果物
POI9737602
DONE3月成果物デカフォル
背後から抱きしめた体。肩に口づけ、前に回した手で腹を撫で回す。緊張してるのか、体に力が入っているのが何だか可愛らしい。
「あの、デカラビア…」
「なんだ」
「いつまでこれをやるのかと思って」
首筋に顔を埋めれば、ぴくりと反応を見せた。胸筋の形をなぞるように触れ、弱い力で胸を揉む。むにむに、と張りのある肉の感触が心地よい。ぷっくりとたった突起にいつ触れようか、もう少し揉んでいたい気もする。
「んっ、なんなんだ…」
「お前の体に触れるのが好きなんだ」
ここまで許されるのは自分だけだから。ソロモンとだってこんなことにはならないだろう。
「…そうか、趣味がわるいね」
うなじや背中に吸い付き噛みついて痕を残す。白い肌に残った咬み傷が赤く映える。
1821「あの、デカラビア…」
「なんだ」
「いつまでこれをやるのかと思って」
首筋に顔を埋めれば、ぴくりと反応を見せた。胸筋の形をなぞるように触れ、弱い力で胸を揉む。むにむに、と張りのある肉の感触が心地よい。ぷっくりとたった突起にいつ触れようか、もう少し揉んでいたい気もする。
「んっ、なんなんだ…」
「お前の体に触れるのが好きなんだ」
ここまで許されるのは自分だけだから。ソロモンとだってこんなことにはならないだろう。
「…そうか、趣味がわるいね」
うなじや背中に吸い付き噛みついて痕を残す。白い肌に残った咬み傷が赤く映える。
POI9737602
DOODLE3月成果物ドラウァプキア
西日が染め上げた白髪に、学生時代の鮮烈な記憶が蘇る。黒鉛の走る音とページの進む音が満ちていた、あの静謐の教室のこと。2人きりのあの時間、交わした唇の柔らかさを想う。
遠くで帰り道の子供がはしゃぐ声がする。
「ウァプラ」
「あ?」
隣のウァプラが下げていた視線をこちらに向ける。ウァプラの膝の上に座り、顎を持ち上げた。刹那に絡んだ青を瞼の内側に閉じ込めた。身をかがめていき、唇が重なるその瞬間に、阻むように鳴ったウァプラのスマートフォン。瞳を開くとウァプラの視線が下がっていた。それを釣られて画面を覗くと、トーク画面の相手を捉えた。目の前の男のお気に入り。甘やかな橙の少年から、なんてことのない日常の連絡が届いている。
3137遠くで帰り道の子供がはしゃぐ声がする。
「ウァプラ」
「あ?」
隣のウァプラが下げていた視線をこちらに向ける。ウァプラの膝の上に座り、顎を持ち上げた。刹那に絡んだ青を瞼の内側に閉じ込めた。身をかがめていき、唇が重なるその瞬間に、阻むように鳴ったウァプラのスマートフォン。瞳を開くとウァプラの視線が下がっていた。それを釣られて画面を覗くと、トーク画面の相手を捉えた。目の前の男のお気に入り。甘やかな橙の少年から、なんてことのない日常の連絡が届いている。
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DONE3月成果物ドラウァプ
2人で入った布団の中は真冬でも暑いぐらいで、寝苦しさに目を覚ましてしまった。水が欲しいが、枕元のチェストに置かれた水差しの中身はどうにからになっていた。
喉を酷使した傍らの男が全てを飲み干したことを思い出す。眉間の皺を伸ばして穏やかな顔して眠っている、その男の髪を撫でた。
近くに落ちていた下着や寝巻きの上だけを身につけてベットから出る。めんどくさがらずに下も履けばよかった、冬の夜は屋敷の中でも少し寒い。
水差しを手にして外に出ると、廊下はさらに冷える。もうすでに愛しい人の待つベッドが恋しくなる。
「…さむ」
ぱたぱたと消えなかったスリッパの音が静寂の廊下で目立っていた。
キッチンまでは意外と近い。中に入り、常にちょろちょろと小さく流れている水道から水を汲む。止めてはいけないらしい、翌朝大変なことになると言うことだけ知っている。なにが起きるかは知らない。
1805喉を酷使した傍らの男が全てを飲み干したことを思い出す。眉間の皺を伸ばして穏やかな顔して眠っている、その男の髪を撫でた。
