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カリフラワー
DONEさわマル展示その2いつもの同棲ルスマヴェ短編集です。一応すべて新しく書いたものです。
「ゆるゆるで甘い2人の日常」は私の個人的な好みなので、ご了承下さい🙏
パスワード🗝️→ イベント初日(mm/dd) 10857
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DONEマ右ワンドロワンライのお題「電子機器」をお借りして書きました。一緒に暮らそうよ系ルスマヴェです。
この画面を越えて 技術の進歩というのは凄いもので、日々人類の生活を変え続けている。……まあ、俺がその進歩に感謝しているのはそんな壮大な理由ではないけれど、どこかの誰かの発明が、俺に幸せをもたらしていることは言っておきたい。
ラップトップの電源を入れて、通話画面を開く。発信音が鳴れば、たちまち大陸の端にいる恋人と顔を合わせられる。これこそ、ロボット掃除機やスマートスピーカーよりも俺が望む技術の進歩だ。
「Hi マーヴ」
画面の向こうの恋人に手を振ると、彼は同じようにこちらに手を振り返した。そして俺の背後の景色をぐるりと眺めて、変わりはないか、俺に直接尋ねる前に予想を立てる。
「やあブラッドリー、変わりはないか?」
そうして俺に尋ねる。変わりはないよ。そう答えると安心したように返事をする。そうか、僕も変わりはないよ。
4298ラップトップの電源を入れて、通話画面を開く。発信音が鳴れば、たちまち大陸の端にいる恋人と顔を合わせられる。これこそ、ロボット掃除機やスマートスピーカーよりも俺が望む技術の進歩だ。
「Hi マーヴ」
画面の向こうの恋人に手を振ると、彼は同じようにこちらに手を振り返した。そして俺の背後の景色をぐるりと眺めて、変わりはないか、俺に直接尋ねる前に予想を立てる。
「やあブラッドリー、変わりはないか?」
そうして俺に尋ねる。変わりはないよ。そう答えると安心したように返事をする。そうか、僕も変わりはないよ。
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DONEマ右ワンライ/ルスマヴェ/お題「手入れ」さらっとお題を撫でたくらいの話で恐縮です。マーヴの作業風景を眺めながらもやもや考えるルスの話です🐓💭
あなたのそんなところが 乾いた風がハンガーに吹き込み、風に運ばれた砂が外と中の境界を曖昧にする。ぶつぶつと何かを呟く声。「ああ、あれが要るんだった」大きな歩幅で道具を取りに行く長い脚。俺には名前もわからない道具を迷いなく掴む小ぶりな右手。
「ブラッドリー、せっかく来てくれたのに構えなくて悪いな」
愛機の元へ戻ったマーヴは振り返って言った。するとソファに寝そべる俺と目が合い、マーヴは可笑しそうに笑い出した。太陽が動き、さっきまで影に覆われていたソファと俺の顔が、扉から差し込む強い陽の光に照らされているのだ。
「ほんと、俺はマーヴに会いに来たのにね。これじゃ帰る頃には丸焼けになっちゃう」
「すまない、もう少し待ってくれ」
マーヴは笑いながらもう一度謝罪した。
2728「ブラッドリー、せっかく来てくれたのに構えなくて悪いな」
愛機の元へ戻ったマーヴは振り返って言った。するとソファに寝そべる俺と目が合い、マーヴは可笑しそうに笑い出した。太陽が動き、さっきまで影に覆われていたソファと俺の顔が、扉から差し込む強い陽の光に照らされているのだ。
「ほんと、俺はマーヴに会いに来たのにね。これじゃ帰る頃には丸焼けになっちゃう」
「すまない、もう少し待ってくれ」
マーヴは笑いながらもう一度謝罪した。
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DONEマ右ワンライ/ルスマヴェ/お題「香り」イメージはDi○rの某香水です。香水の発売時期と願書事件が近そうだったので…。
This Scent この世で一つだけ、忘れられない香りがある。重く絡みつく、最も嫌いな香り。あれから二十年経ってもいまだ憎しみのような落胆のような、言葉にもできない苦しみを思い出す。知らない間に俺の夢をうんと遠くへと捨て去り、そのことに言い訳もしなかったあの人の香り。
アナポリスへ提出した書類の不備があの人の仕業だとわかった後、俺は震える声で彼を呼び出した。家まで来させて一体何を言ってほしかったのか、今の俺にもわからない。だけどその時の俺は人生で一番の怒りと絶望を抱えていて、なのにそれを吐き出す相手は俺をそんな暗闇に突き落とした張本人だった。眩いほど白いTシャツ。青いジーンズ。その裾に隠れた派手なカウボーイブーツ。伏せた目から消えた光はどこへいったのか。
