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    ト殺

    ぎねまる

    MOURNING初登場前の、苛烈な時代の鯉登の話。わりと殺伐愛。
    過去話とはいえもういろいろ時期を逸した感がありますし、物語の肝心要の部分が思いつかず没にしてしまったのですが、色々調べて結構思い入れがあったし、書き始めてから一年近く熟成させてしまったので、供養です。「#####」で囲んであるところが、ネタが思いつかず飛ばした部分です。
    月下の獣「鯉登は人を殺したことがあるぞ」

     それは鯉登が任官してほどない頃であった。
     鶴見は金平糖を茶うけに煎茶をすすり、鯉登の様子はどうだ馴染んだか、と部下を気にするふつうの・・・・上官のような風情で月島に尋ねていたが、月島が二言三言返すと、そうそう、と思い出したように、不穏な言葉を口にした。
    「は、」
     月島は一瞬言葉を失い、記憶をめぐらせる。かれの十六歳のときにはそんな話は聞かなかった。陸士入学で鶴見を訪ねてきたときも。であれば、陸士入学からのちになるが。
    「……それは……いつのことでしょうか」
    「地元でな──」
     鶴見は語る。
     士官学校が夏の休みの折、母の言いつけで鯉登は一人で地元鹿児島に帰省した。函館に赴任している間、主の居ない鯉登の家は昵懇じっこんの者が管理を任されているが、手紙だけでは解決できない問題が起こり、かつ鯉登少将は任務を離れられなかった。ちょうど休みの時期とも合ったため、未来の当主たる鯉登が東京から赴いたのだ。
    13599

    eruma206

    MOURNINGマイユニバースの2人が付き合うまでの過程の途中まで(?)を色んな自分と殺し合いながら考えたんですけど、
    ①ユートピア完成後で
    ②悪魔くんが都合のよい不思議パワーで生存してて
    ③2世とは親友の関係
    というご都合条件からスタートする感じでろくろを回します。
    感情の変化の過程…?まずユートピア完成後の埋れ木メシアはしばらく超超超ロングスリーパーだといい。はじめは数ヶ月から数年ほど爆睡してほしい(ロングスリーパーではなく昏睡ですね)メフィストハウスで。なんてったって数百年ぶっ通しでユートピア建設に明け暮れていたから。ご都合魔力で寝たきりによる筋力の低下等は最小限に抑えます。2世はというと死んだように眠る悪魔くんを心配してピクシーに何回も相談したり(ピクシーちゃんたちはメシアは今までの疲れで寝てるだけなこと、いずれ目が覚めるので気長に待つこと、と2世に毎回伝えてます)寝てるメシアの周りを意味もなくウロウロふわふわしてて欲しい。メフィストハウスにあるメシアの寝室には12使徒やその他のお見舞いの花(薔薇以外)でいつも割と華やか。たまに目が覚める悪魔くんに2世は驚いてめちゃくちゃ喜んで死神屋のラーメンを急いで持ってくるけどラーメン持ってくる頃にはメシアはまた眠りに落ちてる、みたいな。打ちながら思ったけどラーメンじゃなくて流動食の方がいいんじゃないですかね。がっかりしながらも寝てるメシアの横で次起きるのいつだろなぁとぼやきながら2人分のラーメンをすする2世。
    1923

    妖怪ろくろ回し

    MOURNING琥珀と殺生丸(妄想)


    「なぜ私の邪魔をする」
    「……どうしても、です」
    「返事になっておらぬ」
    「…………」
     琥珀は息を吸った。
     尊大な物言いは変わらない。人間にとっての十と余年は幼子が立派な戦士になるには十分すぎる時間だが、妖怪にとってはそれこそ矢よりも疾く消え去っていくだけの刹那。人にとっての永遠さえ、殺生丸にとってはただひとときでしかない。
     故にそんな瞬きの合間に性格が変わることなんてない。
    「なぜだ 琥珀」
    「……確かにせつなは殺生丸さまのご息女ですが……退治屋の仲間です。退治屋の仲間は家族も同じ。彼女がどう思おうが……生まれがどうであろうが、もう せつなはおれたち退治屋の家族です」
    「……」
    「家族に 家族を殺させやしません」
    「…………」
    「おれは奈落の手にかかり、自分の父と退治屋の仲間を殺しました」
    「……貴様」
    「抗えなかったなどと言い訳はしません。家族だけでなく……多くの罪なき人びとを この手で。姉上すら……りんをも殺そうとしたのは事実だ」
    「だからなんだと言う」
    「どんな理由であれ、おれはせつなに家族を殺させるつもりなどありません。例えそれが、殺生丸さまの御心だったとしても 2151

    妖怪ろくろ回し

    MOURNINGせつなと殺生丸(妄想)*


     ふざけるな、と娘は激昂した。
     そんなことをしてまで人間を我が物にしたかったのか、と実の父親を問い詰める形相はその父生き写しだ。静謐の中で燃え盛る青い炎のように、無音の中で荒れ狂う大波のように彼女は怒り狂う。ちょっと、やめなよ。そう言うとわの言葉など当然聞こえていない。
     夢と記憶を奪った胡蝶をけしかけたのが父親だと知れれば。
     彼女の怒りは尤もだ。とわは住んでいた場所から弾き出されたとはいえ、何一つとして奪われていない。懐かしく暖かな夕陽を脳裏にしかと刻み込んだまま、いつか再会することを願いのうのうと生きてきたのだから。妹の苦しみを理解してやることなど不可能なのだ。
    「我が眠りを奪っておいて、尚そう言うか!」
    「……」
     父親は答えない。
     どうしてせつなの夢を奪ったの?
     どうしてせつなから眠りを奪ったの?
     どうして 妹から記憶を奪ったの?
     貝殻よりも固いとわの口が開くことはない。尋ねなければならないことは多い。愛する妹から優しい夜の眠りを奪い去った理由を問い質さなければならなかった。例え如何なる理由があろうとも──娘の夢を奪うほどの理由があるのなら──それを教えて欲 1956