近くに落ちていた下着や寝巻きの上だけを身につけてベットから出る。めんどくさがらずに下も履けばよかった、冬の夜は屋敷の中でも少し寒い。
水差しを手にして外に出ると、廊下はさらに冷える。もうすでに愛しい人の待つベッドが恋しくなる。
「…さむ」
ぱたぱたと消えなかったスリッパの音が静寂の廊下で目立っていた。
キッチンまでは意外と近い。中に入り、常にちょろちょろと小さく流れている水道から水を汲む。止めてはいけないらしい、翌朝大変なことになると言うことだけ知っている。なにが起きるかは知らない。
ただのいし
DOODLEうるさい夢主をカルパッチョくんが分からせる話※微背後注意
品種改良云々は私の妄想です。
果物だけで全ての栄養が賄えるようにならないかとかの研究してたら良いなっていう願望という妄想 4
minus_100ex
DONE共通のお題で1作品つくりましょ!って遊んでもらった成果物の🐗&🐯お題は画像内
年齢操作(+1歳)、衣装やら状況やらは全て捏造
最後の一枚は書いていただいた小説のワンシーンを(勝手に)描きおこししたものです ツリーにつなげます 6
giohaan
DOODLEあすかが友と若い頃に戻って「ドキッ★アスカガお題出し合い会」した痕跡
元絵は直尻で表情も破廉恥だったのを修正した 他の成果物は無理だった あまりにも破廉恥だった そこだけ私も友もしっかり大人になっていた
お題はきれいなお尻を楽しむアスラン(上はしっかり首長服を着こんでいる)です
千秋 マベナ
INFOアサイベリー業界の洞察、シェア、成長、サイズ概要、2024-2036年予測アサイベリーは、中南米の熱帯雨林に自生する小さなブドウのような果物です。これらには、高レベルの抗酸化物質、繊維、心臓に良い脂肪が含まれています。これらは多くの健康上の利点があるため、スーパーフードと呼ばれることがあります。
ここでは、完全な情報を得ることができます: https://s.yam.com/WKQOc
5ilent_nya
MOURNING伊予柑を食べているときに「果物食べるのを少し不穏な描写で書けたら楽しそう」と思って書きました。ED後、独自設定あり。
K暁 傷付けた厚い表皮に親指を添える。
力を込めると歪んだ表皮の内からみりみりと音がして、食い込む指先を溢れ出してきたものが濡らした。
みるみる手首まで伝った雫が小さな水たまりを作る。
瑞々しい表皮を引き剥がして千切り、内側の柔らかい果肉を薄皮ごと含めばじゅわりと口内が満たされた。
潰れて弾ける感触を奥歯で楽しみ、そのたびに溢れる果汁を啜る。
大半が水分のようなものなので、ほとんど飲むように腹に収めた。
最後の一口を飲み込んで、今更ではあるが濡れそぼった指先を手のひらごと下に向ける。
咀嚼する間にも次々と滴っていくものだから、都度都度拭くのは早々に諦めていた。
ティッシュでは太刀打ちできそうにない惨状を見遣り、布巾で粛々と手を拭った。
1637力を込めると歪んだ表皮の内からみりみりと音がして、食い込む指先を溢れ出してきたものが濡らした。
みるみる手首まで伝った雫が小さな水たまりを作る。
瑞々しい表皮を引き剥がして千切り、内側の柔らかい果肉を薄皮ごと含めばじゅわりと口内が満たされた。
潰れて弾ける感触を奥歯で楽しみ、そのたびに溢れる果汁を啜る。
大半が水分のようなものなので、ほとんど飲むように腹に収めた。
最後の一口を飲み込んで、今更ではあるが濡れそぼった指先を手のひらごと下に向ける。
咀嚼する間にも次々と滴っていくものだから、都度都度拭くのは早々に諦めていた。
ティッシュでは太刀打ちできそうにない惨状を見遣り、布巾で粛々と手を拭った。
asamifujikawa
INFOアサイベリー業界の洞察、シェア、成長、サイズ概要、2024-2036年予測アサイベリーは、中南米の熱帯雨林に自生する小さなブドウのような果物です。これらには、高レベルの抗酸化物質、繊維、心臓に良い脂肪が含まれています。これらは多くの健康上の利点があるため、スーパーフードと呼ばれることがあります。
