幽霊
かとうあんこ
DOODLE一度別れた赤安がバディを組んで幽霊退治(?)をする話、第三話。「その日のことはよく覚えてます。パパと姉貴とわたしの三人でママの誕生日プレゼントを買うために出掛けていたんです。姉貴は小学生、私は保育園に通っている頃で、パパが贔屓にしているアンティークショップに……え?名前?なんだったかなあ。随分前に倒産しちゃったから、もうありませんよ。……いえ、ママはドールハウスには全然興味なくて。アンティークショップのガラスの戸棚に飾られていたワイングラスをプレゼントすることにしたんです。それをお店のひとがラッピングしている間に、オーナーさんが『お嬢様たちにこちらはいかがですか?』と言って見せてくれたのが、そのドールハウスでした。本物の西洋のお屋敷を小さくしたみたいですごく素敵だったから、私も姉貴もすぐに気に入りました。ふたりでパパにおねだりして、買ってもらえることになったんですけど……パパがお会計している間、奥さんが、あ、オーナーの奥さんです、がこんなことを言ってたんです。『このドールハウスに人形は絶対に入れないで』って。私たちは不思議に思いましたが、奥さんがあまりに真剣な表情だったから「うん」と答えました。でも家に帰ってドールハウスを広げて、別に梱包してもらった家具を並べているうちに……人形を入れて遊びたくなったんです。ほら、子どもってダメって言われるとやりたくなるところあるじゃないですか。それに……人形がないほうが変な感じがしたんです。とても精巧にできていたから……ううん、そうじゃないな……人がいる気配がするのに誰もいない……そんな感じでした。でも、うちにあるのは着せ替え人形ばかりで、そのドールハウスのサイズにちょうどいい人形がなかったんです。そしたら姉貴が「紙のお人形を作ってドールハウスに入れよう」と言ったんです。「紙の人形なら約束を破ったことにはならないだろうから」って。私はすぐに部屋にあった画用紙に黒いマジックで女の子の絵を描いてソファに座らせました。その隣に姉貴が書いた猫の絵を置いたところで夕飯の時間になって、私たちはドールハウスをそのままにして部屋を出たんです。……あはは、大丈夫よ、真さん。子どもの頃の話だから。それに、もし何かあっても真さんが守ってくれるでしょう?……はい。そうなんです。夕飯を終えてドールハウスがある部屋に戻ってきたら、紙の人形が切られていたんです。バラバラに……。「やっぱり人形を入れたのがいけなかったのかし
9903かとうあんこ
DONE一度別れた赤安がバディを組んで幽霊退治(?)をする第二話烏丸怪談②友人の話「え?僕には怪談はないのかって?う~ん、そうだなあ……僕の友人の話でもよければ。はは、そういうことが多いね。まあ、どちらでもいいじゃないか。これは友人が保育園に通っていた頃の話だ。彼はいつもお迎えが一番最後でね。母親の仕事が忙しかったんだ。彼は保育園では周りの子どもたちとうまくいってなかったから、園児が少なくない遅い時間のほうが遊びやすかった。だから、母親の迎えが遅くても気にならなかった。嬉々として居残っている彼を見て羨ましかったのか、園児のひとりが意地悪を言ったんだ。『あいつはいらない子だからお迎えが遅いんだ』って。気丈な友人もこれにはショックを受けた。いつもは独り占めできて嬉しい積み木も全然楽しくない。今すぐに母親に抱っこしてほしかった……。