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    湯豆腐

    PROGRESS流洋があんまりに大好きすぎてとりあえず書き始めたものの進捗です。平成設定。土地勘は無いので、薄目で見てもらえたら嬉しい。
    ぷらいべったーに一度上げたものを少し変更&追加しております。人称間違いなどあれば都度直していきたい所存。

    映画未見の民&原作勉強中。
    雨の日、星の日 夢を見ていた。
     ふかふかで大きな黒い猫が、水戸の顔を覗き込んでぼたぼたと泣いている。そう、黒猫の金色の目玉からは大粒の涙が次から次へと湧いてくるのだ。可哀想で、でも可愛くて、その涙を拭ってやりたいのにどうしてだか腕が動かない。黒猫は水戸をすっぽり覆ってもあまりあるほどに大きい。
    「泣くなよ」
     にゃあ。
     猫は返事をした。そして慰める水戸なんてお構いなしにますます涙をこぼす。
     にゃあ、にゃあ。
     だって、だって。
    「だって、オメーが」

     オレに、なんにも心配させてくれねーんだもん。



    ◇◇



     流川の初恋が始まったのは、高校一年生最後の土曜日の午後だった。前日までの花冷えが嘘のようにうららかに晴れた日だった。練習は午前中で切り上げられたのに、まだもっとバスケがしたいと流川は思った。跳びたい。もっともっと、思い切り走りたい。今日が自分にとって居ても立っても居られないほどのとびきり「良い日」なのだと言う予感がした。
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    レイさん

    MOURNINGむかし書いてほっぽり出てたのが発掘されたので供養。吉原の中で勉強や楽器、勝負事を教えている訳あり高杉と、そこに売られてきた仔銀ちゃんの話し。モブが出しゃばるしとっても冒頭だけです。
    ちなみに銀ちゃんの育ての親は松陽先生で、亡くなって身寄りがないから売られてきた的な感じです
    吉原に住む訳あり杉×売られてきた仔銀ちゃ「旦那ァ、この子、買っちゃァくれやせんか?」
    「…………あ?」

    思わず眉を寄せて男を見た。汚い、痩せた顔が媚びるように上目で使いで笑っていた。見知った女衒を思わずまじまじと見つめてしまう。

    「お前、とうとう頭までやられたか。俺ァ楼主じゃねえって事まで忘れちまったたァな」
    「いえいえ、違ぇんですって旦那。旦那が女郎屋じゃねぇのは百も承知。その上でコイツを買って欲しいんです」

    何を言ってるのだろう、この男は。本当に頭がやられてしまったのか、と本気で心配になっていると、女衒は、実はね、と目を伏せて語り始めた。

    「いえ、このガキはね、旦那。ここから遠く、西国の方で買ったんです。しっかしコイツぁ、そっからずっともっとちいせぇ子供の面倒を見てくれてたんですよ、ええ。他の子がもう歩けねぇって泣き出した時にゃぁおんぶなんかもしちまって」
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