ここでは、完全な情報を得ることができます: https://s.yam.com/8WJnB
tennin5sui
DOODLEゆるゆる果物版ドロライ:お題「動物園」 男の暴れっぷりはそれは大変なもので、起き抜けに、よくこんなにも元気に動けるもんだと感心した。
「俺たちもよ、痛めつけたいってわけじゃねえのによ。あんなに抵抗されると、参っちまうよな」
檸檬は男から奪った、また嵌めていた指が付属したままの指輪を宙に放り投げてはキャッチして遊んでいる。夜空に上げられた指と指輪は、宙に舞うと黒っぽい影になって、また元の通り檸檬の手元に戻ってくる。
「おい、依頼された品物で遊ぶな。指輪がどこかへ飛んで行ったらどうする気だ」
檸檬の乱暴な扱いに不安を覚え、釘を刺す。檸檬は叱られたのが気に食わないのか、不満げな様子を隠さずに
「面倒がないように、わざわざ寝込みを狙って行ってやったってのによ。指輪が外れないなんて思うか?」
1803「俺たちもよ、痛めつけたいってわけじゃねえのによ。あんなに抵抗されると、参っちまうよな」
檸檬は男から奪った、また嵌めていた指が付属したままの指輪を宙に放り投げてはキャッチして遊んでいる。夜空に上げられた指と指輪は、宙に舞うと黒っぽい影になって、また元の通り檸檬の手元に戻ってくる。
「おい、依頼された品物で遊ぶな。指輪がどこかへ飛んで行ったらどうする気だ」
檸檬の乱暴な扱いに不安を覚え、釘を刺す。檸檬は叱られたのが気に食わないのか、不満げな様子を隠さずに
「面倒がないように、わざわざ寝込みを狙って行ってやったってのによ。指輪が外れないなんて思うか?」
玖珠-kusu-
DOODLEフィーちゃんファンに目で殺されそうで表に出せない最近の個人的熱いCP紫翠くんの作ったケーキをもりもり食うフィーちゃんをお世話する…紫翠くん
でも、紫翠くんはすぐ迷子になるのでケーキの材料はフィーちゃんと買いに行く…現場で色んな果物入れる様にフィーちゃんに言われるが3つ以上は糖質がとか言って買ってもらえないフィーちゃん。でも紫翠くんのケーキはバリ美味なのでもりもり食う…
下半身はモザイクでみて…
shishiri
DONEもしE2前に、真莉亜ちゃんと果物が対面していたら……。真莉亜ちゃんと檸檬がデート?する話
コーヒー・カンタータ「あ」「げっ」
たまたま道端で出くわした二人は、そう同時に声を上げた。年明け早々の連休というのもあり、昼下がりの丸の内オフィス街は買い物客がまばらに歩いているだけ――。だというのに、(どうしてこんな所で、よりによってこの男と……? )と、真莉亜の頭の中にはいくつもの疑問符が浮かんできてしまう。
「げっ、て言い草はねえだろ!でもまあそれって、俺のことを知っているわけだ」
目の前に立ち塞がった影は「話が早くて助かる」と笑い、写真で見たのと同じ鋭い一重の目を三日月の形に細めている。癖っ毛なのか寝癖なのか、あちこちに跳ねた明るい色の髪を(ライオンみたい)だと真莉亜は思った。もしかしたら、今にも大口を開けてパクリと喰い付いてくるかもしれないとすら思ってしまう。背が高くスリムな男の見た目はかなりカッコイイのだが、如何せんその目付きというか雰囲気が「まともな職業についていない」と堂々と主張してくるせいで、同じくその「まともでない仕事」をしている真莉亜でさえも、若干怯んでしまう始末だ。
6467たまたま道端で出くわした二人は、そう同時に声を上げた。年明け早々の連休というのもあり、昼下がりの丸の内オフィス街は買い物客がまばらに歩いているだけ――。だというのに、(どうしてこんな所で、よりによってこの男と……? )と、真莉亜の頭の中にはいくつもの疑問符が浮かんできてしまう。
「げっ、て言い草はねえだろ!でもまあそれって、俺のことを知っているわけだ」
