風早
rsalreadydied
MOURNINGアイドルをやっていない十条要と風早巽が普通の「ともだち」になろうとするひと夏の話を書いていたら追憶が来たためこれ以上書く元気があんまりないやつ
かわせみのワルツ「要、お父さん一泊したら東京帰るから。帰りはおばあちゃんに近くまで送ってもらって電車乗り継いで新幹線な。いい?」
「わかってる。もう高校生だし」
「まだ高校生、の間違いだ。過信するなよ」
高速道路を乗り継いで、気がつけば見渡す限りの緑に囲まれていた。水田、向日葵、雑木林、ビニールハウス、畑、水田。忙しなく順繰りに、少しずつすがたをかえる景色の香りを知りたくて車の窓ガラスを開ける。夏の匂いだ。甘くて、香ばしくて、湿っていて、冷たい。ほんのちょっぴり開いた窓ガラスから勢いよく雪崩れ込む夏が、要の頬を強く撫でた。東京とは違って、この辺りはつめたい夏がやってくる場所だ。都会よりもよっぽど大きな空には、視界いっぱいの青が広がっている。
12181「わかってる。もう高校生だし」
「まだ高校生、の間違いだ。過信するなよ」
高速道路を乗り継いで、気がつけば見渡す限りの緑に囲まれていた。水田、向日葵、雑木林、ビニールハウス、畑、水田。忙しなく順繰りに、少しずつすがたをかえる景色の香りを知りたくて車の窓ガラスを開ける。夏の匂いだ。甘くて、香ばしくて、湿っていて、冷たい。ほんのちょっぴり開いた窓ガラスから勢いよく雪崩れ込む夏が、要の頬を強く撫でた。東京とは違って、この辺りはつめたい夏がやってくる場所だ。都会よりもよっぽど大きな空には、視界いっぱいの青が広がっている。
百合菜
MAIKING遙か4・風千「雲居の空」第2章
風早ED後の話。
豊葦原で平和に暮らす千尋と風早。
姉の一ノ姫の婚姻が近づいており、自分も似たような幸せを求めるが、二ノ姫である以上、それは難しくて……
ついにアシュヴィンとの顔合わせ。
少なくとも彼は千尋には好意的ではあるが……!?
※不定期更新です
「雲居の空」第2章 常世の国の皇子・アシュヴィン2.常世の国の皇子・アシュヴィン
「オレが常世の国の皇子・アシュヴィンだ」
風早に案内され千尋が向かった先は常世の国であった。
千尋の目の前に現れたのは赤毛の髪に、肌に密着した服とはいえ着ていても一目で筋肉質だとわかる体躯を持つ皇子アシュヴィンだった。
隣にいる風早とは色合いも雰囲気も真逆なため、千尋は戸惑いを隠しきれない。
しかし、そんな千尋の様子を気にする様子もなく、アシュヴィンは口を開く。
「常世の国と豊葦原の和平。悪くないな」
そう言いながらアシュヴィンは千尋の頭のてっぺんから爪先まで観察するかのように視線を動かし、そして千尋の後ろにいる風早も一瞥する。
「ふーん、なるほどな……」
千尋と風早の間を流れている空気感、それに気づいたのだろうか。しかし、アシュヴィンは不快さではなく面白がる様子を見せた。
2077「オレが常世の国の皇子・アシュヴィンだ」
風早に案内され千尋が向かった先は常世の国であった。
千尋の目の前に現れたのは赤毛の髪に、肌に密着した服とはいえ着ていても一目で筋肉質だとわかる体躯を持つ皇子アシュヴィンだった。
隣にいる風早とは色合いも雰囲気も真逆なため、千尋は戸惑いを隠しきれない。
しかし、そんな千尋の様子を気にする様子もなく、アシュヴィンは口を開く。
「常世の国と豊葦原の和平。悪くないな」
そう言いながらアシュヴィンは千尋の頭のてっぺんから爪先まで観察するかのように視線を動かし、そして千尋の後ろにいる風早も一瞥する。
「ふーん、なるほどな……」
千尋と風早の間を流れている空気感、それに気づいたのだろうか。しかし、アシュヴィンは不快さではなく面白がる様子を見せた。
百合菜
MAIKING遙か4・風千「雲居の空」第1章
風早ED後の話。
豊葦原で平和に暮らす千尋と風早。
姉の一ノ姫の婚姻が近づいており、自分も似たような幸せを求めるが、二ノ姫である以上、それは難しくて……
そんなある日、千尋は王である母に呼ばれたが……
※不定期更新です
「雲居の空」第1章 王族としての役目1.王族としての務め
話がある。中つ国の王である母に呼び出された千尋はいつも通り風早を伴って謁見の間へ向かった。
「常世の国の皇子と婚約……?」
「ええ」
娘の、そして国の未来も左右する大切な事項であるにも関わらず、母は表情ひとつ変えることなく千尋に告げてくる。
もしかすると、母にとっては千尋は大切な子どもとしてよりも、「道具」の側面が強いのかもしれない。
そんなことすら思わせてくる冷静な話しぶりである。
常世の国。
かつては中つ国と刃を交わした一族―月読の一族。しかし、中つ国との争いに敗れたため、遠い異界へと逃げざるを得なくなり、そこで建国されたのが常世の国である。
あくまでも伝承の出来事であり、今は両国の関係も穏やかなものとなっており、人々が行き来し、交易も盛んに行われている。
2700話がある。中つ国の王である母に呼び出された千尋はいつも通り風早を伴って謁見の間へ向かった。
「常世の国の皇子と婚約……?」
「ええ」
娘の、そして国の未来も左右する大切な事項であるにも関わらず、母は表情ひとつ変えることなく千尋に告げてくる。
もしかすると、母にとっては千尋は大切な子どもとしてよりも、「道具」の側面が強いのかもしれない。
そんなことすら思わせてくる冷静な話しぶりである。
常世の国。
かつては中つ国と刃を交わした一族―月読の一族。しかし、中つ国との争いに敗れたため、遠い異界へと逃げざるを得なくなり、そこで建国されたのが常世の国である。
あくまでも伝承の出来事であり、今は両国の関係も穏やかなものとなっており、人々が行き来し、交易も盛んに行われている。