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    III

    甘味。/konpeito

    TRAINING本日の800文字チャレンジ
    ジクリン(クロリン)/Ⅲ途中/届かない想い
    歓楽都市ラクウェルは、夜でも賑やかさを失わない。
     リィンは昼間に西の渓谷で遭遇した傭兵団や、別勢力らしい傭兵らの調査するため、この地へ舞い戻っていた。調査に同行してくれたアンゼリカやサラ、途中から合流したクレアとともに情報収集して回っていた、そのときだった。
    「すみません、ちょっと」
     見知った気配を察知して居ても立っても居られずに駆け出す。背後から聞こえた、サラたちの慌てるような声に気を配る余裕なんてなかった。
     飛び込んだ路地裏の奥、暗闇のなかに浮かび上がった背中を捉える。
     リィンの記憶と酷似するその背格好に特徴的な銀髪は、改めて見てもクロウにしか見えない。しかし彼はこの腕のなかで息を引き取った。もう一年以上前の話だ。
     目の前にいるこの男はクロウと別人だと理解しても、彼を求める心がそれを否定する。
    「やはりお前か。《蒼》のジークフリード」
     かけた声に振り返った彼は、こちらへ興味を示すことなくふたたび歩み出してしまった。
    「待て!」
     縋るように肩を掴む。手のひらから伝わってくる、機械に触れたような彼の体温に怯んだ。
    「お前は今、俺に構っている場合ではないと思うが?」
     仮面 795

    えぷと

    MEMO真・女神転生Ⅲのノベライズ本の一つを無理矢理手に入れて読んだので、その感想などの短文雑記です。 自分用のメモでしたが、私自身が人の感想を読むのがけっこう好きなクチなので、テキスト機能のテストを兼ねて同じ趣味の方向けに置いておきます。「真・女神転生Ⅲ NOCTUNE 混沌」 小説感想


    ・人修羅くんの名前は「間薙シン」
    ・原作が無口系主人公なのでそのキャラ付けには賛否両論がつきものだけど、めちゃくちゃかっこいい 後述します
    ・読了感は割と爽やか これ一冊のみの刊行だけど、続き物の第一章の終わりまで、という印象 あくまでも”公式二次創作”ということを念頭に置いて読むもの
    ・思っていたより表現が大人向け 暴力とグロテスク描写が多いのでずっと血の匂いがしてる感じだし(リョナ趣味のひとは嬉しいのかもしれない)、愛とは関係ないチューもする
    ・ゲームの流れと違い、小説版オリジナルキャラがけっこうな数出てくる
    ・それは拾うのかと思うようなゲーム側のネタが入ってくる(遅いぞフォルネウス)
    ・表紙、挿絵、挿絵が世界観にマッチしていてかっこいい
    ・ネコマタとサカハギがかなり描写優遇されている とくにネコマタはヒロイン&解説役枠に大抜擢
    ・文体というかキャラの台詞にクセが強い 口癖を繰り返す
    ・生存者が少しずつおかしくなっていく様子とその理由がちゃんと書かれている
    ・かわいいので忘れがちだが、ジャックフロストが血生臭い現場を前にして拍 1420

    甘味。/konpeito

    TRAINING本日の800文字チャレンジ
    クロ+リン/十二月三十一日
    ⅡとⅢのあいだ
    キンと冷えた空気を肺いっぱいに吸い込む。
     十二月三十一日。今日はリィンのクラスメイトであり、敵であり、悪友であった男の命日だ。彼を失ってからもう、一年の歳月が経とうとしている。
    「さて、行くか」
     トリスタにある第三学生寮を出発したリィンはヒンメル霊園に向かう途中、花屋に寄って小ぶりな花束を見繕った。
     クロウの墓前に供えるための花束だ。
     店員には見栄えのあるそれを幾度も勧められたが、そのなかでも大人しそうなものを選んだ。
     冬の空気が頬を撫でる。灰色の雲に覆われた空からは今にも雪が降ってきそうだった。
     導力バイクで到着したヒンメル霊園は閑散としていた。
     年の瀬は家族で過ごす者が多い。
     リィンも例外ではなかったが、いつ出されるとも分からない政府からの要請にクロウの命日もあり、落ち着いてから帰省する旨を手紙にしたためていた。ユミルにいる両親も分かってくれるだろう。
     がらんどうな霊園をひとり登っていく。クロウの墓石に膝をつき、持ってきた花束を供えた。
    「クロウ、久しぶりだな。なかなか来れないけれど。今日だけはどうしても来たくて」
     彼の名前が刻まれた墓石を撫でる。冷たい石の感触 809

    甘味。/konpeito

    TRAINING日記八月〜三月
    ⅡED後からⅢの間に当たる話です。捏造
    クの霊圧が強いリ
    七耀歴一二〇五、八月。
     向日葵を買って墓参りした。喜んでいるだろうか。
     また、政府から要請がきた。最近授業もまともに受けていない。出席日数を心配しなくてはならないなんて、クロウが生きていたら笑われてしまうな。
     近頃、力を使うと抑え込むのが難しくなってきた。念のため、Ⅶ組に相談しようか。
     七耀歴一二〇五、十一月。
     政府からの要請でノーザンブリアを訪れた。
     ケルディックを焼き討ちにした事実は許せない。それでも己の振るった剣は正しかったのか。クロスベルのときもそうだった。市民の避難を手助けするしかできない。守るだけでは成すべきことは成せないというのに。
     鬼の力が強くなる一方で、いつ暴走してしまうのか自分でもわからない。また、俺は誰かを傷つけてしまうのか。こわい。
     俺は、無力だ。
     七耀歴一二〇五、十二月。
     クロウを失った日が近づいている。最近また、あの日を夢に見るようになった。冷たくなっていくお前の身体を抱きしめたところで目覚めて、頬が濡れている。夢見で泣くなんてこの歳になって恥ずかしい話だが、日記になら書けてしまう。不思議だ。機会があれば勧めてくれたエマには感謝を伝えたい 892