目の前に立ち塞がった影は「話が早くて助かる」と笑い、写真で見たのと同じ鋭い一重の目を三日月の形に細めている。癖っ毛なのか寝癖なのか、あちこちに跳ねた明るい色の髪を(ライオンみたい)だと真莉亜は思った。もしかしたら、今にも大口を開けてパクリと喰い付いてくるかもしれないとすら思ってしまう。背が高くスリムな男の見た目はかなりカッコイイのだが、如何せんその目付きというか雰囲気が「まともな職業についていない」と堂々と主張してくるせいで、同じくその「まともでない仕事」をしている真莉亜でさえも、若干怯んでしまう始末だ。
shishiri
DONE本当は餃子を食べる果物を書こうと思ったんですがねぇ……。二人のエロ本の好みを考えていたら、そっちが楽しくなっちゃいました。笑い始めの話になっていれば、結果オーライです……!Step by Step「あんた達も、若いのに律儀ねえ!」
正月二日の昼前のこと。お年賀、なんて熨斗はついていないが、立派な包装がされた焼き菓子の箱を受け取った桃が、朗らかに笑った。
「桃こそ、二日から店を開けるなんて働き者じゃないか」
「新年早々、裸の女を見てヌキたい野郎がいるってことだろ?」
「それよりも、物騒な仕事の情報が欲しいって若い男達が来るからね。たいした儲けにならなくても、店を開けておかなくちゃ」
「それは気を遣わせたな」
「だから俺達もこうやって気を遣って、高級な菓子を持って来たんじゃん。まあ、蜜柑のアイデアだけど」
他に客のいない桃の店は省エネを心がけてでもいるのか、足元に小さな電気ストーブあるだけで、吐く息が白く見えるほど室内は冷えていた。それでも三人はカウンター越しに今年も変わらない雑談を交わし、笑い合う。
2374正月二日の昼前のこと。お年賀、なんて熨斗はついていないが、立派な包装がされた焼き菓子の箱を受け取った桃が、朗らかに笑った。
「桃こそ、二日から店を開けるなんて働き者じゃないか」
「新年早々、裸の女を見てヌキたい野郎がいるってことだろ?」
「それよりも、物騒な仕事の情報が欲しいって若い男達が来るからね。たいした儲けにならなくても、店を開けておかなくちゃ」
「それは気を遣わせたな」
「だから俺達もこうやって気を遣って、高級な菓子を持って来たんじゃん。まあ、蜜柑のアイデアだけど」
他に客のいない桃の店は省エネを心がけてでもいるのか、足元に小さな電気ストーブあるだけで、吐く息が白く見えるほど室内は冷えていた。それでも三人はカウンター越しに今年も変わらない雑談を交わし、笑い合う。
shishiri
DONEモブ視点仕事に疲れたサラリーマンと果物
DIVE 檀家回りのために坊さんが走り回るような忙しない月だから『師走』
小学生の頃、国語の授業でそう教わった気もするが、平成の世の年の瀬に、走り回るのは坊さんばかりではない。俺のようなうだつの上がらない銀行マンも課せられたノルマを達成すべく、方々にある得意先のご機嫌取りのために朝から晩まで駆けずり回るのだ。でも、それももう、疲れてしまった――。
足繫く顔を見せに来るらしい他行の存在をちらつかせ、「融通を利かせてくれないならば、そちらに乗り換える」と得意先から半ば脅すように通告され、決まりかけていた5,000万円の追加融資話がとん挫しかけたのが三日前。ここ半年の俺は、ノルマに届かない成績のせいで毎日のように副支店長からの罵声を浴びているというのに、この案件を落としたとなったら……。
3935小学生の頃、国語の授業でそう教わった気もするが、平成の世の年の瀬に、走り回るのは坊さんばかりではない。俺のようなうだつの上がらない銀行マンも課せられたノルマを達成すべく、方々にある得意先のご機嫌取りのために朝から晩まで駆けずり回るのだ。でも、それももう、疲れてしまった――。
足繫く顔を見せに来るらしい他行の存在をちらつかせ、「融通を利かせてくれないならば、そちらに乗り換える」と得意先から半ば脅すように通告され、決まりかけていた5,000万円の追加融資話がとん挫しかけたのが三日前。ここ半年の俺は、ノルマに届かない成績のせいで毎日のように副支店長からの罵声を浴びているというのに、この案件を落としたとなったら……。
