敦
高間晴
TRAINING敦太800字。口内炎。しみるから 敦の作った朝食を目の前にして、太宰は一口だけ食べたと思ったら、箸を持ったまま難しい顔をしている。
「どうしました? 食べないんですか?」
「いやほら……ちょっと口の中が痛くて」
左側の頬を手で押さえたまま、太宰は憂鬱そうな表情でいる。
卓袱台の向かいにいた敦が近づいてきて、「見せて下さい」と云うので太宰は素直に口を開ける。敦がよく見ると、左の頬、その内側にぽつんと白い点ができていた。
「あー……口内炎ですね」
「やっぱり?」
太宰は口を閉じると、箸を置いてため息をついた。
「敦君の作ってくれたご飯、無駄になっちゃうね」
寂しそうな顔で敦を見てくるものだから、敦は困ったように笑う。
「食べたければ何時でも幾らでも作りますから」
843「どうしました? 食べないんですか?」
「いやほら……ちょっと口の中が痛くて」
左側の頬を手で押さえたまま、太宰は憂鬱そうな表情でいる。
卓袱台の向かいにいた敦が近づいてきて、「見せて下さい」と云うので太宰は素直に口を開ける。敦がよく見ると、左の頬、その内側にぽつんと白い点ができていた。
「あー……口内炎ですね」
「やっぱり?」
太宰は口を閉じると、箸を置いてため息をついた。
「敦君の作ってくれたご飯、無駄になっちゃうね」
寂しそうな顔で敦を見てくるものだから、敦は困ったように笑う。
「食べたければ何時でも幾らでも作りますから」
高間晴
TRAINING敦太800字。寒い朝。冬きたる 朝、敦は寒さで目を覚ます。
「さっむ……!」
思わず鳥肌の立つ腕をさすりながら体を起こした。
カーテンの隙間から冷えた朝日が部屋に射し込んでいる。いつの間にか、もう冬になっているのだ。
それにしても、なんでこんなに寒いのかと敦は思った。だが、気づけば、毛布や掛け布団は隣で寝ている太宰に全部奪い取られてしまっている。
全く仕方のない人だなあ、なんて思いながら、こちらに背を向けている太宰の肩にそっと手をかける。
「うーん……敦君、そこはだめぇ……」
触れた瞬間、妙に艶っぽい声の寝言。思わず敦は昨夜のことを思い出してしまって、手を離す。ごくりとつばを飲む音が聞こえそうな気すらして――。
「って、太宰さん! 起きてるでしょ!?」
837「さっむ……!」
思わず鳥肌の立つ腕をさすりながら体を起こした。
カーテンの隙間から冷えた朝日が部屋に射し込んでいる。いつの間にか、もう冬になっているのだ。
それにしても、なんでこんなに寒いのかと敦は思った。だが、気づけば、毛布や掛け布団は隣で寝ている太宰に全部奪い取られてしまっている。
全く仕方のない人だなあ、なんて思いながら、こちらに背を向けている太宰の肩にそっと手をかける。
「うーん……敦君、そこはだめぇ……」
触れた瞬間、妙に艶っぽい声の寝言。思わず敦は昨夜のことを思い出してしまって、手を離す。ごくりとつばを飲む音が聞こえそうな気すらして――。
「って、太宰さん! 起きてるでしょ!?」
みやなぎ
PAST支部未掲載分・4枚目と5枚目は本誌で20巻の内容を追っていた時に描いた感想絵みたいなものです。
・16、17枚目のは4年くらいの間に芥が本誌に出てこなかった期間中に寂しくなっていた私を敦君に置き換えた当時あったワンドロ用に描いたやつでした懐かしい 18
kourou_akat_v
DONE★☆芥敦オンリーのウェブイベント『黒と白のレゾネヰト』にて展示の作品★☆【くれない庵】(う1)
芥敦短編小説②僕と彼奴で囲む食卓
支部で掲載中のシリーズ。
原作軸の芥敦未満、意識すらしてません
ポトマ首領・森の命令&依頼で“期間限定”の同居生活を送っている芥敦がただ一緒にご飯を食べるだけ番外編的なSSSです
★パスワードの入力をお願いします☆
ヒント→芥敦と〇〇〇〇〇秋(ひらがな5文字) 6453
kourou_akat_v
