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    魘夢

    ひなげし

    DONE自鬼小説。狂ヒナで書かせて頂きました。
    狂蠱様とヒナギクの出会いから、合わせ技(混成血鬼術)が生まれるまでのお話。
    ※前半、魘夢さん出てきます。後半、狂ヒナでかなり触れていますのでご注意下さい。
    自鬼小説『重なり』 いつか崩れていくとしても、重なり合う、僅かに開いた隙間から。




    「ねえ」
    いつもの声が聞こえて振り返る。
    私は相変わらず霊園で出会した餌を苗床にして、のらりくらり喰い繋いでいた。自分の狩場でも無い癖に。
    「あら、魘夢さん。私の元にいらっしゃるという事は、御身体が寂しいのかしら?」
    「…………お前は本当に頭の中がお花畑で愚かだねぇ。違うよ。今日はお願いがあって此処に来たんだ」
    普段ならば、特訓と称して媾い合う頃だ。
    私は他の鬼とは少し事情が違っている。鬼の長であり全ての始まり、“あの方”から直々に血を戴いてはいない。“あの方”の寵を受ける鬼は特別に配下を作る事を許されており、配下にされた者は術や容貌、仕草や考え方に至るまで主であるその鬼に与えられる事となる。上弦の鬼であれば自身の血を一時的に“あの方”の血へと昇華出来るが、それ以外の階級の低い鬼は不可能な為、人間に直接そのまま流し込むのだ。それは言ってしまえば、“あの方”の血が極端に薄く支配される範囲もごく僅か、それ故に主である鬼は配下に対して自身の嗜好を一定量植え付ける事が出来る。但し、鬼としての力も脆弱だから各々特訓が必要なのである。
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