最近の検索
    ログインするともっと絵文字を送れます
    持っているアカウントではじめる

    michiru_wr110

    過去のを晒すanzr 初出2023.7.
    匠メイ
    七夕に合わせて創作和菓子を拵えた火村さんと、通常営業のメイ。

    「俺たちは織姫と彦星じゃない。だから、いつだってあんたに会える」

    #夏メイ #匠メイ #anzr男女CP
    催涙雨は似合わない(匠メイ) 絶景だ。
     彩度の高い青から紫へのグラデーションと、散らばるきらめきは天の川を彷彿とさせる。屈んで至近距離から見つめてみても、どこまでも澄み渡る星空でしかない。
     幻想的に彩られた直方体のそれが食べられる代物だなんて、俄かには信じがたい。
    「これを、火村さんが手作りされたのですか……」
    「おう」
     絶景の夜空……もとい、星空を模した創作羊羹を前に、火村さんは目を細める。
    「少しばかり不格好だけどよ。メイちゃんがそんなに目ぇ輝かせてくれたなら作った甲斐がある」
    「素敵です。本当に」

     冷蔵庫から不透明な型を取り出した火村さんが私を手招いたのが数刻前。先にいいもの見せてやるよ、と長皿に型を伏せた時は何が始まるのか全く予想がつかなかった。形を崩さないように、そっと型を外して現れた鮮やかな景色。このうつくしさを何と表現すれば良いかわからず、私はただただ息を呑んで、箱の中の夜景を凝視していた。
    962