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    夏至

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    TRAINING6/25ワンライ
    お題【父・夏至】
    出島のマーケットに買い出しに行き夏至祭の花を貰う狡噛さんが、宜野座さんにどうやってプロポーズするか悩むお話です。宜野座さんは出てきませんが甘いです。
    夢の花 移民が多く住む出島では、夏至祭が盛大に行われる。色とりどりの花を冠にした少女が走り回り、苺やベリーを大声で売る商人が身振り手振りで客引きをし、古い言語で歌われる恋の歌がラジカセから流れ、花の葉についた朝露を老婆たちが健康を願って孫たちに含ませる。もちろん民族によって夏至祭は多くの種類に分けられるから、さまざまな国家から脱出した人間が集まるここでは、全てが統一されているわけではない。現に夏至祭が行われる日もばらばらだ。二十一日だったり、二十六日までだったり、そもそもが移動祝祭日だったり。冬至に祝う民族もいる。それでも共通して一つだけ残っているものがある。というか、日本人にも、特に若い女たちの間で広まりつつある風習があった。それは夏至祭のイブに、枕の下にセイヨウオトギリの黄色い花を敷いて眠るというものだ。俺がそれを聞いたのは、太陽が天に昇る頃のマーケットの果物屋で、腹の出っぱった親父から林檎やら何やらを買い、おまけだと黄色い花をもらった時だった。
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