夏目友人帳
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СДЕЛАНО名夏 途中ちゅーしないと具合悪くなる話「さっき、みてしまったんだが」
名取さんは視線を逸らしたまま、言った。
昔を思い出すような話し方。これは呆れている人の話し方だ、そう思うと身体が強張る。まただれかを不快な気持ちにさせてしまったのだろうと、わかったからだ。
名取さんは顔を伏せていた。
いつもの胡散臭い笑顔はないしこちらも見てない。これは呆れている、または怒っているのだとすぐわかった。
「怒ってます、よね」
「怒ってない。言葉にするとしたら、苛々しているよ」
苛々しているのは、怒っているわけではないのだろうか。違いがわからない。
学校の帰り道に偶々出会った名取さんは、どうやらその時から苛々していたらしい。声をかけられたときから既にこのように機嫌が悪そうな態度だった。
2482名取さんは視線を逸らしたまま、言った。
昔を思い出すような話し方。これは呆れている人の話し方だ、そう思うと身体が強張る。まただれかを不快な気持ちにさせてしまったのだろうと、わかったからだ。
名取さんは顔を伏せていた。
いつもの胡散臭い笑顔はないしこちらも見てない。これは呆れている、または怒っているのだとすぐわかった。
「怒ってます、よね」
「怒ってない。言葉にするとしたら、苛々しているよ」
苛々しているのは、怒っているわけではないのだろうか。違いがわからない。
学校の帰り道に偶々出会った名取さんは、どうやらその時から苛々していたらしい。声をかけられたときから既にこのように機嫌が悪そうな態度だった。
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MEMO斑夏←田 の図★ちゅーしないと具合悪くなる話⑤「先生、具合わるい」
「ん」
なめらかに、夏目の口に触れる。ぬる、と夏目の口から何かが離れていくところだけやけに鮮明に見え他はピンとがずれたようにぼけて見えた。
何を見せられているのか、一瞬わからなかった。
あまりにも当然のようにそれが行われて、終わる。
はあ、と苦しそうに息を吐いた夏目の顔色はさっきよりだんだんと良くなっていき安心したところだというのに、もう何回か見たことがあるはずなのに見てはいけないものを見た時のように胸の辺りが重い。今度は俺の具合が悪い気がする。
悪いことをしたわけじゃないのに、とてつもなく悪いことをしたような。取り返しがつかないことをした時のように。息を吐くのも躊躇われる。これは、なんという感情なのだろう。
2855「ん」
なめらかに、夏目の口に触れる。ぬる、と夏目の口から何かが離れていくところだけやけに鮮明に見え他はピンとがずれたようにぼけて見えた。
何を見せられているのか、一瞬わからなかった。
あまりにも当然のようにそれが行われて、終わる。
はあ、と苦しそうに息を吐いた夏目の顔色はさっきよりだんだんと良くなっていき安心したところだというのに、もう何回か見たことがあるはずなのに見てはいけないものを見た時のように胸の辺りが重い。今度は俺の具合が悪い気がする。
悪いことをしたわけじゃないのに、とてつもなく悪いことをしたような。取り返しがつかないことをした時のように。息を吐くのも躊躇われる。これは、なんという感情なのだろう。
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Траур没外で昼寝させたいがうまく昼寝してくれない斑夏め
疲れていた。
ここ数日、やたら妖に取り巻かれたり学校の行事が立て続けにあったりと、ゆっくりなにもしない時間があまりに少なかった。
考えを整理する時間もない。夜も妖に起こされるので身体を休める時間もない。
布団に入るとすぐに朝が来てしまう。意識がなくなっているらしい。それくらいには疲れているようだった。
夏が近づいて日が延びた夕方、まだ陽は高く白く、空は青い。
久しぶりに学校から早く帰って来れて、まだ家に帰らなくても迷惑をかけるような時間でもない。
こんな空の下で転がって昼寝をしたらとても気持ちいいだろうなと思った。
―――通学路から少し外れてしまうが、人気のない野っ原がある。
たまにはゆっくりしてもいいよな、と気が付いたらそこに向かっていた。
725ここ数日、やたら妖に取り巻かれたり学校の行事が立て続けにあったりと、ゆっくりなにもしない時間があまりに少なかった。