tennin5sui
DOODLEゆるゆる果物版ドロライ:お題「ハロウィン」ほとんど前回でおしまいだったから蛇足かもしれない
第八話 人気がなくなったはずの廃墟は、最初に訪れた時と変わらない雰囲気を保っていた。
庭に飛んでいた虫が一匹居なくなったからといって、人間の目には何も変わらないように見えるのと同じで、すぐ目の前にいた少女が消えたというのに、この庭は淡白な静かさに覆われている。
二人は唾を吐きかけられた目を擦りながら周囲を見回した。改めて見れば、廃墟は和風と洋風の過渡期に建てられたかのような様相をしていた。当時から見れば最先端、今眺めてみると中途半端の古臭い家で、その上誰も住みたがらないであろう田舎にあるのならば、打ち捨てらるのも頷ける。
「ハロウィンが何だか知らねえけど、随分好き勝手遊んでいきやがったな、あいつ」
檸檬が先ほどまで少女が座っていた辺りをスニーカーの爪先で突きながら言う。
1077庭に飛んでいた虫が一匹居なくなったからといって、人間の目には何も変わらないように見えるのと同じで、すぐ目の前にいた少女が消えたというのに、この庭は淡白な静かさに覆われている。
二人は唾を吐きかけられた目を擦りながら周囲を見回した。改めて見れば、廃墟は和風と洋風の過渡期に建てられたかのような様相をしていた。当時から見れば最先端、今眺めてみると中途半端の古臭い家で、その上誰も住みたがらないであろう田舎にあるのならば、打ち捨てらるのも頷ける。
「ハロウィンが何だか知らねえけど、随分好き勝手遊んでいきやがったな、あいつ」
檸檬が先ほどまで少女が座っていた辺りをスニーカーの爪先で突きながら言う。
tennin5sui
DOODLEゆるゆる果物版ドロライ:お題「ハロウィン」またぼんやりした話になっちゃった
第七話 まだ六歳くらいの子どもに耳打ちされたのは、
「あの子はねえ、お城のとこにいてねえ、色んなお話をしてくれるの。すごく綺麗なの」
という要領の得ない説明で、詳しく聞こうと顔を上げたところで、きゃあきゃあと悲鳴のような、楽しげな声を上げて駆けて逃げてしまった。校内へ回って捕まえて、案内しろと言っても良かったが、もう少し年上の少年がいかにも不審げな目線を向けてきていたので、檸檬に「仕方ない。それらしい場所を探すぞ」と耳打ちをしてその場は立ち去ることにした。
仕事に疲れて屋外で夜を明かして以来、二人の目玉は不調をきたしていた。
目が覚めて、見回した草原には、朝露のような光が散っており、眩暈かと幾度もまばたきをしてみたがおさまらない。檸檬も同じ症状を発していたようで、手持ちの目薬を打ってみたが治らず、応急措置としてガーゼの眼帯を装着したところで、この症状の問題点が浮き彫りになった。
1667「あの子はねえ、お城のとこにいてねえ、色んなお話をしてくれるの。すごく綺麗なの」
という要領の得ない説明で、詳しく聞こうと顔を上げたところで、きゃあきゃあと悲鳴のような、楽しげな声を上げて駆けて逃げてしまった。校内へ回って捕まえて、案内しろと言っても良かったが、もう少し年上の少年がいかにも不審げな目線を向けてきていたので、檸檬に「仕方ない。それらしい場所を探すぞ」と耳打ちをしてその場は立ち去ることにした。
仕事に疲れて屋外で夜を明かして以来、二人の目玉は不調をきたしていた。
目が覚めて、見回した草原には、朝露のような光が散っており、眩暈かと幾度もまばたきをしてみたがおさまらない。檸檬も同じ症状を発していたようで、手持ちの目薬を打ってみたが治らず、応急措置としてガーゼの眼帯を装着したところで、この症状の問題点が浮き彫りになった。
tennin5sui
DOODLEゆるゆる果物版ドロライ:お題「ハロウィン」今日あたりでモブが出張るのもおしまい、のはず!