DONE★☆芥敦オンリーのウェブイベント『黒と白のレゾネヰト』にて展示の作品です★☆【くれない庵】(う1)
芥敦短編小説①花片小話
支部で掲載中の芥敦小説シリーズ。
王様(芥)✕元家人の王妃(敦)。同性間での婚姻妊娠出産が可能ななんちゃって中華風パロのSSSです
★パスワードの入力をお願いします☆
ヒント→芥敦と〇〇〇〇〇秋(ひらがな5文字)
※『黒と白のレゾネヰト』サークルのお品書きに記載 5766
kourou_akat_v
DONE★☆芥敦オンリーのウェブイベント第1回『黒と白のレゾネヰト』にて展示した作品です★☆【くれない庵】(う1)
ビーズアクセサリー④バッグチャーム&ストラップ
芥敦とビ芥敦イメージ、原作とBEASTで微妙にビーズが違います
金の金具は探偵社、銀の金具はポトマでイメージしています 6
kourou_akat_v
DONE★☆芥敦オンリーのウェブイベント第1回『黒と白のレゾネヰト』にて展示した作品です★☆【くれない庵】(う1)
ビーズアクセサリー③ストラップ
両A面仕様。1枚目と2枚目で少し作りが違います。 2
kourou_akat_v
DONE★☆芥敦オンリーのウェブイベント第1回『黒と白のレゾネヰト』にて展示した作品です★☆【くれない庵】(う1)
ビーズアクセサリー②バッグチャーム
チェーン部分を外したらブローチとして使える仕様です。特小ビーズを使っているので、直径5㌢位です 4
kourou_akat_v
DONE★☆芥敦オンリーのウェブイベント第1回『黒と白のレゾネヰト』にて展示した作品です★☆【くれない庵】(う1)
ビーズアクセサリー①
ペンダントトップ
見えにくいですが、中心はキャッツアイを使ってます。 3
ochibi_3_
DOODLE「ジェラシーで眠れない久遠」ジェラシーで眠れない敦賀さんを描いたので、ふと浮かんだ久遠バージョンも。わかり辛いから色も付けた。敦賀さんバージョンも色付けたら、セットで支部に載せますね。
三鷹ぽ
DOODLE頑張って芥川をホテルに連れ込み初夜を迎えようとするが、ド緊張でちんちんが勃たなくなってしまい鼻血垂らしながらめそめそする敦(ド攻)かわいいよねっていうだけのらくがきですこの後「トイレいってくる…」って行って5分後位に「ちんちん勃った!!!エッチしよう!!」って復活してたらハチャメチャにかわいいよねって敦芥のマブとお話してました 敦芥カワイイ
青山羊 ニラ
DOODLEお題箱の「3ミリくらいかわいそう」ってガチャやってるフォロワーさんがいて、やってみたら面白いの出たから描いた。敦君は予想外すぎることが起こると固まる。
「そんなに振った記憶もない炭酸飲料が開けた瞬間噴き出して、敦が怪奇現象に遭遇したみたいな顔してる」
ochibi_3_
DONE花とゆめ20号の「花とむし」に載せていただいた、蓮様イラストの元データを加工したものです。応募した時は蓮様のイラストのみをハガキにプリントし、コメントの文字は手書きで入れました。(応募がハガキかTwitterしかないためデジタルをアナログ化)腹筋が素敵とコメントをいただきました。
高間晴
REHABILI敦太800字。完全自殺読本。読書の秋「いや〜、すっかり秋になったなぁ。こう涼しいと読書が捗るね」
太宰はそう云いながら部屋の布団の上で寝そべりつつ、本の頁をめくっている。
「読書はいいですけど、太宰さんってそれ以外の本読まないんですか?」
敦が指差すのは、真っ赤な表紙に白で棺桶と十字架のデザインが目を引く『完全自殺読本』だ。太宰は暇さえあればこれを開いて読みふけっている。付箋がびっしり貼られた彼の愛読書。それは聞いた話によると彼の生まれる前に出版されて一躍話題になったものの、有害図書認定されて絶版になった稀覯本らしい。
「何を云ってるんだい敦君。これより素晴らしい本なんてこの世にないよ?」
