愛が紡ぐ未来結婚して1年が経ち、二人は新しい命を迎える準備をしていた。星のお腹が少しずつ膨らんでいくにつれて、アベンチュリンの喜びも日に日に大きくなっていった。

ある夜、アベンチュリンはそっと星のお腹に耳を当てた。静かに鼓動を感じ取ろうとした瞬間、かすかに動いた気がして、思わず目を見開く。
「動いた…！」
興奮した声が漏れる。彼は微笑んで、お腹に触れる手を優しく撫でると、もう一度耳を当てていた。

「早く､会いたいな」
とアベンチュリンは小さく笑いながら、まるでその小さな命と会話するように囁いた。

その様子を見ていた星は、愛おしそうに彼の姿を見つめ、自然と微笑みがこぼれた。
「アベンチュリンは､優しいお父さんになりそうだね。」彼女が静かに言うと、アベンチュリンは照れくさそうに顔を上げて、穏やかに笑い返した。

花嫁の祝福　城の中も外も、喧騒で溢れている。
　嫌なものではない。すべての人が祝福する日であり、誰もが喜びの笑みを浮かべている。
　今日は、ライオスとマルシルの結婚式の日なのだ。
　王が妃を迎える日、二人の愛を国民たちの前で約束する日。
　国民たちは喜び騒いで国の安寧を願い宴をする。
　ミスルンやパッタドル、他にも中央から数人が来賓として招かれている。
　カブルーは数か月前から結婚式の準備に奔走していて、まともに会えていない。
　屋敷へは戻らず、城で過ごすことが多いようだ。
　結婚式当日も忙しいだろうから話せる機会はないだろう。恋人は国の中枢にいて、国家のために仕事をしている。そういう男だ。
　ミスルンにとって正装をするのはひさしぶりだった。