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    もちこの本棚📖

    @zunnda_motico

    Twitter(X)で投稿したものをこちらにも上げています✍️
    現在GW:T(K暁とCPなしメイン、たまに暁K、)作品になります
    (アイコンはいかてんころもさん(@Ikaten_koromo)作です☺️ありがとうございます☺️)

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    寄る辺なき魂フェス、開催おめでとうございます!
    現地参加できなかったので生霊を飛ばしておりました!˙˚ʚ( •ω• )ɞ˚˙
    全然イベントと関係ないのですが、書いてる人が療養中のためド鉄板看病ネタです(*´ー`*)
    ちなみにいつもの幽霊けけ👻になります、よろしくお願いいたします( ˘ω˘ )

    #K暁

    幽霊の相棒、看病をする『暁人、大丈夫か?』
    「うーん、まだキツいかなぁ……」
     先日、暁人が珍しく熱を出した。病院で診てもらうと、流行病ではないようで互いに一安心したが季節の変わり目もあって少し厄介な風邪を引いてしまったらしい。熱も中々下がらなかった。
    「……うわ、まだ熱ある。三七度八分」
    『それならまだシンドいだろ、いいから寝とけよ』
    「でもなぁ…洗濯も掃除もできてないし…」
     暁人が無理に体を起こそうとしたので、KKが制止する。
    「あっ、ちょっと、金縛り方式はずるいって!」
    『こうでもしないと無理にでも動くだろ、オマエは』
     暁人が少し不貞腐れた表情をするも、KKはそれを無視してそのまま暁人をベッドに無理やり寝かせたままにする。さて、とKKは少し考えて暁人の体から抜け出して人の形をとる。
    『まあ、オレに任せておけって』
     
    「…まるでポルターガイスト現象だよね、掃除機が勝手に動いてるんだから」
    『オレにかかればこのくらい簡単だよ、いいから黙って寝てろ』
     KKが幽霊としての力を使って部屋の掃除を始める。傍から見れば暁人の言う通り、掃除機が独りでに動いているのだから中々に不気味ではある。
    『暁人、なにか食いたいものはあるか?』
     掃除を終えたKKが暁人に尋ねる。向けられた視線は普段よりも優しいように感じた。
    「……えっと」
    『おっと、塩神はナシだぞ。消化に良くない』
     母親みたいなことを言うな…と暁人がムッとしてまた考え直す。
    「…じゃあ、お粥と果物の缶詰」
    『それくらいならオレにもなんとかできる、確か台所にあったな』
     それくらいなら自分で、と言いかけてKKの金縛りで動けないことを思い出して暁人は諦めた。台所からは電子レンジを操作する音や皿を出す音が聞こえる。
    「大丈夫かなぁ…」
     心配しつつも、やはり身体が辛いときに誰かに世話をしてもらえるのは有難い。両親を亡くした後はこうして誰かに頼ることはしていなかった。自身が体調を崩した時は麻里が世話をすると言ってくれたが、風邪が伝染らないようにと気持ちだけ受け取って一人でどうにかしたものである。
    『待たせたな、出来たぞ』
     KKがお粥と果物が入った皿をふよふよと浮かせながらテーブルに置く、盛り付けは雑だが問題なかった。
    「ふふ、ありがとう。いただきます」
     お粥を一口、レトルトのものを温めただけなのにとても美味しくて心に染みた。一口ずつゆっくり味わっていく。
    「…美味しい、ありがとうKK」
    『ゆっくり食えよ』
     お粥を味わったあとは果物を一口、KKが開けてくれたのは色々な種類の果物が入った缶詰のようでそれもゆっくり味わう。
    「缶詰の果物って美味しいよね、風邪をひいたときなんか特に」
    『不思議なものだよなぁ』
     ゆっくりゆっくり、一口ずつ味わっていく。完食する頃には眠気がやってきた。解熱剤を飲んでベッドに横になる。
    『腹が膨れて眠くなってきただろ、今度こそちゃんと寝ておけ』
    「うん…おやすみ、KK…」
     素直にKKに任せれば、いつの間にか金縛りを解いたようですぐに瞼が重くなっていく。
    『おう、おやすみ暁人』
     暁人の額にそっとKKが手を添える。霊体の手は少し冷たく、暁人の熱を冷ますにはちょうど良いくらいだった。暁人がすっかり深い眠りについたのを見届けて、KKは食器を片付けに台所へ向かった。
     