太宰が熱弁する。敦は本能で「あ、変なスイッチ押した」と思ったが後の祭り。
853太宰はそう云いながら部屋の布団の上で寝そべりつつ、本の頁をめくっている。
「読書はいいですけど、太宰さんってそれ以外の本読まないんですか?」
敦が指差すのは、真っ赤な表紙に白で棺桶と十字架のデザインが目を引く『完全自殺読本』だ。太宰は暇さえあればこれを開いて読みふけっている。付箋がびっしり貼られた彼の愛読書。それは聞いた話によると彼の生まれる前に出版されて一躍話題になったものの、有害図書認定されて絶版になった稀覯本らしい。
「何を云ってるんだい敦君。これより素晴らしい本なんてこの世にないよ?」
太宰が熱弁する。敦は本能で「あ、変なスイッチ押した」と思ったが後の祭り。
高間晴
REHABILI敦太800字。相合傘。傘の中「参ったなぁ……」
夜更けにバーに飲みに出かけて、マスターと少し話し込んでいたら雨が降り始めた。大きめの雨粒がばらばらと店の窓ガラスを叩いては滑り落ちていく。
マスターが店に置いてある傘を貸してくれると云ったが、太宰は断った。コートのポケットから携帯を取り出してボタンを操作すると、耳に当てた。
「あ、もしもし敦君?」
「太宰さん、今どこにいるんですか?
雨が降ってますけど……云ってくれれば迎えに行きますよ」
太宰は丸椅子をくるりと回して、カウンターに肘をついた。
「じゃあお願いしていいかな。
駅前から裏通りを入ってすぐの、ノーチラスってバーだよ」
通話を終えると、太宰はもう一杯飲もうと、ブランデーを注文する。
926夜更けにバーに飲みに出かけて、マスターと少し話し込んでいたら雨が降り始めた。大きめの雨粒がばらばらと店の窓ガラスを叩いては滑り落ちていく。
マスターが店に置いてある傘を貸してくれると云ったが、太宰は断った。コートのポケットから携帯を取り出してボタンを操作すると、耳に当てた。
「あ、もしもし敦君?」
「太宰さん、今どこにいるんですか?
雨が降ってますけど……云ってくれれば迎えに行きますよ」
太宰は丸椅子をくるりと回して、カウンターに肘をついた。
「じゃあお願いしていいかな。
駅前から裏通りを入ってすぐの、ノーチラスってバーだよ」
通話を終えると、太宰はもう一杯飲もうと、ブランデーを注文する。
高間晴
REHABILI敦太800字。ちょっとした悪戯に遭うあつしくん。髪を切ろうか 敦がデスクでPC作業をしているが、どうにも前髪が目に入ってきて集中できない。
「髪の毛切らなきゃなぁ……」
前髪をいじりながらつぶやくと、背後からナオミが近づいてきて声をかけてきた。
「あら、敦さん。お困りの様子ですわね。ナオミがいいものを差し上げますわ」
そう云うとナオミは振り返った敦の前髪を素早く顔の横にまとめると、何やらヘアピンで留めてくれた。
「あ、ありがとうございます」
「いえいえ。お礼には及びませんわ」
そう微笑むとナオミは長い黒髪をさらりと翻して給湯室の方へと消えていった。
しばらく敦がPCに集中していると、入口のあたりで国木田の怒声と適当にあしらう太宰の声が聞こえてきた。
「――だから太宰! 貴様はどうしていつもそうなんだ!」
885「髪の毛切らなきゃなぁ……」
前髪をいじりながらつぶやくと、背後からナオミが近づいてきて声をかけてきた。
「あら、敦さん。お困りの様子ですわね。ナオミがいいものを差し上げますわ」
そう云うとナオミは振り返った敦の前髪を素早く顔の横にまとめると、何やらヘアピンで留めてくれた。
「あ、ありがとうございます」
「いえいえ。お礼には及びませんわ」
そう微笑むとナオミは長い黒髪をさらりと翻して給湯室の方へと消えていった。
しばらく敦がPCに集中していると、入口のあたりで国木田の怒声と適当にあしらう太宰の声が聞こえてきた。
「――だから太宰! 貴様はどうしていつもそうなんだ!」
高間晴
