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    時計

    フォ……

    TRAINING類のワンダショモノローグ

    お題「思い出の時計」
    15分トレーニング 13

    954文字(所要時間約2分)
    センター街の時計が十二時を指していた。
     ざわざわとした喧騒の中、その音だけが一瞬、この空間の空気をかき乱す。

     類も、ご多分に漏れずその大時計を見上げて今の時刻を見つめていた。
     もう、そろそろ終わろうか。
     日曜日。
     人通りの多いこの街の中心で、朝から路上パフォーマンスを続けていた。
     お陰様で本日の営業は上々である。元より類は『魅せるため』だけでこの公演を続けていたにも関わらず、ある母親と子供から、手渡しで感謝の金銭まで頂いていたのだった。
     その小さな手のひらから感謝の気持ちを受け取る瞬間に、幼い少女と目が合った。その瞳は大きくて、類の顔をしっかりと写し取っている。それに映る自分と彼女自身が全く同じにこやかな表情をしていて、嬉しいような、驚くような気持ちにもなるのだった。

    「……今日は、これでお終いだよ」

     大通りの時計が十二時を告げた後、類はそう伝えて群衆に深々と礼をする。
     歓声と、まばらな拍手が伝わってくる。
     喜びと、次の公演へのアイディアが幾つも広がってゆく感触がある。

    「この続きはまたいつか。……ああ、僕はフェニックスランドでもショーをしているから、よかっ 993

    フォ……

    DONE彼との記念日を楽しむために

    お題「時計」「屋上」
    司類ワンドロ23

    2479文字(所要時間約5分)
    ひやりと肌を刺す冬の季節も終わりを告げて、今、季節は花開く春にさしかかっていた。
     司は高校へ向かう朝の道すがら、少しばかり胃の痛い悩みを抱えていた。

     彼が目指しているのは六月。恋人である類の誕生日についての事だった。
     彼と司が恋人同士になったのはつい二ヶ月前のバレンタイン。
     司が告げて、彼がその気持ちを受け止めた。
     だから、これから迎える彼の誕生日は、二人にとっての初めての誕生日となるのだった。

     まだあと二ヶ月ある。けれど、もう二ヶ月しかないとも言える。
     『スター』たる天馬司にとって初めての恋人を祝う誕生日。
     もちろんその前には自分自身の誕生日もあるのだが、こと『演出家』として華々しい計画を立ててくる恋人がその相手とあれば、少しばかり思考を凝らすのが早かったとて、問題はないのだろう。

    『司くん。司くんが好きなのは魚料理だったかい?』

     つい先日、ふと『何となく』を装って問いかけられた類の言葉を思い出す。
     その言葉の真意に気づかなかったふりをして言葉を返しつつ、類も、動いているのだなと少しばかりの焦りを感じたのだった。

     類は、司にとって何でもできるスペシャリ 2586