考えを整理する時間もない。夜も妖に起こされるので身体を休める時間もない。
布団に入るとすぐに朝が来てしまう。意識がなくなっているらしい。それくらいには疲れているようだった。
夏が近づいて日が延びた夕方、まだ陽は高く白く、空は青い。
久しぶりに学校から早く帰って来れて、まだ家に帰らなくても迷惑をかけるような時間でもない。
こんな空の下で転がって昼寝をしたらとても気持ちいいだろうなと思った。
―――通学路から少し外れてしまうが、人気のない野っ原がある。
たまにはゆっくりしてもいいよな、と気が付いたらそこに向かっていた。
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MEMO途中 田夏★ちゅーしないと具合悪くなる話④「夏目くん、いますか」
力の加減が出来ず思い切り保健室の扉を開けてしまい、廊下にその音が響き渡る。
自分の大きな声が部屋に拡がった。
正面の窓際、大きな窓にはカーテンが引かれており柔らかい光で部屋が照らされている。
―――人影はない。
保健室の先生も、夏目の姿も見えない。
ここにいると聞いていたので急いで来たのにと思いながらとりあえず保健室に踏み入った。
「……夏目?」
扉を閉めると、外の音が遮断されてしんとする。その中で、くすくすと笑う声が聞こえた。
「田沼、ごめん、いるよ」
笑いを堪えているような話し方。
夏目のほかに人の気配はしない。先生もどうやら不在のようで俺にはここに二人きりだと思えるのだが、本当のところはわからない。
2645力の加減が出来ず思い切り保健室の扉を開けてしまい、廊下にその音が響き渡る。
自分の大きな声が部屋に拡がった。
正面の窓際、大きな窓にはカーテンが引かれており柔らかい光で部屋が照らされている。
―――人影はない。
保健室の先生も、夏目の姿も見えない。
ここにいると聞いていたので急いで来たのにと思いながらとりあえず保健室に踏み入った。
「……夏目?」
扉を閉めると、外の音が遮断されてしんとする。その中で、くすくすと笑う声が聞こえた。
「田沼、ごめん、いるよ」
笑いを堪えているような話し方。
夏目のほかに人の気配はしない。先生もどうやら不在のようで俺にはここに二人きりだと思えるのだが、本当のところはわからない。
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Траур没どこにむかっていくのこれ
鼻血出した夏目 夏目が倒れたと聞いて、保健室へ向かった。
体育の授業中にド派手に転んでそのまま起き上がって来なかったらしく、心配というよりは面白がって噂するクラスメイトたちのおかげでこの話がすぐ耳に入った。
妖のせいなのか。それとも、最近悩まされているあの症状のせいなのか。
倒れた理由に心当たりがいくつかあり考え事をしていたせいか保健室にはすぐ着いた。
扉を開けると、保健室の先生がびっくりした顔で振り返りその視線とぶつかる。
「友達が倒れたって、聞いて」
今更だが、俺が来てどうにかなることだっただろうか。
予鈴がなり、廊下にはほとんど生徒がいなくなっていた。授業も始まるというのに、おれはそれらを無視してここに居る。
666体育の授業中にド派手に転んでそのまま起き上がって来なかったらしく、心配というよりは面白がって噂するクラスメイトたちのおかげでこの話がすぐ耳に入った。
妖のせいなのか。それとも、最近悩まされているあの症状のせいなのか。
倒れた理由に心当たりがいくつかあり考え事をしていたせいか保健室にはすぐ着いた。
扉を開けると、保健室の先生がびっくりした顔で振り返りその視線とぶつかる。
「友達が倒れたって、聞いて」
今更だが、俺が来てどうにかなることだっただろうか。
予鈴がなり、廊下にはほとんど生徒がいなくなっていた。授業も始まるというのに、おれはそれらを無視してここに居る。
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MEMO半径2m程度の人の心の声が聞こえるようになった夏目途中
★一時的サトラレ 朝から、何かおかしいような気はしていていた。
塔子さんが、朝ごはんの時に「今日の夕食はエビフライにしようかしら」と言っていたので、「今日の晩御飯、楽しみです」と返事をしたところ、はっとした顔をしていた。
何か変なことを言ったかなと思いはしたが、食事の話しかしていないし妖に関するようなことで口を滑らせたわけでもなかったのでさほど気にしなかった。