第六話 校庭に城ができたんだってよ。
どこからか伝え聞いてきたように語る口調で、詰まらない冗談を友人の佐藤が言うのは珍しいことではないので、何ができたって?と一応聞き返した。
「だから、城がだよ」「シロってなんだよ」「城は城だよ。キャッスルだよ」
不毛なやりとりになりかけたのを察したのか、佐藤は焦ったそうに、いいから来いっての、と乱暴に俺の手を引っ張った。
「どうせまた公園行くんだから、今出かけたって一緒だろ」
「一緒じゃない。宿題終わってからじゃないと大変なんだよ」
頭いいんだから、帰ってすぐやれば終わるだろ、という理屈で押し切られるのは目に見えていたが、常に佐藤の行動に素直に付き従っていたら身を滅ぼす。なので、度を越した要求をされる場合は、行動の責任の一端はお前にあるんだぞ、という釘を刺すようにしている。なお今回、佐藤は「宿題なんて、昼休みまでに職員室のノートの束に紛れ込ませておけばバレねーんだよ」と、想像していたよりも邪悪な考えを披露したが、なんとか寝る前までに取り組んで宿題を終わらせたことを名誉にかけて述べておく。
2890どこからか伝え聞いてきたように語る口調で、詰まらない冗談を友人の佐藤が言うのは珍しいことではないので、何ができたって?と一応聞き返した。
「だから、城がだよ」「シロってなんだよ」「城は城だよ。キャッスルだよ」
不毛なやりとりになりかけたのを察したのか、佐藤は焦ったそうに、いいから来いっての、と乱暴に俺の手を引っ張った。
「どうせまた公園行くんだから、今出かけたって一緒だろ」
「一緒じゃない。宿題終わってからじゃないと大変なんだよ」
頭いいんだから、帰ってすぐやれば終わるだろ、という理屈で押し切られるのは目に見えていたが、常に佐藤の行動に素直に付き従っていたら身を滅ぼす。なので、度を越した要求をされる場合は、行動の責任の一端はお前にあるんだぞ、という釘を刺すようにしている。なお今回、佐藤は「宿題なんて、昼休みまでに職員室のノートの束に紛れ込ませておけばバレねーんだよ」と、想像していたよりも邪悪な考えを披露したが、なんとか寝る前までに取り組んで宿題を終わらせたことを名誉にかけて述べておく。
tennin5sui
DOODLEゆるゆる果物版ドロライ:お題「ハロウィン」ちょっと和風っぽくなっちゃった
第五話 山の方から笛の音がする。
友人にそう言ったら笑われた。
「鐘の音じゃないの」
興味なさげに返事をされる。確かに山寺の鐘の音が聞こえてくることは、たびたびある。定刻ごとに鳴る鐘の音が、夕方などにはよく響く。けれど、その聞き慣れた音とは全く違うのだ。
音楽に詳しいわけではないので、どういう名前の楽器かも分からないが、誰かが練習をしているのかもしれない。もしかしたら、お坊さんに音楽趣味があるのかもしれない。
愛理は山に目を向ける。
「そういえば、愛理、駅にお迎えに行かなきゃいけなかったんじゃないの。誰だっけほら、伯父さん?」
私も正確にはよく知らない。お世話になったおじさん、という言い方をされたから、もしかしたら親戚ですらないのかもしれない。そのおじさんが来るから、駅までお迎えに上がれ、ということらしい。バスも少ない田舎で、目的の家に辿り着くのは難易度が高いだろう。
1713友人にそう言ったら笑われた。
「鐘の音じゃないの」
興味なさげに返事をされる。確かに山寺の鐘の音が聞こえてくることは、たびたびある。定刻ごとに鳴る鐘の音が、夕方などにはよく響く。けれど、その聞き慣れた音とは全く違うのだ。
音楽に詳しいわけではないので、どういう名前の楽器かも分からないが、誰かが練習をしているのかもしれない。もしかしたら、お坊さんに音楽趣味があるのかもしれない。
愛理は山に目を向ける。
「そういえば、愛理、駅にお迎えに行かなきゃいけなかったんじゃないの。誰だっけほら、伯父さん?」
私も正確にはよく知らない。お世話になったおじさん、という言い方をされたから、もしかしたら親戚ですらないのかもしれない。そのおじさんが来るから、駅までお迎えに上がれ、ということらしい。バスも少ない田舎で、目的の家に辿り着くのは難易度が高いだろう。