深夜徘徊
Xpekeponpon
DOODLE深夜徘徊する十三ユーフォリア深夜 ●
眠れない。
ベッドに入ってから、かれこれ一時間は経過したと思う。
今夜はもう眠れない気がする。これ以上ベッドでうだうだしていても無駄な気がする。ので、十三はいっそと起き上がることにした。
黒い、ラフなジャージ姿で夜を歩く。ネオン。車。オレンジ色の街灯。飲み屋とラブホテル。近くの川のドブ臭い匂い。高架下に所狭しと落書き。この辺りはお世辞にも清楚とは言えない地区だった。ふしだらと不道徳、欲望と衝動。天使に拾われてからずっとこの街に居るから、十三にとってここはもはや地元であった。
「おにーさん、どーですか?」――客引きの若い男の声を聞き流して、白と黒の横断歩道。無事に渡り終えたら、いつも利用するコンビニに入る。お菓子コーナーへ。同じラムネを複数と、硬い食感のグミと。それから飲み物コーナーで甘ったるいコーヒー牛乳。レジへ赴く。もう顔馴染の店員(日本人ではない)の、カタコトの「レジ袋ハゴリヨデスカ」に『お願いします』を、「ポイントカードゴザマスカ」に『いえ』を、ポケットのスマホの読み上げアプリ音声で返す。
2524眠れない。
ベッドに入ってから、かれこれ一時間は経過したと思う。
今夜はもう眠れない気がする。これ以上ベッドでうだうだしていても無駄な気がする。ので、十三はいっそと起き上がることにした。
黒い、ラフなジャージ姿で夜を歩く。ネオン。車。オレンジ色の街灯。飲み屋とラブホテル。近くの川のドブ臭い匂い。高架下に所狭しと落書き。この辺りはお世辞にも清楚とは言えない地区だった。ふしだらと不道徳、欲望と衝動。天使に拾われてからずっとこの街に居るから、十三にとってここはもはや地元であった。
「おにーさん、どーですか?」――客引きの若い男の声を聞き流して、白と黒の横断歩道。無事に渡り終えたら、いつも利用するコンビニに入る。お菓子コーナーへ。同じラムネを複数と、硬い食感のグミと。それから飲み物コーナーで甘ったるいコーヒー牛乳。レジへ赴く。もう顔馴染の店員(日本人ではない)の、カタコトの「レジ袋ハゴリヨデスカ」に『お願いします』を、「ポイントカードゴザマスカ」に『いえ』を、ポケットのスマホの読み上げアプリ音声で返す。
fkm_105
DONE深夜徘徊して大遅刻をキメました(日記)※首絞め
お題「マウント」 強かに打ち付けた肩が痛い。臓腑が圧迫されて、タルタリヤの唇がはふり、と慄く。中身なんて碌に作り込んでもいない、人形みたいな体だと侮っていたのを少しだけ後悔した。確かな生命の重さが腹の上に乗っている。いつこんな作り込んだんだ、と腹の底で思いながら、血潮の流れる凡人の質量を持ち始めた鍾離のその柔そうな首に手をかけたくなったが、タルタリヤの両腕はくたり、と力を失ったままだ。
「せんせい」
よんだだけでおこらないでよ。鷲掴みに絞められた首が苦しい。苦しくて、愉しい。酸素が足りなくなっている。指一本、それさえ動かすのは億劫だ。揺らぎ一つない石珀が、暗闇で剣呑に瞬く。たとえばこの部屋に張り巡らされた見えない糸があるとして。その全てがタルタリヤを殺そうと隙を伺っているような。確実に死ぬ。きっとどれだけその糸を掻い潜ろうとしたって、上手くはいかない。背筋が粟立つ。脳髄が幸福物質に浸っていた。神経を蝕み始めた快が頭を馬鹿にする。獣染みた呼吸音が口から零れている。
740「せんせい」
よんだだけでおこらないでよ。鷲掴みに絞められた首が苦しい。苦しくて、愉しい。酸素が足りなくなっている。指一本、それさえ動かすのは億劫だ。揺らぎ一つない石珀が、暗闇で剣呑に瞬く。たとえばこの部屋に張り巡らされた見えない糸があるとして。その全てがタルタリヤを殺そうと隙を伺っているような。確実に死ぬ。きっとどれだけその糸を掻い潜ろうとしたって、上手くはいかない。背筋が粟立つ。脳髄が幸福物質に浸っていた。神経を蝕み始めた快が頭を馬鹿にする。獣染みた呼吸音が口から零れている。
sardine57817
MAIKING日七(篤建)の会話文。任務でしくじった七が深夜徘徊し、それを日さんが拾うという話。「ガキがこんな時間にうろついてんじゃねえよ」
「初対面の人間をガキ呼ばわりした上、説教される筋合いはないです」
「あっそ、別に説教したつもりはねえけど?」
「ならほっといてください」
「俺は大人、お前は子ども。一応義務ってもんはあるし……お前、高専生だろ?」
「?!」
「制服見りゃわかる。俺の後輩ってわけだ、つっても10くらい違ぇけどな。そうなると、なおさら責任が発生するわけだ。ほら、送ってやるから乗ってけよ」
「……あそこへは戻りたくないんです」
「任務でもしくったか?」
「どうとでも」
「面倒くせえなァ」
「だからほっといてくださいって言っているでしょう?」
「ここでうだうだしてたってしょうがねえだろ」
「別にいいんです、心の整理がついたら帰りますから」
「……じゃあちょっとドライブしねえ?」
「何をーー」
「さっきも言ったが、お前に対する義務と大人としての責任があんだよ。高専には俺が言っといてやるから。悩むだけならどこでもできるだろ?」
「アナタには関係ない」
「確かに関係はねえけどな。あと俺ァ、アナタじゃねえ、日下部篤也だ。ほら今名前を知った。もうこれで無関係なわけねえだろ?」 583