REHABILI敦太800字。酒は飲んでも飲まれるな。呼ばう声「あ〜あ、飲みすぎちゃった〜」
真夜中のネオンが輝く歓楽街を、ふらふら歩きながら太宰は笑っている。
酒精の上った頬に当たる夜風はひやりと冷たく、いつの間にか秋が来たのだと告げている。
今日は敦とくだらないことで口喧嘩になり、むしゃくしゃしたのでとことん飲んでやろうと思って一人でここまで来ていた。
「もう一軒行くかな」
一人でつぶやいて、雑然とした人混みの中を歩いていく。
「……?」
ふいに自分の名を呼ぶ声があった気がして、太宰は路地裏の方へ目をやる。
――太宰……太宰。
どこか聞き覚えのある低い声に、太宰は朦朧とした頭の中で答えを導き出す。
「織田作……?」
相変わらずその声は太宰の名を呼んでいて、太宰はそちらへと歩を進めてしまっていた。
886真夜中のネオンが輝く歓楽街を、ふらふら歩きながら太宰は笑っている。
酒精の上った頬に当たる夜風はひやりと冷たく、いつの間にか秋が来たのだと告げている。
今日は敦とくだらないことで口喧嘩になり、むしゃくしゃしたのでとことん飲んでやろうと思って一人でここまで来ていた。
「もう一軒行くかな」
一人でつぶやいて、雑然とした人混みの中を歩いていく。
「……?」
ふいに自分の名を呼ぶ声があった気がして、太宰は路地裏の方へ目をやる。
――太宰……太宰。
どこか聞き覚えのある低い声に、太宰は朦朧とした頭の中で答えを導き出す。
「織田作……?」
相変わらずその声は太宰の名を呼んでいて、太宰はそちらへと歩を進めてしまっていた。
高間晴
REHABILI敦太800字。薔薇を一輪。貴方しかいない「好きって言ったら怒る?」
出し抜けに太宰からそう訊かれて、敦は何のことだろうと口を半分開いたまま振り返った。
今は事務所の応接室に飾る花を敦が生けているのだが、傍のソファに太宰がゆったり沈み込んでいる。
――好き? 太宰さんが好きって言うと僕が怒るかもしれないもの……?
「なんの、ことですか……?」
敦はおそるおそる訊いてみた。心臓がばくばくして口から飛び出そうなのを堪えながら。
「私が、敦君以外の人を」
予想した通りの台詞を口の端に乗せて太宰は微笑む。
「勿論、仮定の話としてだけど」
敦は重いため息をついた。
「……怒りませんよ。僕なんかよりその人のほうが太宰さんにお似合いでしょうし」
そこで太宰は眉根を寄せて不機嫌な顔をした。
908出し抜けに太宰からそう訊かれて、敦は何のことだろうと口を半分開いたまま振り返った。
今は事務所の応接室に飾る花を敦が生けているのだが、傍のソファに太宰がゆったり沈み込んでいる。
――好き? 太宰さんが好きって言うと僕が怒るかもしれないもの……?
「なんの、ことですか……?」
敦はおそるおそる訊いてみた。心臓がばくばくして口から飛び出そうなのを堪えながら。
「私が、敦君以外の人を」
予想した通りの台詞を口の端に乗せて太宰は微笑む。
「勿論、仮定の話としてだけど」
敦は重いため息をついた。
「……怒りませんよ。僕なんかよりその人のほうが太宰さんにお似合いでしょうし」
そこで太宰は眉根を寄せて不機嫌な顔をした。
青山羊 ニラ
TRAININGオリキャラ8人分の斜め向きの顔描いてみて、目が一番苦手なのかなって思ったから、そこに重点置いて練習してみようと思う…この吹き出しをつけることによって、聞いたことが理解できなかった敦君になってしまった…
高間晴
REHABILI敦太800字。ストリップってこれでええんか……?君の上で踊る 粘る水音がアパートの一室に響いている。
敦と太宰は二人で家に帰ってきた後、もつれるようにして布団に転がった。今は、太宰が覆いかぶさるような形でくちづけをかわしている。
「はっ……太宰さんっ」
