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    田口

    Lupinus

    DOODLE男さにわ×鬼丸くん(さに鬼)の現パロのようなもの 髭切先輩の紹介で粟田口へやってきた主人公が鬼丸さんと出会い、事情を話して鬼を切ってもらうことになるまで 書きたいところだけ書いているのでシーンが飛びます
    ◆さに鬼現パロ設定【https://poipiku.com/IllustViewPcV.jsp?ID=1092520&TD=3153950】の具体的な話
    ◆全体が書かれる予定はないです
    携帯端末が表示する地図はどう見てもここで行き止まりになっている。航空写真に切り替えても、うっそうと生い茂る森が表示されているだけだ。
     なのに目の前には、古いながらもしっかりとした造りの石段が確かに続いている。先輩手書きの地図とも場所は一致している。

    +++

     手近な無人駐輪場に自転車を置いて石段を登り始める。頭上には木々が覆い被さり、昼でもうすぐらいトンネルを作っている。航空写真では、ここに道があるとはとても判定できないだろう。
     見通しの利かない石段は十数歩登ったところで唐突に途切れた。頭上にぽっかりと開けた空からの明るい日差しが照らすのは、築百年をとうに過ぎたのではないかと思われる古民家だった。
     かやぶきの屋根、黄ばんだ障子紙、補修の目立つ木製の玄関口や雨戸。政令指定都市の中心部とは思えない静けさの中に、かん、と何かを打ち付ける高い音が響いた。町中では聞き慣れない音に周囲を見回すと、小ぶりの斧を左手に提げた青年が立っていた。
    「客か」
     人の気配を感じたのか、こちらに顔を向けるよりも先に発せられる声は、静寂の中でもひときわ低く穏やかに聞こえた。
     飛び抜けて長身には見えない 2265