月がきれい
yowailobster
DOODLE20211119 月がきれいな日だった 闇堕ち誕生 S――妨害、計略、はては暴力行為も時に合法となる危険地帯。不良の溜まり場、悪党の棲み処。そう切り捨てる輩が大多数であろう地をしかし神道愛之介はこここそ己の理想でありこの世の最果てにある原初の救いなのだと信じてやまない。
「だってそうだろう」
傍らの少年に翻り、神道は底のない夜を求めるように両手を空へ掲げた。
「どんなに非道な行いでも許される場所は、いつまでもありえない夢を見られる場所でもある。あれが欲しいと幼子のようにごねるのも自由、もちろん――」
先端まで、一本一本に別個の生命が宿っているかの如くうごめく五指が月を覆う。手の中の天体はうっとりとなで回されたと思えば。ぐしゃり。次の瞬間左右から押しつぶされた。
3741「だってそうだろう」
傍らの少年に翻り、神道は底のない夜を求めるように両手を空へ掲げた。
「どんなに非道な行いでも許される場所は、いつまでもありえない夢を見られる場所でもある。あれが欲しいと幼子のようにごねるのも自由、もちろん――」
先端まで、一本一本に別個の生命が宿っているかの如くうごめく五指が月を覆う。手の中の天体はうっとりとなで回されたと思えば。ぐしゃり。次の瞬間左右から押しつぶされた。
じゅん
DONEすずぽんから「月がきれいですね」って言って欲しいし、おっさんには適当にちゃかして躱して欲しいって言うそれだけの漫画が2P付きました「俺が寝ないの知ってるだろ!」
「そうでしたそうでした~興味無いんですっかり忘れてたわ」
「~っ!!」 4
SuzukichiQ
DONE寝る前の1時間ライティング。月がきれいですね。タイトルは絵本から。
シマフクロウと湖 夜の森を歩き進めていく。今日おちたばかりの落葉をふみしめて。
昼間に歩いて回るときと同じなのに、夜の雰囲気によって音が少し違って聞こえる。ひんやりと乾燥した空気が耳元を過ぎていき、わずかに服にも入り込んだ。日々深まる秋のなかに、冬の気配が混ざり始めていた。そろそろ毛皮の服がほしい時期になっていた。
「毛皮の服が欲しいな」
「そうだね」
同じことを考えていたらしい声がすぐ近くから聞こえた。口元で笑ったが、きっとそこまでは見られていないだろう。
話したのはそれくらいだった。
夜の森の、深いところを進んでいく。ふたりで、ほとんど言葉を交わすことなく。最初、道はゆるやかな上り坂だった。言われなければ気付かないくらいの傾斜で、なおかつ道は舗装されていない。落葉をふみしめ、たまにパキンと小枝の折れる音もたてながら、少しずつ高いところに進む。さっきよりも寒くなっている気はするが、体温が上がっているから冷えはない。
1933昼間に歩いて回るときと同じなのに、夜の雰囲気によって音が少し違って聞こえる。ひんやりと乾燥した空気が耳元を過ぎていき、わずかに服にも入り込んだ。日々深まる秋のなかに、冬の気配が混ざり始めていた。そろそろ毛皮の服がほしい時期になっていた。
「毛皮の服が欲しいな」
「そうだね」
同じことを考えていたらしい声がすぐ近くから聞こえた。口元で笑ったが、きっとそこまでは見られていないだろう。
話したのはそれくらいだった。
夜の森の、深いところを進んでいく。ふたりで、ほとんど言葉を交わすことなく。最初、道はゆるやかな上り坂だった。言われなければ気付かないくらいの傾斜で、なおかつ道は舗装されていない。落葉をふみしめ、たまにパキンと小枝の折れる音もたてながら、少しずつ高いところに進む。さっきよりも寒くなっている気はするが、体温が上がっているから冷えはない。
なな緒
DONEお月見ネタヨミあい。分かりづらかったかもなので解説付けちゃいました…。まぁ和歌は調べなきゃ分からないですしね!
最初“月がきれいですね”でネタ作りたいって思い付いたものだったんですけど、返答としてもぴったりな和歌が見つけられて良かったです。
あいちゃんはいずれ元の世界へ帰ってしまうしそもそも人間と神様だしで想いを告げられないヨミ切なくて好き。 4
85_yako_p
DONE月がきれいですね系の想楽雨(2021/11/1)いつかあなたと海岸で 月がきれいですねってやつ、たぶん伝わると思うんだ。雨彦さん、僕はね、あなたを愛しているんだ、って。
それでも例えば僕が雨彦さんの家に行って、ベランダから見える位置で電話を鳴らしてちょっと月を見ませんかなんて言う日はたぶんこない。きてたまるか、くらいの心境だ。雨彦さんがどう反応するかは何パターンもイメージが浮かぶけど、必ずそこには僕の若さってやつが浮き彫りになってしまうのは目に見えていて、それは僕の望むところではない。
メッセージはどうだろう。ねぇ雨彦さん、月を見て。雨彦さんがどう捉えるかはまだわからないけど、その表情が見えないのはちょっと、いや、かなり惜しい。照れるにせよ、笑うにせよ、それは一回きりの表情だと思うから。
1954それでも例えば僕が雨彦さんの家に行って、ベランダから見える位置で電話を鳴らしてちょっと月を見ませんかなんて言う日はたぶんこない。きてたまるか、くらいの心境だ。雨彦さんがどう反応するかは何パターンもイメージが浮かぶけど、必ずそこには僕の若さってやつが浮き彫りになってしまうのは目に見えていて、それは僕の望むところではない。
メッセージはどうだろう。ねぇ雨彦さん、月を見て。雨彦さんがどう捉えるかはまだわからないけど、その表情が見えないのはちょっと、いや、かなり惜しい。照れるにせよ、笑うにせよ、それは一回きりの表情だと思うから。