太宰の手慣れた様子に圧され気味の敦は、思わず制止をかける。太宰の肩を軽く押して、唇が離れた隙にじっと太宰の目を覗き込んだら、その鳶色の瞳には熱に浮かされた自分の顔が映り込んでいた。思わず、顔を逸らしてしまう。
それを見た太宰は、体を起こして敦の腰のあたりに跨る。そうして敦が驚く間もなく、ループタイに手をかけると、挑発的な笑みを浮かべた。
「ストリップをご所望かな?」
ごくり、と敦の喉が鳴る音すら聞こえそうな距離。太宰は満足げに微笑むと、するりとループタイを外して放った。いつもの砂色のコートはすでに脱いでいる。次はベスト。ボタンをひとつひとつ外していく。
886敦と太宰は二人で家に帰ってきた後、もつれるようにして布団に転がった。今は、太宰が覆いかぶさるような形でくちづけをかわしている。
「はっ……太宰さんっ」
太宰の手慣れた様子に圧され気味の敦は、思わず制止をかける。太宰の肩を軽く押して、唇が離れた隙にじっと太宰の目を覗き込んだら、その鳶色の瞳には熱に浮かされた自分の顔が映り込んでいた。思わず、顔を逸らしてしまう。
それを見た太宰は、体を起こして敦の腰のあたりに跨る。そうして敦が驚く間もなく、ループタイに手をかけると、挑発的な笑みを浮かべた。
「ストリップをご所望かな?」
ごくり、と敦の喉が鳴る音すら聞こえそうな距離。太宰は満足げに微笑むと、するりとループタイを外して放った。いつもの砂色のコートはすでに脱いでいる。次はベスト。ボタンをひとつひとつ外していく。
青山羊 ニラ
CAN’T MAKE好きな漫画の絵を見つつ描くのがいいのかと思っている今日この頃。それとは関係なしに描いた30分落書き敦君(関係ないんかい)
頭の上の方大きめに&横の小さめのハネが耳より上に来るように描くように気をつけようと思う。
高間晴
REHABILI敦太800字。一緒にお風呂。背をなぞる 太宰と敦が住む安アパートの風呂は、言わずもがな狭いし古い。トイレと風呂が別なだけまだましなのかもしれないが。
ポートマフィア時代は、こんなアパートと比べ物にならないくらい広くて豪奢な部屋に住んでいたけど、今のほうが満たされていると太宰は思ってしまう。
――それもこれも、今の私には敦君がいるから。
太宰が湯船に浸かっていると、敦が帰ってきた。そのまま浴室から声をかけると彼は入ってきて、洗い場で髪を洗い始めた。
もこもこ泡立つシャンプーが温かい湯気の中で弾けていくにつれ、二人で共有している香りが浴室に広がっていく。
敦は髪を洗うのに専念していて、目も閉じている。太宰はその背に人差し指を這わせた。
「ひゃっ!? 太宰さん!?」
836ポートマフィア時代は、こんなアパートと比べ物にならないくらい広くて豪奢な部屋に住んでいたけど、今のほうが満たされていると太宰は思ってしまう。
――それもこれも、今の私には敦君がいるから。
太宰が湯船に浸かっていると、敦が帰ってきた。そのまま浴室から声をかけると彼は入ってきて、洗い場で髪を洗い始めた。
もこもこ泡立つシャンプーが温かい湯気の中で弾けていくにつれ、二人で共有している香りが浴室に広がっていく。
敦は髪を洗うのに専念していて、目も閉じている。太宰はその背に人差し指を這わせた。
「ひゃっ!? 太宰さん!?」
高間晴
REHABILI敦太800字。暖房器具を買いに行く二人。冬の過ごし方 今日の敦と太宰は、家電量販店に暖房器具を見に来ていた。秋も深まったので、朝晩など肌寒い時があるのだ。
「あ、太宰さん。炬燵がありますよ」
敦が指差すのは二人で向かい合わせに入るとちょうどよさそうなサイズの炬燵。うーん、と太宰は顎に手をやる。
「いいと思うんだけど、これ買ったら最後、私はトイレに立つのも面倒になりそうな気がする」
「確かに……」
炬燵に入ったままの太宰が「もうずっとここにいたい」などと云うのが、敦には容易に想像できた。これは却下だ。
「じゃあ電気毛布や電気あんかは?」
「布団に入る時は敦君の体温が高いからいらないかなぁ」