そんなことを考えてると、友人の前に見知らぬ男の子が現れた。『キミ、いらない子なの?』友人は当然ムッとして無視をした。ちょっとだけ泣いてたかもしれない。その寂しさを見抜いたように男の子は『じゃあ、一緒に遊ぼうよ』と言った。友人は少し悩んでから『ウン』と言った。それから二時間、彼は行方不明になった。保育園の先生はもちろん彼を探したし、お迎えに来た母親も一緒に探した。家に帰ったんじゃないか、散歩で行った公園にいるんじゃないか。いろんな場所を探したが、見つからない。いよいよ警察に連絡しようとなった時、子ども用トイレから友人が現れた。『やっと帰ってこれた』と言いながらね。二時間だけの神隠しだ。……どう?名探偵の君には物足りなかったかな」
8690流菜🍇🐥
MOURNINGシリアスな本編軸。幽霊になったルチアーノが一年ぶりにシティを訪れ、龍亞と話をする話です。過去に書いただけで放置していたものを供養します。空 噴水広場の片隅にある小さな公園は、今日も人っ子一人居なかった。賑わっているシティにも、こうして死んでいる場所があるのだと思うと、なんだか不思議な気分になる。錆び付いたベンチに腰掛け、足をブラブラを揺らしながら、僕は目的の人物を待った。
しばらく待っていると、遠くから足音が聞こえてきた。年端のいかない子供に特有の、軽くて軽快な足音だ。それは角を曲がると、ゆっくりこちらに近づいてくる。公園の前に辿り着くと、子供はぴたっと足を止めた。
「やあ、ずいぶん遅かったな」
声をかけると、彼は真っ直ぐに僕を見つめた。光を湛えた黄色の瞳が、飛び出そうなほどに見開かれる。ひとつに結った髪を揺らすと、絞り出すような声を上げた。
6799しばらく待っていると、遠くから足音が聞こえてきた。年端のいかない子供に特有の、軽くて軽快な足音だ。それは角を曲がると、ゆっくりこちらに近づいてくる。公園の前に辿り着くと、子供はぴたっと足を止めた。
「やあ、ずいぶん遅かったな」
声をかけると、彼は真っ直ぐに僕を見つめた。光を湛えた黄色の瞳が、飛び出そうなほどに見開かれる。ひとつに結った髪を揺らすと、絞り出すような声を上げた。
かとうあんこ
DONE一度別れた赤安がバディを組んで幽霊退治をする話烏丸怪談①結末「怪談ですか?どうしてまた……まあ、ありますよ。工藤家の鉄板ネタが。あれはまだ俺が保育園に通っていた頃。父さんが珍しくホラー小説の原稿を依頼されたんです。小説って言っても長い話じゃなくて、雑誌の企画で短編を一話だけって話だったから、まぁたまには書いてみるかと引き受けたそうです。でも……結論から言うとボツになったんですよ。長年一緒に仕事をしている担当さんや校正さんでも最後まで読めなかったらしいです……怖すぎて。プロが読めない小説なんて気になりませんか?気になりますよね?原稿が読みたい?ええ、俺もそう思いました。でも見つからないんですよ、この家のどこかにあるはずなのに……」
新一くんが話し終わるのと同時に工藤邸の広い書斎を乾燥した風が横切って行った。
5687新一くんが話し終わるのと同時に工藤邸の広い書斎を乾燥した風が横切って行った。
withhappysong1
DOODLE爆切版ワンドロ・ワンライ第117回「もしも妖怪やゴーストだったら」
ハロウィンの夜更け、クラスのみんなといっぱいはしゃいでぐっすり寝落ちた切君の部屋に、
イタズラ幽霊がトリートしに現れる……かもしれない??