3174アナポリスへ提出した書類の不備があの人の仕業だとわかった後、俺は震える声で彼を呼び出した。家まで来させて一体何を言ってほしかったのか、今の俺にもわからない。だけどその時の俺は人生で一番の怒りと絶望を抱えていて、なのにそれを吐き出す相手は俺をそんな暗闇に突き落とした張本人だった。眩いほど白いTシャツ。青いジーンズ。その裾に隠れた派手なカウボーイブーツ。伏せた目から消えた光はどこへいったのか。
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DONEマ右ワンライ/ルスマヴェ/お題「動物」ゴールデンレトリバーと住んでほしすぎる
マディ、ピート、ブラッドリー 何かが頬に触れる。それは髪を撫で、また頬を通って肩を撫でた。手だ。それも大きく温かい手。
「マーヴ、おはよ」
掠れた朝の声。ブラッドリーの声。
「んん……おはよう」
目を開くとブラッドリーは床に膝をついて、ベッドで眠る僕を見つめていた。
「よく眠れた?」
「ああ、眠れたよ」
答えながらあくびが漏れた。ブラッドリーは小さく微笑み、さっき手を触れた僕の頬にキスをした。
ブラッドリーのいるバージニアを訪ねて四日目。ブラッドリーは毎朝僕より先に起きていた。僕を起こす時、彼は決まって同じことを言って笑う。「俺、いつもはこんなに朝早くないんだよ」僕がいるから、興奮して早く目が覚めてしまうらしい。彼を子どもみたいだと思うことは時々あるが、まさか朝一番にそう思わされるとは、東海岸に来るまで予想もしていなかった。
4400「マーヴ、おはよ」
掠れた朝の声。ブラッドリーの声。
「んん……おはよう」
目を開くとブラッドリーは床に膝をついて、ベッドで眠る僕を見つめていた。
「よく眠れた?」
「ああ、眠れたよ」
答えながらあくびが漏れた。ブラッドリーは小さく微笑み、さっき手を触れた僕の頬にキスをした。
ブラッドリーのいるバージニアを訪ねて四日目。ブラッドリーは毎朝僕より先に起きていた。僕を起こす時、彼は決まって同じことを言って笑う。「俺、いつもはこんなに朝早くないんだよ」僕がいるから、興奮して早く目が覚めてしまうらしい。彼を子どもみたいだと思うことは時々あるが、まさか朝一番にそう思わされるとは、東海岸に来るまで予想もしていなかった。
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DONEマ右ワンライ/ルスマヴェ/お題「電子機器」モブ視点。もだもだ。
応答すべき彼からの着信「あ〜クソ」
やっちまった、スマホがない。どこかに置いてきてしまった。たぶんロッカーの中だろう。まあでも、心配する必要はない。昼時の食堂には、タイミングよくあいつが現れるから。
「なあ、ルースター」
鼻歌の主を見ることもなく声をかけた。
「なんだよ」
その返事は呼びかけた名前と同じ人間の声だった。振り返ると、ルースターは退屈そうにあくびをしているところだった。俺の後ろに並び、同じく俺の方を見ることもなくただ配膳される昼飯を目で追っている。
「ちょっとスマホ貸してくれ」
「自分のは?」
「ロッカーに入れてそのまま忘れてた」
あっそ、とルースターは短く呟き、トレーを片手で持ち直してポケットを探った。そして「ん」とスマホで俺の肩を叩いてそれを寄越した。やはり海軍で持つべきものは、深入りしてこない友人だ。
4536やっちまった、スマホがない。どこかに置いてきてしまった。たぶんロッカーの中だろう。まあでも、心配する必要はない。昼時の食堂には、タイミングよくあいつが現れるから。
「なあ、ルースター」
鼻歌の主を見ることもなく声をかけた。
「なんだよ」
その返事は呼びかけた名前と同じ人間の声だった。振り返ると、ルースターは退屈そうにあくびをしているところだった。俺の後ろに並び、同じく俺の方を見ることもなくただ配膳される昼飯を目で追っている。
「ちょっとスマホ貸してくれ」
「自分のは?」
「ロッカーに入れてそのまま忘れてた」
あっそ、とルースターは短く呟き、トレーを片手で持ち直してポケットを探った。そして「ん」とスマホで俺の肩を叩いてそれを寄越した。やはり海軍で持つべきものは、深入りしてこない友人だ。
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DONEルスマヴェ結婚アンソロ寄稿作品その2結婚後アンソロに寄稿したものです。
新婚カップルの惚気に虚無顔になっているフェニをご想像してご覧ください。
Interview With The Newlyweds「結婚して変わったこと? なんだろ……」
「特に何も変わらないよ。ブラッドリーは相変わらずお寝坊さんだし」
「〝お寝坊さん〟は恥ずかしいからやめて」
