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    小学生

    ほしいも

    DONE道場の猫と煉獄兄弟
    ■現代パロディ
    ■中学生の杏寿郎と小学生の千寿郎
    ■猗窩煉のオタクが書いています
    プラスチックの浅型の皿に、乾いた音を立てて小さな粒が落ちる。皿の中央に描かれたゆるいタッチのキャラクターが徐々に覆われて見えなくなる。鰹節のような、生々しい魚の匂いのする粒は、角の取れた三角形と小さな真ん丸、割合いが少な目の魚の形。道場の裏庭、公園のように自由に近所の子供が行き来している開けた場所にカラカラと小さな音が立つ、ダメ押しで皿を軽く揺すって音を響かせる。これは、呼び鈴の代わりだった。

     裏手の縁側につらつらと整列するランドセルと学生帽。学友たちに倣って荷物を置くより先に、板間に手を付いて軒下を覗き込む。カラカラカラ、呼び鈴代わりの餌皿を揺らす。目当ての姿は見当たらない。いつもそうだった、気紛れで、探すと姿を隠すのに何でもない時にひょっこりと顔を出す。
    「……やっぱり、僕が呼んでも来てくれません。」
     頭の上から鴉の鳴き声がする。カアカアと良く響く声につられて銀杏の木を見上げると、すっかりと葉を落として枯れている姿に、贈り先のなくなった餌皿が惨めな物のように思えて、寂しさと惨めさと悔しさが小さな胸の中で綯い交ぜになる。隣に立つ兄は真新しい学生服が汚れるのも厭わずに片膝をついて 2321