切君オタオメ月間、たくさんの楽しい「もしも」ありがとうございました! 2
ゆきうさ
PAST※ぶぜまつ※刀剣破壊・重めの展開あり2022年8月夏インテにて発行した、ホラーでシリアスな現パロです。
都市伝説になっている幽霊の松井が人間の豊前と松井のところに押しかけてくる話です 41
グ飴ミ
DOODLE呪いいつも彼女が用意してくれていた毎朝のコーヒーは今日も用意されていない。
僕はあの日彼女と喧嘩して以来、口を聞けていない。
「ごめんね」
たった一言。この言葉を言えていれば彼女を苦しませなかったのかも知れない。
だが、それももうできない雰囲気で、
別れることもできず、ただただこの二人の家で時を過ごしている。
コーヒーの飲めない彼女は僕の目の前で紅茶を一口。
僕は彼女を眺める。
次第に涙目になれば「ごめん。ごめんなさい。」と掠れた声で泣き出してしまう。
「いいよ。僕もごめん。」
そう言って彼女に微笑みかけてもその謝罪が消えることはなかった。
彼女に手を伸ばす。
優しく撫でようとしたその頭を、僕の手はすり抜けてしまう。
喧嘩したあの日。
440僕はあの日彼女と喧嘩して以来、口を聞けていない。
「ごめんね」
たった一言。この言葉を言えていれば彼女を苦しませなかったのかも知れない。
だが、それももうできない雰囲気で、
別れることもできず、ただただこの二人の家で時を過ごしている。
コーヒーの飲めない彼女は僕の目の前で紅茶を一口。
僕は彼女を眺める。
次第に涙目になれば「ごめん。ごめんなさい。」と掠れた声で泣き出してしまう。
「いいよ。僕もごめん。」
そう言って彼女に微笑みかけてもその謝罪が消えることはなかった。
彼女に手を伸ばす。
優しく撫でようとしたその頭を、僕の手はすり抜けてしまう。
喧嘩したあの日。
なごち@移住
DOODLE幽霊なんていない!!!硫黄島の話興味深かったですね
冬でも暑いって想像できない環境だ…
英霊に感謝
1時間半くらいで0からカラーが描けた!
プロクリ線画のクリスタ塗りが
日々の落書きでは最短最速なのかもしれない
もちこの本棚📖
DONE寄る辺なき魂フェス、開催おめでとうございます!現地参加できなかったので生霊を飛ばしておりました!˙˚ʚ( •ω• )ɞ˚˙
全然イベントと関係ないのですが、書いてる人が療養中のためド鉄板看病ネタです(*´ー`*)
ちなみにいつもの幽霊けけ👻になります、よろしくお願いいたします( ˘ω˘ )
幽霊の相棒、看病をする『暁人、大丈夫か?』
「うーん、まだキツいかなぁ……」
先日、暁人が珍しく熱を出した。病院で診てもらうと、流行病ではないようで互いに一安心したが季節の変わり目もあって少し厄介な風邪を引いてしまったらしい。熱も中々下がらなかった。
「……うわ、まだ熱ある。三七度八分」
『それならまだシンドいだろ、いいから寝とけよ』
「でもなぁ…洗濯も掃除もできてないし…」
暁人が無理に体を起こそうとしたので、KKが制止する。
「あっ、ちょっと、金縛り方式はずるいって!」
『こうでもしないと無理にでも動くだろ、オマエは』
暁人が少し不貞腐れた表情をするも、KKはそれを無視してそのまま暁人をベッドに無理やり寝かせたままにする。さて、とKKは少し考えて暁人の体から抜け出して人の形をとる。
1917「うーん、まだキツいかなぁ……」
先日、暁人が珍しく熱を出した。病院で診てもらうと、流行病ではないようで互いに一安心したが季節の変わり目もあって少し厄介な風邪を引いてしまったらしい。熱も中々下がらなかった。
「……うわ、まだ熱ある。三七度八分」
『それならまだシンドいだろ、いいから寝とけよ』
「でもなぁ…洗濯も掃除もできてないし…」
暁人が無理に体を起こそうとしたので、KKが制止する。
「あっ、ちょっと、金縛り方式はずるいって!」
『こうでもしないと無理にでも動くだろ、オマエは』
暁人が少し不貞腐れた表情をするも、KKはそれを無視してそのまま暁人をベッドに無理やり寝かせたままにする。さて、とKKは少し考えて暁人の体から抜け出して人の形をとる。
LtAnpan_
PAST【WEB再録】幽霊は殴れない(現パロ月鶴)2023年2月発行「つるみが元気アンソロ」に寄稿した月鶴漫画です。おはぎで思い出したので再録。参加させていただきありがとうございました!
⚠️原作程度の暴力 4