     翌朝、自然と目を覚ました暁人は体のだるさがかなりマシになったのを感じて熱を測る。平熱にまで下がっていた。
    「あ、よかったぁ……」
    『熱、下がったんだな』
    「KKおはよう、おかげさまでね」
     そっと体を起こし、伸びをする。まだ若干の倦怠感はありつつも、動けないほどではなかった。
    「看病してもらうと治りが早いっていうけど、ホントだね」
    『看病っていうほどのことはしていないがな』
    「そばに居てくれるだけでも十分だったのに、掃除してくれて、それに食事まで用意してくれただろ? ありがとう、本当に助かったよ」
     人魂状態のKKにそっとキスを落とすと、ぶわりと広がり人の形をとる。驚いて少し顔を赤くしたKKの姿がそこにはあった。
    『あっぶね、危うく成仏しちまうところだったぞ』
    「それは困る、幽霊のKKだったら遠慮なく看病してもらえるのに」
     伝染す心配ないからね、と暁人が笑うとKKが『幽霊じゃなくても看病してやったよ』と呟いたのを聞いて、互いに少しだけ胸を痛ませてしまったが。
    「それじゃ、今度は僕の番。KKの食べたいもの作るよ、何がいい?」
    『蕎麦、と言いたいところだが唐揚げがいいな』
    「奇遇だね! 僕も食べたかったんだ」
     
     青年と幽霊の相棒の、ある一日の話。
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    DONE2024年2月25日
    K暁オンリーイベント、開催おめでとうございます🥳
    K暁デーネットプリント企画、お題「バレンタインデー」で書かせていただきました。
    同棲軸の二人のはなしです🍚
    ※既にお知らせしていますが、本部様のネップリアンソロに申請させていただいた予約番号は不備があったためすでに削除しています。白黒版、修正したカラー版を登録し直したので、詳細はTwitter(X)をご覧下さい!
    ビターな思い出を塗り替えて「KK、いつもありがとう」
     お皿の上にちょこんと乗せられたそれは、どうやらチョコレートケーキのようだ。
    「あ?……昨日作っていたのは、それだったのか」
     昨日の夕方頃、帰宅すると部屋中チョコレートの甘い香りで包まれていて、その残り香が甘ったるくてつい顔を顰めてしまった。その香りの正体が、これだというわけだ。
    「甘さ控えめにしたからさ、KKでも食べられると思うよ」
     食べてみて苦手なら残してもいいからさ、と暁人は皿をずずいっとオレの前に差し出してくる。残してもいいと言うが、せっかく作ってくれたものを食べないわけにもいかない。とりあえず一口、と控えめにスプーンですくって口へと運ぶ。
    「…………美味いな、これ」
    1959

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    na2me84

    DOODLE #毎月25日はK暁デー 
    お題【初デート】
    参加させて頂きました。宜しくお願いします。お題が可愛すぎて悩みました…
     渋谷駅前、かの有名な交差点は深夜になっても人も車も途切れることはない。煌々と輝くモニター画面には雑多な情報が流され続け、色鮮やかなLEDに彩られた看板は星の光をかき消すように輝いている。夜の闇さえ寄せ付けない光の奔流は、月の存在までも薄く儚いものに変えてしまったようだ。
     信号が青に変わると一斉に人の流れが動き始め、それぞれの進行方向へと、人々が双方向に入り交じりながら滔々と流れていく。その人混みから少し離れて道路を眺めていた青年が、隣に立つ男に話しかけた。
    「ここだったよね、KK」
    「ああ、そうだったな」
    あの夜、二人が『運命的』に出会った場所がここだった。

     
    「ねぇ、夜の散歩に行かない?」
    暁人がそう声をかけてきた。正直なところ面倒だな、とKKは思った。もう飯も食って風呂もはいって、後は寝るだけ、という状態だ。出来ることならこのまま暁人を寝室まで引っ張って行って、さっさと押し倒したいところだが。まるで飼い主に散歩をねだる犬のような目で見つめられては、異を唱えることなど出来ようはずがない。甘いな、俺も。そう思いながら答える。
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    リキュール

    DONE日本ゲーム大賞優秀賞おめでとうございます!(遅刻)
    おめでたいと祝われるK暁です。本編後KK生存if、『黒猫』より少し前。
    愛したくて仕方がないが我慢していたKK×子供扱いされたくない暁人のお話。
    吉事あれば腹の内を晒せ「(おや、ちょうどいいところに)」

    ふわりと浮かぶ猫又が調査帰りの僕たちの元にやってきて尻尾を揺らした。暗い路地裏、夜も遅いこともあって人通りはないため、周囲を気にせずに堂々と触れる。耳元を撫でると、顔を擦り寄せうっとりとした表情でにゃぁんと鳴いた。これを人がいるところでやると虚無を撫でるヤバい人になってしまうので注意しなくてはならない。あれは結構恥ずかしい。

    あの夜が明け、消えていた人たちが帰ってきた。街の活気が戻り再び多くの人が行き交う渋谷になってからというもの、気がついた時には既に猫又たちはコンビニや屋台から姿を消していた。まあ人間がいなくなりこれ幸いと店を乗っ取っていただけなので、人が帰ってきてしまえば返さざるを得ず仕方がないと言えばそれまでで。だからもう会うことは無いのかと寂しく思っていたら、人気のない夜道や路地裏でひょこっと顔を出すようになったのだ。驚いたが、またあの可愛らしい鼻歌が聞けると思うと自然と顔が緩んでしまう。彼らはいつも見つけられるわけではない。気紛れに現れて、たまに撫でさせてくれて、掘り出し物を売買する。この気分屋な感じ、猫はいつだって可愛いのだ。
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