「何、それ」
　背後からかけられた低く不機嫌そうな声にビクリと肩を強張らせ、両手に抱えていた物を落としそうになる。別に隠しているわけではないが、声の主にとって好ましいものではないだろうと微かに感じていたので、図らずも怪しい動きになってしまったかもしれない。
「マスター、それ何」
　夜も更け始め職員やサーヴァントたちの姿もほとんどない廊下に、彼――オベロンの声が冷ややかに響き渡る。観念しながら恐る恐る振り返ると、珍しくオベロンはいつもの王子様然とした姿ではなく、あの怨嗟を凝固させたような霞がかった姿で影が質量を持ったかの如く立っていた。
「えっと、これは」
　刺さる彼の視線から逃れるように、自分が両手に抱えた青い林檎に目を向ける。命のように輝くそれは、廊下に取り付けられたライトの少ない光を鋭く反射させている。

秘密的詛咒的秘密雙眼在晨光的照耀下睜開，映入眼裡的不是現實世界的狹小套房，也不是艾斯特大宅的臥房。

「魔法師先生，時間不早了，請快起床梳洗。」

敦厚又不失嚴謹的中年女性為伊得拉開窗簾，讓伊得看清楚四周的模樣。以白色與深藍為基調的房間，只有少數幾樣深色的木質家具，自己身下的床鋪算不上寬敞，卻能從柔軟的床墊和蓬鬆的棉被感受到是價值不菲的上等品。

「再過半小時就要用早飯了，在那之前必須要先與老爺夫人以及艾德蒙特少爺正式打過招呼。」

「艾德蒙特？我怎麼會在他家？」

腦中充滿疑惑的伊得還來不及提出更多問題，就被叨念不只的女性給推進盥洗室，一邊被壓著換裝梳洗，一邊從女性的碎念當中拼湊出當下狀況。

看來自己似乎——十成十又是受到魔力的干擾——成了負責指導艾德蒙特使用魔法的家庭教師。