今思えば、一回目の違和感だった。
学校に行く途中、今日は暇だからついて行くと鞄に滑り込んでいた先生が「食事が楽しみだなんて珍しいな」と言ってきたが、おかしい、エビフライなら俺よりも先生の方がもっと喜ぶはずなのに。
「今日はおれのエビフライとるなよ」
「ほう、今日はエビフライなのか」
2634塔子さんが、朝ごはんの時に「今日の夕食はエビフライにしようかしら」と言っていたので、「今日の晩御飯、楽しみです」と返事をしたところ、はっとした顔をしていた。
何か変なことを言ったかなと思いはしたが、食事の話しかしていないし妖に関するようなことで口を滑らせたわけでもなかったのでさほど気にしなかった。
今思えば、一回目の違和感だった。
学校に行く途中、今日は暇だからついて行くと鞄に滑り込んでいた先生が「食事が楽しみだなんて珍しいな」と言ってきたが、おかしい、エビフライなら俺よりも先生の方がもっと喜ぶはずなのに。
「今日はおれのエビフライとるなよ」
「ほう、今日はエビフライなのか」
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MEMO途中★ちゅーしないと具合悪くなる話 週末。
学校がないので目覚まし時計で起きる必要がない。
いつもより夜更かしをして、いつもより朝少しゆっくり起きようと考えていた週末だった。のに。
「先生、ちょっと」
吐き気。
気道に何か詰まったような、息苦しさで咳き込み目が覚めた。
咳が治まると口の中に酸っぱい唾液と、泡のようなものがせりあがってきて口をぎゅっと閉じる。ここで出したら大変なことになる。ゆっくり飲み込んで。
戻すならトイレに行こうかとも思ったが、脱力してしまっていて起き上がれそうにない。
「いるか」
「んにゃ」
「具合悪い」
返事はなかった。
何時かはわからないが、まだ部屋は暗い。加えて体調不良もあるせいか、部屋を見渡しても視界がはっきりせず先生がどこにいるのか見えなかった。
2192学校がないので目覚まし時計で起きる必要がない。
いつもより夜更かしをして、いつもより朝少しゆっくり起きようと考えていた週末だった。のに。
「先生、ちょっと」
吐き気。
気道に何か詰まったような、息苦しさで咳き込み目が覚めた。
咳が治まると口の中に酸っぱい唾液と、泡のようなものがせりあがってきて口をぎゅっと閉じる。ここで出したら大変なことになる。ゆっくり飲み込んで。
戻すならトイレに行こうかとも思ったが、脱力してしまっていて起き上がれそうにない。
「いるか」
「んにゃ」
「具合悪い」
返事はなかった。
何時かはわからないが、まだ部屋は暗い。加えて体調不良もあるせいか、部屋を見渡しても視界がはっきりせず先生がどこにいるのか見えなかった。
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MEMO途中★ちゅーしないと具合悪くなる話② 屋上に繋がる扉についている小さなモザイク窓から、夕日が差し込んでいる。
「今日の分」
「ん」
頬に温かいものが触れてすぐ離れる。
未だ慣れず、触れる瞬間に目を瞑ってしまうのだが、それを見られたくなくてすぐ目を見開いた。
自分の顔の横から離れていく田沼は、差し込む夕日の赤に照らされて同じように赤くなっていた。
滅多に開放されることのない屋上へ続くこの階段の踊り場は、人が来ることはあまりない。
ガタついた椅子や机が乱雑に積まれて物置のように使われているこのスぺースに、最近よく、二人で少しの時間を共有するために来ることが多くなった。
「これで、いいんだよな」
俺にもこれが正解かはわからないが、間違いではないと思う。明らかに一瞬で肩が軽くなった。
1262「今日の分」
「ん」
頬に温かいものが触れてすぐ離れる。
未だ慣れず、触れる瞬間に目を瞑ってしまうのだが、それを見られたくなくてすぐ目を見開いた。
自分の顔の横から離れていく田沼は、差し込む夕日の赤に照らされて同じように赤くなっていた。
滅多に開放されることのない屋上へ続くこの階段の踊り場は、人が来ることはあまりない。
ガタついた椅子や机が乱雑に積まれて物置のように使われているこのスぺースに、最近よく、二人で少しの時間を共有するために来ることが多くなった。
「これで、いいんだよな」
俺にもこれが正解かはわからないが、間違いではないと思う。明らかに一瞬で肩が軽くなった。