それを聞いて敦は少し顔を赤らめてしまう。一方太宰は真剣に暖房器具を見ている。二人で売り場をゆっくり歩きながら見ていく。
867「あ、太宰さん。炬燵がありますよ」
敦が指差すのは二人で向かい合わせに入るとちょうどよさそうなサイズの炬燵。うーん、と太宰は顎に手をやる。
「いいと思うんだけど、これ買ったら最後、私はトイレに立つのも面倒になりそうな気がする」
「確かに……」
炬燵に入ったままの太宰が「もうずっとここにいたい」などと云うのが、敦には容易に想像できた。これは却下だ。
「じゃあ電気毛布や電気あんかは?」
「布団に入る時は敦君の体温が高いからいらないかなぁ」
それを聞いて敦は少し顔を赤らめてしまう。一方太宰は真剣に暖房器具を見ている。二人で売り場をゆっくり歩きながら見ていく。
高間晴
REHABILI敦太800字。サボテンとヒマワリ。仙人掌と向日葵 朝に目を覚ました太宰は、歯を磨きながら何とはなしにテレビを見る。退屈な朝のニュース。そうしてふとテレビ台の上に置かれた小さなサボテンの鉢に目をやると、あ、と小さく声を漏らした。
「……枯らしちゃった……」
小さな小さな丸いサボテンは、黄色くなって萎れた蜜柑のようになってしまっている。
「えっ、太宰さんってば、サボテン枯らしちゃったんですか?」
探偵社のデスクで敦が資料をまとめながら、目を丸くして云った。
もとはといえば、あれは敦と二人で雑貨屋に行った際に敦が買ってくれたもの。なので、太宰が素直に枯らしてしまったと伝えたらこの反応である。
「サボテンなんて枯らす方が難しいと思うんですけど」
PCを立ち上げながら、太宰はしょんぼりした様子で敦に謝る。
872「……枯らしちゃった……」
小さな小さな丸いサボテンは、黄色くなって萎れた蜜柑のようになってしまっている。
「えっ、太宰さんってば、サボテン枯らしちゃったんですか?」
探偵社のデスクで敦が資料をまとめながら、目を丸くして云った。
もとはといえば、あれは敦と二人で雑貨屋に行った際に敦が買ってくれたもの。なので、太宰が素直に枯らしてしまったと伝えたらこの反応である。
「サボテンなんて枯らす方が難しいと思うんですけど」
PCを立ち上げながら、太宰はしょんぼりした様子で敦に謝る。
高間晴
REHABILI後朝の敦太800字。いちゃいちゃしてるだけ。
モーニングコーヒー「敦君のいれた珈琲が飲みたい」
朝、目覚めて開口一番に太宰がそう云う。先に服を身につけていた敦は、良いですよ、と云いおいて台所で湯を沸かし始めた。
しばらくしてから二人分のマグカップを持った敦が戻ってきて、ひとつを太宰に渡す。
「熱いから気をつけてくださいね」
太宰は、琥珀色の水面を何度か静かに吹いて冷ましていたが、やがて一口すすった。ほう、と安堵にも似たため息が漏れる。
「美味しい」
「インスタントだから誰がいれても同じ味だと思いますけど」
それに自分は珈琲をいれるのがそんなに上手くない、と敦はこぼす。布団に入ったままの太宰に寄り添うようにして座ると、敦も珈琲を一口飲んだ。
「……やっぱり。ついつい粉をケチって薄めになっちゃうんです」
837朝、目覚めて開口一番に太宰がそう云う。先に服を身につけていた敦は、良いですよ、と云いおいて台所で湯を沸かし始めた。
しばらくしてから二人分のマグカップを持った敦が戻ってきて、ひとつを太宰に渡す。
「熱いから気をつけてくださいね」
太宰は、琥珀色の水面を何度か静かに吹いて冷ましていたが、やがて一口すすった。ほう、と安堵にも似たため息が漏れる。
「美味しい」
「インスタントだから誰がいれても同じ味だと思いますけど」
それに自分は珈琲をいれるのがそんなに上手くない、と敦はこぼす。布団に入ったままの太宰に寄り添うようにして座ると、敦も珈琲を一口飲んだ。
「……やっぱり。ついつい粉をケチって薄めになっちゃうんです」