺らめく炎をみつめながら思考の海に沈んでいた。
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