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    小瓶

    hot_hot_water

    MOURNING「桜が散る少し前、小瓶が並ぶカレー屋で不意にペリカンが立っているのを見たという話をしてください。」という森見登i美彦みのすごいお題をガッと文字起こししてみた。
    ほぼペンギンハイiウェイやん…となってる。
    ペリカン その日も件のカレー屋にいた。
     窓際のよく陽の当たるテーブルは僕の特等席で、陽光の美しい日であった。


     学問への期待に胸躍らせて入学した大学での華々しき1年目は、僕の初心な期待を大きく裏切っていた。
    幼少の折より胸が痛むほどに憧れ続けていた物理学の第一人者たるかの教授は、第一学年向けの講義を一切受け持っていなかった。後にご本人から聞いたところによれば「一年坊主は嫌いだ」とのことであった。気難しい人なのだ。

     そういうわけで、1年目は膨大な時間を「一般教養」などと嘯く講義に充てなければならなかった。
    それらの講義に90分もの時間を費やすに足る含蓄があるとはついぞ1ミリも思えなかった。
    90分といえば1日の6パーセント、分母を活動時間にすれば(僕は1日のうち8時間を睡眠に当てるので)実に1日の約10パーセントだ。このように多くの時間を僕の貴重なうら若き青春に充てるべきではないと、うら若き僕は固い意志をもって断じたのだ。
    2006