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    魘夢

    ひなげし

    DONE自鬼小説。白ちゃんとヒナギクの出会いのお話を書かせて頂きました。
    ※間接的ですが魘夢さん出てきますので、ご注意下さい。
    自鬼小説『猫に愛情、花冠』 忘れかけていた感覚。柔らかくって愛しくって、触れたらきっと逃げられちゃう。




    鬼である私の毎日は、特に変わり映えもせず繰り返す。夜が更けたら獲物を狩って花を咲かせて、偶にやって来る魘夢さんの相手をして。行為が終われば意識を手放し、引き戻し、何だかやけに身体が疲れていたり目覚めるまでの時間もまちまちだったり。辻褄の合わない事が増えたけれど、特段気にも留めず過ごしていた。今夜もまた、徒花を芽吹かせて満足気に苗床へと変えていた時だった。

    「あー! 待って! どこ行くのー!?」

    鈴を転がしたような女の子の声がする。
    花の間を縫って黒っぽい何かが素早く通り過ぎたので、前後左右を確認し神経を研ぎ澄ませ敵襲に備える。いつ脅威が降り掛かってもおかしくないのは身を持って知っているから。いつだったか、今のような獲物を仕留めて一番気の緩んだ時、鬼狩りに背後を取られ死に掛けた事がある。付け狙って機会を伺っていたのだろう、咲いた人間を手折るまさにその時、振り翳される刃に反応が一歩遅れた。あの日輪刀がひやりと頸椎を掠める感覚、今でも思い出しては身震いする。
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    ひなげし

    DONE自鬼小説。狂ヒナで書かせて頂きました。
    狂蠱様とヒナギクの出会いから、合わせ技(混成血鬼術)が生まれるまでのお話。
    ※前半、魘夢さん出てきます。後半、狂ヒナでかなり触れていますのでご注意下さい。
    自鬼小説『重なり』 いつか崩れていくとしても、重なり合う、僅かに開いた隙間から。




    「ねえ」
    いつもの声が聞こえて振り返る。
    私は相変わらず霊園で出会した餌を苗床にして、のらりくらり喰い繋いでいた。自分の狩場でも無い癖に。
    「あら、魘夢さん。私の元にいらっしゃるという事は、御身体が寂しいのかしら?」
    「…………お前は本当に頭の中がお花畑で愚かだねぇ。違うよ。今日はお願いがあって此処に来たんだ」
    普段ならば、特訓と称して媾い合う頃だ。
    私は他の鬼とは少し事情が違っている。鬼の長であり全ての始まり、“あの方”から直々に血を戴いてはいない。“あの方”の寵を受ける鬼は特別に配下を作る事を許されており、配下にされた者は術や容貌、仕草や考え方に至るまで主であるその鬼に与えられる事となる。上弦の鬼であれば自身の血を一時的に“あの方”の血へと昇華出来るが、それ以外の階級の低い鬼は不可能な為、人間に直接そのまま流し込むのだ。それは言ってしまえば、“あの方”の血が極端に薄く支配される範囲もごく僅か、それ故に主である鬼は配下に対して自身の嗜好を一定量植え付ける事が出来る。但し、鬼としての力も脆弱だから各々特訓が必要なのである。
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