「だってそうだろう? ブラッドリーは変わらず寝るのが好きで、ほんのちょっとだらしない。シャワーを浴びずにベッドに入ろうしたり、なんなら着替えすらしないこともある。明日やればいいでしょ、なんて言うんだよ。電気もつけっぱなしで、だけど注意するとちゃんと反省するから怒れない。……フェニックス、ここだけの話、この子は一人の時も休日には少し気を抜くとこんな感じだったの? 気になってたんだけど、本人がなかなか答えてくれなくてね」
「ねえ、結婚して変わったことを聞かれてるんだよ」
1853「特に何も変わらないよ。ブラッドリーは相変わらずお寝坊さんだし」
「〝お寝坊さん〟は恥ずかしいからやめて」
「だってそうだろう? ブラッドリーは変わらず寝るのが好きで、ほんのちょっとだらしない。シャワーを浴びずにベッドに入ろうしたり、なんなら着替えすらしないこともある。明日やればいいでしょ、なんて言うんだよ。電気もつけっぱなしで、だけど注意するとちゃんと反省するから怒れない。……フェニックス、ここだけの話、この子は一人の時も休日には少し気を抜くとこんな感じだったの? 気になってたんだけど、本人がなかなか答えてくれなくてね」
「ねえ、結婚して変わったことを聞かれてるんだよ」
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DONEルスマヴェ結婚アンソロ寄稿作品その1結婚前アンソロに寄稿したものです。
個人誌でも同じような話を書いたような気がしますが、このアンソロの方が先に書いていたのでセーフかな、と自分で納得させています。
You Made Me Think About It 美しい鳥の声が新しい一日の始まりを告げる。快晴の朝にふさわしい、湯気を立てるコーヒーやパンケーキ。明らかに作りすぎてしまったが、気にするほどじゃない。トレーに並ぶマグカップや朝食の皿が、ベッドルームへの歩調に合わせて繊細な音を立てる。
「マーヴ、おはよう」
声をかけながら、肩を入れてベッドルームのドアの隙間を広げた。昨夜マーヴは珍しく疲れた様子で帰宅し、「もし朝九時を過ぎても寝ていたら適当に起こしてくれ」と一言残して先に眠りに落ちてしまった。実際に今朝、いつもなら彼が起きているはずの時間になってもアラームは鳴らず、マーヴも目を覚まさなかった。そして俺が朝食を用意していた間に彼はベッドの真ん中寄りまで寝返りをうち、今は俺の声に反応してぼんやりと目を擦っている。
7306「マーヴ、おはよう」
声をかけながら、肩を入れてベッドルームのドアの隙間を広げた。昨夜マーヴは珍しく疲れた様子で帰宅し、「もし朝九時を過ぎても寝ていたら適当に起こしてくれ」と一言残して先に眠りに落ちてしまった。実際に今朝、いつもなら彼が起きているはずの時間になってもアラームは鳴らず、マーヴも目を覚まさなかった。そして俺が朝食を用意していた間に彼はベッドの真ん中寄りまで寝返りをうち、今は俺の声に反応してぼんやりと目を擦っている。
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DONEマ右ワンライ/ルスマヴェ/お題「手伝って」前回のワンライ『空でもどこでも』の続きの話。
推しカプの休暇を終わらせるのが好き
居ても立っても居られない「ただいま〜おかえり〜」
家に響くブラッドリーの声。スーツケースのキャスターがころころと音を立て、やがて止まる。
「マーヴ、荷物は適当に置いといて」
妙にしっかりした彼の言葉が、なんだか可笑しい。
「何笑ってんの、マーヴ」
「……いや、なんでもない」
休暇を終え空港を出た僕たちは、少しずつ明るくなり始めた空の下、ゆったりと車を走らせ家路についた。上空でブラッドリーと共に過ごす誕生日は格別に幸せだった。だけど家に着いてしまえば、もう楽しかった休暇はおしまいだ。明日からは二人揃って操縦席に逆戻り。ブラッドリーは何も言わないが、きっと彼の心の中では休暇が終わる不満をぶつぶつこぼし続けているのだろう。背中が寂しそうに曲がっている。
2417家に響くブラッドリーの声。スーツケースのキャスターがころころと音を立て、やがて止まる。
「マーヴ、荷物は適当に置いといて」
妙にしっかりした彼の言葉が、なんだか可笑しい。
「何笑ってんの、マーヴ」
「……いや、なんでもない」
休暇を終え空港を出た僕たちは、少しずつ明るくなり始めた空の下、ゆったりと車を走らせ家路についた。上空でブラッドリーと共に過ごす誕生日は格別に幸せだった。だけど家に着いてしまえば、もう楽しかった休暇はおしまいだ。明日からは二人揃って操縦席に逆戻り。ブラッドリーは何も言わないが、きっと彼の心の中では休暇が終わる不満をぶつぶつこぼし続けているのだろう。背中が寂しそうに曲がっている。